長妻昭厚生労働部会長らは20日午後、厚生労働省を訪ね、厚生労働大臣宛の「新型コロナに感染した妊婦の方の出産病床の整備などを求める緊急要請」を大臣官房審議官に手交しました。申し入れには、川内博史政調会長代行、山井和則、早稲田夕季両衆院議員、小西洋之、塩村あやか両参院議員が同行しました。
今週に入り、東京都で自宅療養を余儀なくされていた40代の女性が自宅で亡くなった事案、千葉県で感染していた妊婦の方を受け入れる病院がなく、自宅で早産なり赤ちゃんが亡くなってしまった事案が相次いで明らかになり、自宅で療養中に適切な医療が受けられない患者が増えていることを深刻に受け止め、同日、党の会議で厚生労働省からヒアリングをおこなった上で、新型コロナウイルス対策本部と厚生労働部会が緊急要請を取りまとめました。要請は(1)新型コロナウイルスに感染した妊婦のための医療体制と出産病床等の確保(2)新型コロナウイルスに感染し、重症化や早産のリスクのある妊婦の入院の優先順位を上げること(3)妊婦をワクチンの優先接種の対象にすること――等6項目。
新型コロナに感染した妊婦の方の出産病床の警備等を求める緊急要請.pdf
長妻厚生労働部会長は緊急要請の趣旨について「助かる命が助からなくなるという事態が起こっている。それを食い止めるために緊急の要請に伺った」と述べました。また、新型コロナウイルス感染症の中等症で、入院できずに自宅で療養している妊婦の実態把握を国主導でおこなうことを要請しました。
川内政調会長代行は、新型インフルエンザ等対策特別措置法で、国は国民の生命及び健康を保護するため、万全の態勢を整備する責務を有すると規定されていることに触れ「第5波の中で自宅死される方が増え、赤ちゃんが亡くなったということに関して、国として万全の態勢を整備できているのか厳しく問われなければならない」と指摘し、厚労省としてできることを最大限実施するよう要請しました。
塩村議員は、妊婦への優先接種の実施は自治体によってまちまちだとし、「妊婦さんは20代から30代が一番多いが、その方たちはまだ予約が取れないないような自治体が多い。だからこそ厚労省に妊婦さんに優先接種をするという方針を出していただきたい」と述べました。
厚労省側からは、「全国で感染が拡大する中で、自宅で療養されている方に対する医療を確保することは最優先の課題」との考えが示されました。また、千葉県で自宅で生まれた赤ちゃんが亡くなったことについて、「今朝の記者会見でも大臣が、大変心の痛いことであり、早急に今回のことを踏まえて各自治体に対して要請をしてくという話をしている。今日いただいた要請を踏まえて、スピード感をもって対応していかなければいけないと思っている」との発言がありました。
申し入れ終了後に記者団の取材に応じた長妻部会長は、妊婦を受け入れる病院がなく、自宅で出産した赤ちゃんが亡くなったことについて「今日にも厚労省が自治体宛に(再発防止の)通知を出すということだったが、通知だけでなく、実態を把握してもらわないと困る。原因究明についても千葉県の調査を待つということでなく、事実関係を国として把握しないといけないということを申し上げた」と報告しました。
また、今回の事案の原因究明をする上で、隣接都県への広域搬送調整がされていたのかも調べるよう求め、それを深く分析した上で再発防止を徹底するよう求めたと話しました。
さらに、千葉県では36週以上の妊婦に早産のリスクがあるという基準があったが、赤ちゃんが亡くなった妊婦の方は29週だったので該当しなかったと説明し、「デルタ株への感染により早産の恐れがあると言われているが、そのエビデンスを厳密に確認した上で、自治体が決めている早産リスクの基準について見直しをすること」も要請したと語りました。
小西議員は、党の会議のヒアリングで周産期医療センターでコロナに関する妊婦さんを受け入れる体制ができておらず、政府は各地の周産期医療センターの受け入れ人数も把握していなかったことが判明したので、その改善を強く求めたと報告しました。
塩村議員は、妊婦に対するワクチン優先接種を強く要請したと報告しました。厚労省が10月くらいにその回答を出す考えを示していたことに対し「それでは遅すぎる。今日にも方針を立て、妊婦の方が優先接種を受けられるように強く要請させていただいた」と明かしました。
早稲田議員は、妊婦の優先接種の実施の有無は自治体によって違い、格差が生じているので「希望する妊婦の方が打てるように、そして優先して打っていただけるように国として、自治体任せにするのではなく、強いリーダーシップを持って国としての方針をしっかり出していただくよう、赤ちゃんが亡くなるようなことが金輪際ないようにお願いした」と述べました。
山井議員は、厚労省からは市町村の判断で妊婦の優先接種が可能になるように検討しようと考えているとの説明があったが、それに対し党側から「それではだめで、市町村によってできる・できないという次元ではない。今回のことで妊婦さんは早産、重症化リスクがあって、実際に犠牲者が出たのだから、自治体の判断でなく、国の方針として、高齢者を対象にしたのと同じように、妊婦さんを優先接種の対象に追加してほしい強く要望した」と報告しました。