参院で5月21日、国家情報会議設置法案に関し、内閣、法務、外交防衛各委員会の連合審査が行われ、打越さく良、田島麻衣子両議員が質問に立ちました。
打越さく良議員
打越議員は、(1)本法案と日本国憲法との関係(2)これまでの内閣情報調査室(3)権力側による情報操作の可能性――等について、政府の見解をただしました。
打越議員は冒頭、「本法案についても日本国憲法の平和主義、平和的生存権が徹底されなければならない」と強調。そのうえで、本法案には「国民主権」「基本的人権」「平和主義」のいずれにも抵触する懸念があると指摘しました。これに対し、木原誠二官房長官は「憲法に抵触するものではない」と答弁しましたが、打越議員は、審議を通じて政府側が「答えを差し控える」「承知していない」といった答弁を繰り返していることを挙げ、「国民の不安や懸念を払拭するものではない」と批判しました。
さらに打越議員は、政権や与党側がネット上で情報操作や誹謗中傷を行った場合の危険性についても追及。「外国からの影響工作だけでなく、権力側によるニセ情報や情報操作からも国民は守られるべきだ」と訴えました。木原官房長官は「政治的利用や特定団体の利益・不利益を図るものではない」と説明しましたが、打越議員は「建前として否定されても、制度的担保がなければ不安は消えない」と反論しました。
また、打越議員は「議院内閣制では国会多数派が内閣を構成する以上、情報機関が与党を利する方向に働く懸念はぬぐえない」と指摘。「心がけだけではおぼつかない。歯止めが必要だ」として、国会による民主的統制や第三者機関による監督を制度化すべきだと主張しました。しかし木原官房長官は「必要とは考えていない」と答弁。打越議員は、制度的な歯止めがないまま審議が進むことに強い懸念を示し、「引き続き徹底した審議が必要だ」と訴えました。

田島麻衣子議員
田島議員は、(1)民主的コントロールの徹底や国民のプライバシー保護への配慮(2)厳しい国際環境下で主要7カ国と比べて日本の在外公館の人数が少ないことの理由(3)対外情報庁と常用要員養成機関の新設に向けた検討――等について取り上げました。
田島議員は冒頭、「総論としてインテリジェンス強化には賛成する」とした上で、「行政機関の中立性や国民のプライバシー権がどこまで侵害され、また守られるのか、国会による民主的コントロールや事後検証をどこまで可能にするのか、野党として問題提起していかなければならない」と表明しました。
また、厳しい国際環境下で情報収集能力の強化を掲げる一方、日本の在外公館の人員が主要7カ国と比べて少ない現状を問題視。「在中国アメリカ大使館には約1300人の外交官が配置されているのに対し、日本は約110人にとどまっている。戦後最も厳しい安全保障環境というのであれば、まずこうした分野に予算をつけるべきではないか」と迫りました。これに対し、茂木敏充外務大臣は「認識は共有している」と答弁し、在外公館の人員増強を進めてきたと説明しました。
さらに田島議員は、情報機関への監視統制について、「他国のように議会による民主的コントロールを制度として設けるべきではないか」と主張。木原官房長官は「各国の歴史や統治機構は異なり、他国の制度をそのまま当てはめるのは困難だ」と答弁しましたが、田島議員は「日本の過去の歴史を踏まえれば、むしろより厳格な民主的統制が必要ではないか」と反論し、国会による監視を制度として設けるよう求めました。
また、イラク特措法に反対する市民活動に対して陸上自衛隊情報保全隊が情報収集を行い、プライバシー侵害が問題となった過去にも言及。高市総理の「政府の政策に反対するデモや集会に参加していることのみを理由に、普通の市民が調査対象になることは想定しがたい」との答弁を受け、「普通の市民」がどのような場合に調査対象となり得るのかをただしました。政府側は、デモが過激化し市民の安全を脅かす場合などには関心を寄せることがあると説明しましたが、田島議員は「民主的統制やプライバシー保護がどこまで担保されるのか、引き続きの課題だ」と述べ、質問を締めくくりました。

