立憲民主党は9月14日、大阪市内で「近畿ブロック立会演説会」と、神戸市内で「経済政策」をテーマに「近畿ブロック候補者討論会」を開催しました。枝野幸男、泉健太、吉田はるみ、野田佳彦各候補が政見などを力強く訴えました。同月23日の臨時党大会で新代表が選出されるまでの間、全国11ブロックで立会演説会と討論会を開催します。発言順は開催場所ごとに変わります。

近畿ブロック立会演説会

■枝野幸男候補

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 枝野候補は、約10年続いたアベノミクスの副作用による過度な円安が、物価高などを招いて国民生活や中小企業の経営を圧迫していると指摘。アベノミクスを含む過去30年の人を切り捨ててきた経済から人間中心の経済にあらためるため、「日本の経済を元気にする」「国民生活を立て直す」など、新たなビジョンのヒューマンエコノミクスを掲げて代表選挙に立候補したと表明。これまで規制緩和や競争を促す「小さな政府」により、賃金が上がらず、非正規雇用が増えた結果、「国内でモノが売れないから日本の経済が良くならなかった」と述べ、ヒューマンエコノミクスで「まっとうな政治にしよう」と訴えました。

■泉健太候補
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 泉候補は、早期の政権交代を実現するため、代表として、他党と教育無償化などの共通政策を掲げる「ミッション型内閣」を維新の会を含めた野党各党に提案するも、維新から10年後に政権交代を目指す計画を明かされたことについて、「10年後でいいのか」と問題視しました。その上で「自民党の裏金政治を今すぐに変えなければならない。国民の期待に応えることができるのは立憲民主党だ」と力を込めました。そして自身の地元である関西では、立憲民主党が選挙で苦戦を強いられてきたことについて、近畿ブロックから政権交代を目指したいとして、「しっかりとした人権感覚を持つ立憲民主党が近畿で第1党になろう」と呼びかけました。

■吉田はるみ候補

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 吉田候補は「『1期生に何ができるのか』といった声が上がるかもしれないが、私は3度も(国政選挙に)落選している。12年間もかかり、このステージに立っている。挑戦していくことで皆さんの希望になりたい」と訴えました。また、吉田候補は自身のことを徹底的な生活者目線を持っているとし、「時限的消費税減税」「男女の賃金格差」「最低賃金1500円」「教育無償化」などの自らが掲げた政策に触れ、「『選挙前のばら撒きには騙されない』とした上で、自身が生活者の声や目となって、この代表選を戦っていく」と力を込めました。

■野田佳彦候補

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 野田候補は、自身が「地盤・看板・カバン」がないところから政治家になった経緯があり、「親が政治家でなくても自らの力で地盤・看板・カバンをつくり、逞しく活動できる政治家にならなくてはならない」という当時からの思いが、自身の政治改革への原点であると述べました。その上で、今の自民党は金権政治と世襲が文化だと述べ、「これを壊すために代表選に立候補した」と表明しました。

 また、現在も続く日本の教育における貧困による格差にも触れ、「若者たちの学びを社会でつくっていかなければならない」「教育の機会均等を実現しよう」と呼びかけました。

近畿ブロック候補者討論会(テーマ:経済政策)

■泉健太候補

 人から始まる経済再生という経済政策を作って訴えてきました。総選挙では、私たちはこの「人から始まる経済再生」そして「人へ、未来へ、まっとうな政治へ」の中で日本を伸ばすという訴えを、みんなで心を合わせて声を揃えて言っていこうじゃありませんか。

 この中には、教育の無償化が当然入っています。保育や介護の現場で働く方の待遇改善も入っています。格差是正のための税制改正も入っています。これまで消費税の割合がどんどん大きくなって、所得税、法人税の割合が減っています。本当に格差是正というのなら、所得税の累進性、法人税率の引き上げは、国のために必要な税制だということで、しっかり訴えていきたいです。

 来たるべき総選挙での争点は、裏金です。これは絶対に許してはいけないです。改めて、私は国民の皆さまに審判員になっていただきたい。レフリーになっていただきたい。今の自民党の裏金議員を是非判定しましょう。そうしたら皆さんの一発退場、レッドカードじゃないですか。やはりこの裏金議員を退場させないと。今まさに総裁候補たちが何やら政策を次々と並べていますが、そんな政治に任せるわけにはいきません。政権交代に向けて全力で走ってまいります。

