立憲の政策がまるごとわかる立憲民主党 政策集2025Policies 2025

デジタル・IT

デジタル5原則と目指すデジタル社会の姿

  • 国民のための行政と社会のデジタル化を推進する政党として、個人情報保護とセキュリティを十分に確保し、行政の監視や統制の手段ではなく、国民の利便性の向上に資するデジタル化を目指していきます。
  • ①政府による国民の監視手段にしない、②個人情報の保護の徹底、③セキュリティの確保、④利便性の向上、⑤苦手な人も含め誰も取り残さず、使わない人が不利にならない――の5原則をもとに、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。
  • クラウドやAIの国産化を重点的に支援し、デジタルサービスやコンテンツの輸出促進でデジタル黒字への転換を目指します。
  • 将来ビジョンから未来のスタンダードを構想し、健全に社会実装できる環境整備をした上で、イノベーションの恩恵を国民へ公正に還元できる、22世紀を見据えた未来社会の実現を目指します。
  • 「デジタル」と「アナログ」の掛け合わせで、一人ひとりに最適なサービスとアクセス手段の提供を目指し、国民のための行政DXを進め、誰ひとり取り残されない、すべての国民が快適に暮らせる社会を目指します。

個人情報保護・セキュリティの強化

  • 個人の情報に関する権利と利益の保護を図るため、個人情報保護法など国内関連法をEU一般データ保護規則(GDPR)など海外の法制度を基準に改正します。自己に関する情報の取り扱いについて自ら決定できる権利(自己情報コントロール権)、本人の意思に基づいて自己の個人データの移動を円滑に行う権利(データポータビリティ権)、個人データが個人の意図しない目的で利用される場合等に当該個人データの削除を求める権利(忘れられる権利)、本人の同意なしに個人データを自動的に分析又は予測されない権利(プロファイリングされない権利)を法律上、明確化します。
  • インターネットのターゲット広告、投資詐欺等に誘導する著名人のなりすまし広告の規制など、個人情報保護や広告審査基準の明確化の促進を強化します。デジタル広告、不正または悪質なレビュー、パーソナルデータのプロファイリングに基づく表示等の課題について、消費者の利益保護の観点から必要な対策を検討します。
  • 誹謗中傷やフェイクニュースなど自己実現や民主主義を阻害する有害無益な情報が膨大に流通しています。インターネットやSNS上の差別や誹謗中傷、人権侵害等への対策を強化します。「表現の自由市場」に委ねるだけでは、実質的な保障に資さないことから、個々人が多様な情報にバランスよく触れることで、フェイクニュース等に対して一定の「免疫」(批判的能力)を獲得している状態を実現するため、「情報環境権」を保障し、そうした環境を積極的に作り出します。
  • オンラインでの商取引について、消費者の利益保護の観点から、取引の場を提供するプラットフォーム企業や販売事業者への保護措置の義務付け、表示誤認の回避対策等、法整備を含めて検討します。(再掲)
  • フィンテックの発展に伴いデジタル格差、情報格差が生じないようにするための環境整備を行います。(再掲)
  • 消費者が取引デジタルプラットフォームを適切に利用できるよう、デジタル社会で身に付けるべき知識を習得するための消費者教育を充実させます。(再掲)
  • インターネット・SNSの発達、DXの急速な進展が国民に数多くのメリットをもたらしている反面、個人の意思を離れたデータの収集・分析に起因した「アテンション・エコノミー」「マイクロターゲッティング」「フィルターバブル」「エコーチェンバー」といった問題が生じています。GAFAなどの巨大デジタルプラットフォーム企業に対し、データの利活用とのバランスを図りつつ、「自己情報コントロール権」に基づき、個人情報保護やセキュリティ確保の観点から、適切な規制を行います。
  • 個人情報保護委員会が、行政機関等への監視、資料の提出、実地調査、勧告や報告の要求を遅滞なく行えるよう体制を強化します。
  • 行政機関等が個人情報を利用する際、マイナポータルで自己情報の利用状況を把握できる仕組みを構築します。
  • 安心・安全な情報管理を実現するため、官民の連携を進めてサイバーセキュリティを強化します。
  • 行政手続のデジタル化の推進に当たっては、システムの安全性と信頼性の確立が重要であり、国産クラウドサービスを確立するとともに、委託先を含め、データを管理するサーバーを国内に設置します。
  • 闇取引をまん延させるダークウェブやブラック・マーケットの監視・摘発の強化に向けて、海外の捜査機関などとの連携・協力を推進します。
  • 国民生活や経済活動の基盤、国民及び国家の安全をテロや頻発するサイバー攻撃から守るため、必要な体制を強化します。

