日本では、明治時代(1907年)から続く堕胎罪(刑法212−216条)によって堕胎は禁止されていますが、母体保護法によって一定の条件を満たせば人工妊娠中絶が認められており、2020年は14万5340件でした(※1)。
人工妊娠中絶が認められる条件とは、①身体的・経済的理由により母体の健康を損なう場合 ②暴行や脅迫によるレイプによって妊娠した場合で、①の場合、原則として配偶者の同意が必要となっています。また、人工妊娠中絶ができる期間は妊娠22週未満です。
世界203か国のうち、人工妊娠中絶にあたって配偶者の同意を法的に規定している国・地域は日本を含む、台湾、インドネシア、トルコ、サウジアラビア、シリア、イエメン、クウェート、モロッコ、アラブ首長国連邦、赤道ギニア共和国の11か国・地域のみです(※2)。
2021年3月、厚生労働省はこの配偶者の同意を必要とする規定について、ドメスティック・バイオレンス(DV)などで婚姻関係が事実上破綻し、同意を得ることが困難な場合に限って不要とする方針を示し、日本産婦人科医会より、各都道府県の産婦人科医会に通知されました。
産むか産まないかを決める権利は女性の基本的人権であるという「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関するに関する健康と権利)」は、1994年の国連国際人口開発会議で提唱された概念です。そして、2016年には国連女性差別撤廃委員会は日本政府に配偶者の同意要件そのものの撤廃を日本政府に勧告しています(※3)。
立憲民主党は、性と生殖に関する女性の健康と権利を守るための施策の拡充を図り、女性が自己決定権に基づき心身ともに健康で生き生きと自立して過ごせるよう、総合的に支援します。望まない妊娠や中絶を減らし、また性犯罪の被害や加害を防ぐため、男女ともに年齢にふさわしい性教育を行います。アフターピル(緊急避妊薬)を処方箋なしで薬局で購入できるようにします。セーフアボーション(中絶経口薬)が速やかに承認されるようにします。
(※2)The World's Abortion Laws(Center for Reproductive Rights)