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■吉田はるみ候補

 経済政策としては、まず目の前の物価高に有効な手段を、この総選挙で示さなければなりません。私が日々買い物する中で聞いている声は、消費税の食料品非課税、食べるものは税率ゼロにしてほしいという声です。年金も限られています。その中でやりくりするのは大変です。所得が低い方ほど重い消費税。不公平を感じる。まず、この日々のお買い物から家計をサポートさせてください。そして個人消費に冷や水をかけてはだめです。私たち1人1人から湧き上がる経済政策をやっていかなければいけないと強く思います。

 日本経済の中で、まだまだできていないのが女性の力を引き出すことです。これは本当に数字に出ています。女性の管理職役員がいるところは、売上20%上昇です。もっと注目しなきゃいけないし、もっと伸ばさなきゃいけない。

 女性の皆さまも生きづらさはないでしょうか。我慢していることたくさんあるんじゃないでしょうか。それを私は取り除いていく政治にしたい。そしたら皆さんが自然体で自分らしくいられる社会になり、そうなれば男性の皆さまにとっても生きやすいはずです。そういう生きづらさから自由になっていく日本を作っていけば、まだまだ経済・社会に伸びしろはあるはずです。

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■野田佳彦候補

 アベノミクスの総括がスタートだと私は思います。2年で2%の物価上昇と言ったんです。株価は上がり円安が進み輸出型の企業が儲かるようになった。でもトリクルダウンは起こらなかった。家計には全然反映されませんでした。しかも物価上昇2%も達成できないまま、10年経ち11年経ちアベノミクスは道半ばと言い始めた。これは失敗じゃないんですか。そこからスタートしなきゃいけないんです。

 異次元の金融緩和という壮大な実験もありました。世界がインフレ退治をやっている時に、日本だけが独特すぎて井の中の蛙になっている。そこからどうやって脱却するか。

 具体的には日銀政府のアコードをもう1回見直すべきだと思います。お互いに、どうやってどういう目標のもとで金融政策をやるのか、財政・経済政策をやるのか、見直すところから始めなければいけません。もう1つは日本の財政見通し、税収見通しがいつも外れ続けています。独立の財政機関を設置して堅実な投資のもとで毎年予算編成をしていく。そこから私は日本の経済を立て直していかなければいけないと思っています。

 大事な要素としては「新しい公共」を進化させて、経済の成長と社会的な問題の解決をすることを両立させる。インパクト投資という言い方をしていますが、それをもっと進めることが大事だと思っています。

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■枝野幸男候補

 私はこの代表選挙で人間中心の経済「ヒューマンエコノミクス」という次の時代のビジョンを掲げて戦っています。

 この10年のアベノミクスは明らかに失敗でした。国民生活の足元で、物価高という大混乱に落とし入れ、株価も大混乱。バブルが弾けてから30年あまり、国民の皆さんの実質賃金は横ばいです。世界におけるGDPなどの順位も下がって、1人当たりの実質賃金では台湾や韓国にも抜かれました。この30 年は失敗だったんじゃないですか。

 何が失敗だったのか。規制緩和、小さな政府。民営化、自己責任。改革という名のもとに人を切り捨ててきた一方で、本当に勝ち組の光の当たるところにさらに明るい光を当ててきた。結果的に日本は経済的に沈んでいきました。

 大きく転換しなければなりません。時代遅れの改革をやめましょう。これからは人を大切にして人間中心の経済を作ることで日本の経済は立ち直ります。3つやらなければなりません。1つは、人に対する徹底的な投資です。裾野を大事に、人への投資を徹底的に進めます。2つ目は、チャレンジするためにはいざという時の安心が必要です。保育や子育てや介護や医療などの安心を高めることは、実は経済政策です。最後にさまざまな違いがあっても社会の中で持ち味を発揮できる多様性のある社会を作っていくことも対策です。

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参加者からの質問に答える候補者ら
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