政治のDXの推進

  • 多くの人の利便性を向上させる「インターネット投票」を社会実装します。通常の紙による投票に加え、公示・告示から投票日前日まで、24時間いつでも・どこでも投票を可能にします。(再掲)
  • 危機管理、共生社会、業務効率化の観点から、国会・地方議会での議会活動のデジタル化を進めます。
  • 感染症や自然災害の際に政治機能を維持し、障がい者や妊娠・子育て中の人等も望めば議論に参加できるよう、国会と地方議会におけるオンライン会議の解禁に向けた課題・問題点の整理を行います。
  • 請願のデジタル化や、オンラインで多様な市民の意見を集め、議論を集約し、政策に結び付けていく市民参加型合意形成プラットフォームの活用など、国民が行政府や立法府の意思決定プロセスに直接参加できる「シビックテック(市民によるデジタルを活用した課題解決)」を社会実装し、デジタル民主主義をアップデートします。
  • 若者を含めた国民の政治参加促進のため、インターネットの活用等により、①政策づくり、②選挙運動、③投票の各場面で参加しやすい環境づくりを進めます。(再掲)
  • 政治資金の透明性向上の観点から、政党(支部を含む。)、政治資金団体、政策研究団体又は国会議員関係政治団体の会計責任者に収支報告書のオンライン提出を義務づけ、データベース化の対象となる政治団体に政党支部を加えます。(再掲)
  • 政治資金収支報告書のインターネットによる公開を義務付けるとともに、総務省において全ての情報を横断的に検索できるようにします。(再掲)

行政のDXの推進

  • 情報技術格差(デジタル・ディバイド)を最小化するとともに、国民の多様な要望、ニーズに応えられるよう、行政サービスにおける対面業務、電話対応、紙による手続き等を維持し、通信料の補助等の支援策を講じます。
  • デジタル化は必要不可欠であり体制整備は急ぐべきですが、安易な人員削減に結び付けることなく、適切に人員を配置し、デジタル化で浮いたコストや人手を、賃金及び国民向けサービスの向上に還元するようにします。(再掲)
  • 政府のデジタル化による行政手続の迅速化を図ります。(再掲)
  • デジタル技術を活用したプッシュ型支援の促進など、行政サービスの利便性向上を図ります。
  • ファイナンシャルインクルージョン(金融包括)を推進すべく、デジタル円である中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に関する研究を推進することで、必要な給付や助成を行いやすくする環境を目指します。
  • 母子手帳について、名称を親子手帳と併記することや、電子化に対応することなどを含め、検討を進めます。(再掲)
  • デジタル技術を活用して地域住民の意見を反映できるよう、日本版BID制度(地域再生エリアマネジメント負担金制度)の拡充を検討します。
  • 地方への人口の移転の促進、都市への人口の一極集中の解消に向け、地方で生活しながら仕事をするテレワークを全国各地で促進します。そのため、電子署名と認証業務に関する法律の改正を検討します。

