参院厚生労働委員会で5月19日、健康保険法改正案に関する参考人質疑が行われ、参考人として公益社団法人日本医師会常任理事の城守国斗さん、立教大学経済学部教授の安藤道人さん、一般社団法人全国がん患者団体連合会副理事長の桜井なおみさんがそれぞれ意見を陳述しました。

 質疑に立った小西洋之議員は、政府の高額療養費制度見直しをめぐり、安藤参考人が「医療保険が財政的に不可避であるからではなく子ども・子育て支援金の実質的負担をゼロにする政治的な要請から行っているのではないか」と指摘していることを受け、今回の見直しの経緯と動機についての評価を質問。安藤参考人は、1つの流れとしてもともと一律3万円で始まった高額療養費を2000年代以降、所得区分の細分化などを通じて負担増の方向で見直しが進められてきたと説明。そうした流れのなか、社会保障制度改革国民会議で決まった「子ども・子育て支援金」の創設、実質的負担をゼロにする政治的な要請から、直近の財政調整の中で進められてきた側面が大きいとの認識を示しました。安藤参考人はまた、表向きの理由として「医療の高度化」や「財政難」が語られているものの、その背景の違いから財政規模に大きなギャップが出ていると指摘しました。

 小西議員は、立憲民主党と公明党が求めている健康保険法第115条の修正案にも言及。高額療養費制度を国民皆保険制度の中核として明確に位置づけるとともに、患者の生活や医療アクセスへの影響を考慮すること、そのための実態調査を行うことを求めているとして、この案に対する評価を尋ねました。

 安藤参考人は、高額療養費制度の議論が出てきた経緯を踏まえると、見直しの必要はないのではないかとの考えを示した上で、「もともと十分に知られてこなかった制度だからこそ、その役割を社会全体で見つめ直す必要がある」と発言。その意味で、修正案の内容にある患者の生活実態や受診への影響を把握するための調査を行い、制度の意義や実態を数字で示した上で議論するのは重要だと述べました。

 桜井参考人は、患者当事者の立場から「私たちを抜きにして数字合わせで制度が改定されるのではないかという危機感を持っている」と発言。エビデンスに基づく調査と社会的合意形成を法文上に明記する必要性を訴え、「そうした数字に基づいた議論をすることを条文に明記し、次に改定が行われるのであれば備えてほしい」と求めました。

 小西議員は最後に、社会保障の負担と給付の在り方そのものについて、政治が責任を持って議論を進めるべきだと指摘した城守参考人の発言を受け、2040年を見据えた「令和版『社会保障と税の一体改革』」の必要性を主張。持続可能な社会保障制度の構築に向けて、与野党を超えた議論を進めるべきだと強調しました。

写真左から、桜井、安藤、城守各参考人