泉健太政務調査会長は22日、一般社団法人日本若者協議会が開催したオンラインイベント「こども国会」に参加し、小中学生の政策提案を聞き、講評しました。
こども国会は21日と22日の2日間にわたってオンラインで開催され、小中学生約50人が(1)脱炭素社会(2)外国人との共生(3)教育――の3つのテーマについて9グループに分かれて議論し、背景・課題とそれに対する解決策をまとめて発表しました。
■脱炭素社会
脱炭素社会を議論したグループからは、(1)太陽光・水力・風力発電等の推進(2)排出量の多い大通りや工場地帯等への大型空気清浄機の設置(3)電動自動車・燃料電池自動車への転換(4)近距離に自動車を利用せず、徒歩、自転車促進(5)電動キックボード、セグウェイ等の公道での使用許可(6)カーボンリサイクルの普及(7)環境税の引き上げ(8)モビリティシフト推進法案――等の提案がありました。
泉政調会長は、「3グループとも具体的で本格的な提言だった。国会議員、政党の政策とほぼ変わらないと感じた」と高く評価しました。すべての建物にソーラパネルを設置するという提案について「われわれも実現できたらと思うが、今のソーラーパネルだとまだ重量が重くて設置できないところもある。薄手で軽量化されたタイプが開発されているが、そういう開発をさらに進めてもらいたいと思う」と話しました。カーボンリサイクルについては大きい工場でCO2を回収することはイメージできるが、たとえば家庭の空気清浄機はCO2を屋外に排出してしまっているので、家ごとのCO2を回収できるくらいの技術水準になることを期待していると語りました。
モビリティシフト推進法案については、推進策と抑制策の両方が盛り込まれていることを評価した上で、環境負荷のかかる乗り物を抑制することと個人が移動する権利をどう考えるかが課題になっていると説明しました。
中国で電動バイクが普及していることに触れ、日本でも環境にやさしい乗り物を普及させたいが、交通の安全をいかに確保するかをさらに考えていかないといけないと指摘しました。
■外国人との共生
外国人との共生を取り上げたグループからは、(1)ネット上を含めヘイトスピーチをゼロにする(2)移民・難民への教育、雇用の支援、オンラインの相談窓口の設置(3)団地など無償の住居の提供(4)多言語に対応した教材の作成(5)難民申請者の収容期間の短縮、入管施設内の医療体制の整備(6)教育・運転免許・就業に必要な資格の取得の支援(7)入管施設に収容する際、親子を離れ離れにしない――等の提案がありました。
泉政調会長は、子どもは日本語を覚えるのが早いが、大人は言葉をなかなか覚えられない場合が多いので、親に対する語学教育の場を提供していくことが大事ではないかと指摘しました。
また、団地等にまとまって住むようになると母国語が通じるので日本語を学ばなくなったり、日本に馴染むのに時間がかかってしまうこともあるのではないかと話しました。
難民の受け入れが欧米に比べて日本は圧倒的に少なく、2020年はわずか47人だったことを取り上げ、「日本はもっと難民を受け入れるべきだと思うか」と問いかけると、大勢の参加者が賛意を表しました。日本政府が国内での軋轢をおそれて難民の受け入れに消極的だった経緯を説明した上で「これからの時代は一緒に暮らしながら、お互いに能力を高め合うことがとても大事。有能な人材を育てるということだけでなく、日本を愛してくれる人ができることが重要」と話しました。
■教育
教育を取り上げたグループからは、(1)世界の人と交流する機会をつくる(2)生徒・児童が授業を企画する(3)目標に向かって努力する経験を通して自己肯定感を高める機会をつくる(4)戦争や原爆の危険さを知る機会をつくる(5)先生の残業をなくすために副担任等の配置、学級規模の縮小をおこなう(6)教師になりたい人を増やすため給料を上げる(7)1クラスを20人から25人にし、みんなが発言でき、質問しやすいようにする(8)学校から貸し出されたiPadを家でも学習に使えるようにする(9)ブラック校則をなくす(10)不登校児向けに岐阜市が開校した「バーバパパの学校」のように個性と尊重する公立校を増やす(11)こども食堂を増やす――等の提案がありました。
泉政調会長は、いろいろな教育の場をつくっていくことが大事だと話しました。ブラック校則をなくしていくためには、国でできることもあるが、今は生徒自身の発信力を持ち、同世代とつながり、意見交換をできるようになっているので、世の中に声を上げていってほしいと話しました。
こども食堂の増設は必要だとした上で、本来は家で家族が一緒にご飯を食べられた方がよく、家族で食卓を囲めない状況がずっと続くことがないように、親の働き方改革、賃金を上げる取り組みも進めなくてはいけないと話しました。
また、自分からプレゼンテーションをする授業――アクティブラーニング――は上から与えらえるのではなく、自分たちから学ぶ姿勢を養う上で大事なので、ぜひ取り入れてほしいと話しました。
泉政調会長は全体を通しての講評として、「小学生、中学生が国会議員と1時間話し合いをするようなことは僕らの頃は考えられなかった。今日は話がとてもかみ合ったし、みんなは自分たちでこれから街とか国をつくっていけるのだと思う。どの職業でも『私なんて、絶対そんなの無理』などということはない。政治家にだってなれる。自分たちがやらなければいけない。そういう仕事だと思って、これから政治とか市役所の人たちのことを見てほしい」と語り、やりたいことに前向きに向かって行くよう呼びかけました。