経済のDXの推進

  • 環境・エネルギーインフラ分野、医療・介護分野、地域活性化・観光分野など、あらゆる産業分野におけるデジタル関連の研究開発などを支援します。
  • 特に働き手の足りない介護・福祉・医療分野・農林水産業のDXを促進します。
  • デジタル教育を推進し、デジタル人材の育成を徹底的に進め、官民のデジタル化を強力に推進するとともに、スタートアップを効果的に支援します。(再掲)
  • 次世代通信技術、光電融合、量子暗号、AI、メタバース、航空宇宙、超電導、次世代モビリティなどの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進します。(再掲)
  • 先端半導体の国産化を大胆に推進します。(再掲)
  • データセキュリティの更なる向上を目指し、国産クラウドサービスの確立と競争力の強化、人材育成に関する支援を徹底します。(再掲)
  • 国産ドローン開発・活用を推進します。(再掲)
  • 暗号資産の健全な発展を目指したルールを整備します。(再掲)
  • 国際競争力確保の観点から、Web3.0の発展に大きく関係する暗号資産税制を見直します。
  • 法律上の位置づけ、構成員・参加者の法的な権利義務関係等を明確にするよう、ブロックチェーンの応用の一つである分散型自律組織(DAO)の法人化を認める法制度の整備を目指します。
  • デジタル証券の流通市場の整備に向けた適切な法制度を検討します。
  • 決済手段の多様化と低コスト化を図るため、世界に後れを取ることがないように、日銀が行っている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験や研究などの検討を促進します。(再掲)
  • 次世代通信網のインフラ整備を推進します。(再掲)
  • 完全自動運転に向けた環境整備を行います。(再掲)
  • 量子技術の実用化を後押しします。(再掲)
  • 次世代インターネットの開発を後押しします。(再掲)
  • フィンテック等、金融サービスの環境変化への対応を促進します。(再掲)
  • 先端技術や知的財産権の保護・強化を図ります。(再掲)
  • データ流通などデジタル貿易の国際共通ルール作りに取り組みます。(再掲)
  • 医療・介護のIT化をさらに推進します。在宅患者も含めた情報の集約による地域医療連携ネットワークの構築や、情報共有による日常生活圏を中心としたシームレスな医療・介護サービスの提供を目指します。また、医療・健康・福祉のスマート化(いつでもどこでも健康状態を確認できるオーダーメイドの健康管理システム等)を推進します。(再掲)
  • 6Gの時代には、国籍、障がいなどに関わりなく、どんな言語圏の言葉でも母国語に翻訳し、円滑にコミュニケーションできる社会を見据えて、ユニバーサルコミュニケーションをデザインする国内のICT産業に対して積極的な投資を行い、言語圏を超えたマーケットシェアの獲得を目指すと同時に、言語・障がいの壁をなくすことで国民生活を便利にします。
  • 空と陸の自動運転車及び高性能AI搭載ロボットの普及を見据え、関連産業などに対して必要な助成を行うとともに、ステークホルダーと議論し、必要な法令・インフラ整備を速やかに行います。

地域のDXの推進

  • 地域分散型で進められる自然エネルギーによる発電と需要のマッチング、需給をコントロールするデジタル技術の開発を支援します。IoT化を進めてデマンドサイドの効果的なコントロール(ピークカットなど)を実現するとともに、省エネなどESCO事業を推進します。
  • 電力システムのデジタル化を進め、電力市場を拡大・活性化し、より柔軟な需給調整を行います。(再掲)
  • BEMS(Building Energy Management System)・HEMS(Home Energy Management System)を利用した需要側と供給側のデジタルでの連携をより一層進めます。真のスマートコミュニティ実現に向けて、施設や技術を適切に配置・構築します。熱伝導管、送電線、データ通信網等の整備については、地域のインフラ更新時に合わせて、自治体と国が一体になって計画的に取り組みます。(再掲)
  • 地域主導でエネルギーマネジメント事業を立ち上げ、DXを活用したエネルギービジネスによって、地域でお金が回る経済を実現します(日本版シュタットベルケ)。
  • さまざまな地域のデータを地図の形で共有してまちづくりに活用するため、地域のコミュニケーションツールとして、GIS(地理情報システム)の有効活用を検討します。災害時の救援や復興支援にも活用できるようにします。
  • 道路や水道管、橋梁などの老朽化対策のため、IoTセンサーやドローン、AI画像解析を活用したモニタリング体制を構築しつつ、デジタルツイン技術などの導入により予防保全型のファシリティマネジメントを実現し、公共インフラの長寿命化と効率的な維持管理を推進します。
  • 被災地の速やかな電源確保、フリーWi-Fi等の整備、避難所運営や支援物資の管理、罹災証明等申請書類のデジタル化など災害時におけるDXを推進し、デジタルツインを活用した防災・減災により被害の最少化と迅速な復旧復興を実現します。
  • エンターテインメント、レジャー、ゲーミングなどの事業がリアルからオンラインに移行し、地域の観光資源のデジタルコンテンツ化が進む時代において、デジタルツーリズムが台頭することを見据え、2030年代に合わせた観光戦略を検討します。

教育・スポーツのDXの推進

  • プログラミング教育を実施し、デジタル人材の育成に向けた取り組みを進めます。
  • GIGAスクール構想により1人1台端末環境が整備されたことを受け、健全な教育の情報化を目指し、ICTの支援員や通信環境の充実、機器更新時のフォロー、授業内容や教員養成課程の見直しを図ります。(再掲)
  • ICTリテラシー教育や身体に与える影響の調査、ネットいじめの防止などに取り組みます。(再掲)
  • AI・IoT・VR・ブロックチェーン等の先端技術や安定期に入った汎用技術等のデジタルテクノロジーを活用して、個人情報保護と情報セキュリティに配慮しつつ、学習効果の向上、教育の仕組みの改革等を目指します。(再掲)
  • 適応学習(アダプティブラーニング)により最適化された学習を提供し、児童生徒1人ひとりの特性や能力に合わせて学習の質を向上させます。習熟度チェックをコンピューター上で行うCBT(Computer Based Testing(Training))の導入と、習熟度に応じた教育の在り方を検討します。(再掲)
  • ICTを最大限活用し、限界集落や離島などをはじめとする住民に対して都市と遜色のない学習活動を支援します。(再掲)
  • 新型デバイスでの超高精細映像のリアルタイム受発信や、バーチャルパブリックビューイングの開催が行われる現代社会において、感染症などの有事でも開催できる新たな時代のオリンピック・パラリンピックなどの大規模イベントの在り方をデザインします。

AI

  • AIに関する研究開発への投資と専門人材の育成が不可欠であることから、国家プロジェクトとして重点的な支援を講じ、生産性・利便性の向上に取り組みます。
  • AIの発展・利活用に当たっては、規制とイノベーションのバランスが重要です。著作権や個人情報の侵害、誤情報の拡散、監視や差別につながることのないよう、倫理的な考慮や技術的な対策を講じつつ、社会的な規制のルールづくりを行います。イノベーションを育むためにデータサイエンスなどの基礎的なリテラシーとディーセントな価値観を醸成する教育及び人材育成を進め、生産性、効率性、成長率を高めることで豊かな社会づくりを牽引します。
  • デジタルの推進と個人情報の保護の両立に向けたルールづくりを行います。特に、公的部門(国会や省庁)におけるAI技術やIoT(モノのインターネット)の活用にあたっては、個人情報保護と安全保障に関する規程を整備し、国民の安全を守ります。
  • 人工知能の倫理基準の国際標準化に取り組みます。(再掲)

マイナンバー

  • デジタル化は喫緊の課題であり、「国民にとって役に立つデジタル化」、真に「人にやさしいデジタル化」による「誰ひとり取り残されないデジタル社会」を目指すためにも、国民の納得と不安の払拭が不可欠です。政府として、信頼を高めるとともに、安全性をより高める制度設計に努め、国民のマイナンバー制度やカードに関する懸念を一つ一つ払拭するようにします。
  • マイナンバー制度及びマイナンバーカードの在り方について、自己情報をコントロールする国民の側に立った「番号に関する原口5原則」(Ⅰ権利保障の原則、Ⅱ自己情報コントロールの原則、Ⅲプライバシー保護の原則、Ⅳ最大効率化の原則、Ⅴ国・地方協力の原則)に基づき、いったん立ち止まって見直します。
  • 政府は、携帯電話の取得や口座開設の本人確認にマイナンバーカードの利用を強要しようしていますが、マイナンバーカードによらない確認方法を残すようにするなど、あくまでもマイナンバーカードの取得が任意であり、保有が義務付けられるものではないことを踏まえて対応します。
  • 立憲民主党は、「医療DX」の推進や希望する人がマイナ保険証を利用することには賛成の立場ですが、誰もが必要な時に確実に医療を受けられる体制を堅持するため、従来の健康保険証の新規発行を再開し、国民の不安を払拭するなど一定の条件が整うまでの間、マイナ保険証との併用を可能とする「保険証復活法案」(マイナ保険証併用法案)を国会に提出しています。(再掲) 
  • 現行法において、マイナンバーカードの取得が申請主義であることを踏まえ、マイナ保険証の利用は、リスクと便益を自分で判断して決めるべきであり、本人の選択制とします。(再掲)