参院デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会で10月28日、所信に対する質疑が行われ、「立憲民主・無所属」から郡山りょう、牧山ひろえ両議員が質問に立ちました。
郡山りょう議員
郡山議員は、(1)GSS不正アクセス事案の検証と情報システム台帳の徹底(2)中小企業に対するサイバーセキュリティ支援とAXの具体化(3)次期マイナンバーカードの調達と宇宙政策の推進――等について取り上げ、政府の見解をただしました。
GSS不正アクセス事案の検証と情報システム台帳の徹底
郡山議員は、ガバメントソリューションサービス(GSS)に対する不正アクセス事案について、6月25日の異常発見から7月9日のVPN(仮想専用通信網)接続機器の脆弱性特定を経て、公表が約2カ月も遅れ、9月11日になった経緯を問題視しました。デジタル庁は、個人情報保護委員会への報告や外部専門家の協力を得て、確認や分析に期間を要したと答弁し、郡山議員は対応のスピード感や委託先の権限管理の在り方に懸念を表明しました。
また、プログラミング言語「PHP」の重大な脆弱性の問題について、「委託先も含めて、どこで何のソフトウェア、ハードウェアを使っているのかを把握し、即時対応し被害を防いでいく必要がある」と述べ、政府に対応を迫りました。内閣官房は、政府機関統一基準群に基づいた「情報システム台帳」の整備や、セキュリティパッチの適用、運用停止など脆弱性対策の強化に努めるとの方針を示しました。
中小企業に対するサイバーセキュリティ支援とAXの具体化
郡山議員は、中小企業・小規模事業者へのサイバーセキュリティ支援として、「サイバーセキュリティお助けサービス」や相談窓口の体制整備について、実効性のあるサポート体制の構築を求めました。経済産業省は、都道府県ごとの「よろず支援拠点」や、中小企業基盤整備機構のIT経営サポートセンターに「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を設置し、IPA(情報処理推進機構)の「不正アクセス相談窓口」での対応を行っていると答弁しました。加えて、対策パッケージを提供する「サイバーセキュリティお助けサービス」の導入経費を補助金で支援する考えを示しました。また、年末に策定される「日本成長戦略実行計画」について、中小企業がAX(AIトランスフォーメーション)を導入するための設備、人材育成、セキュリティの指針といった具体的な目標を盛り込むよう提案しました。古川デジタル大臣は、「医療、介護、建設その他の国民生活や経済活動の基盤となる分野および中小企業・小規模事業者を中心にAXを推進するためのアクションプランの検討を進め、中小企業のAXを加速するよう取り組んでいきたい」と答弁しました。
次期マイナンバーカードの調達と宇宙政策の推進
次期マイナンバーカードの調達における入札不成立の事案を巡っては、ランニングコスト高騰に原因があり、政府の対応が必要との認識を示しました。その上で、現在のマイナンバーカードの有効期限が2031年に到来することから、電子証明書の空白が生じないようデジタル庁の対応を問いました。古川デジタル大臣は、「本年7月21日に決定された『デジタル社会の実現に向けた重点計画』において、より強固な暗号技術を採用した次期マイナンバーカードの令和11年(2029年)中の導入を目指し、電子証明書の空白を作らないように検討を進める」と述べ、政府として適切に対応していく考えを示しました。
宇宙政策に関して、2030年代前半までに官民ロケットの年間30件程度の打ち上げを目指す目標について、射場や機体製造、審査の迅速化、体制強化など、環境改善への投資を要請しました。古川デジタル大臣は、SBIR(中小企業技術革新制度)や宇宙戦略基金による技術開発支援、官民投資ロードマップに基づく射場整備支援に取り組む方針を示しました。その上で、「複数の打ち上げに係るまとめての申請の実現など審査の迅速化を目指す。加えて、その実現には審査を担う行政人材の確保が必要なので、内閣府の体制強化を進めていくことも重要だと認識している」と体制強化に取り組む方針を示しました。

牧山ひろえ議員
牧山議員は、(1)G7オンライン首脳会議欠席問題を巡る政府のデジタル対応への懸念(2)窓口BPRアドバイザーの活用と自治体窓口DXの全国展開(3)在留手続き手数料の大幅改定と入管行政のDX支援――等について取り上げ、政府の見解をただしました。
G7オンライン首脳会議欠席問題を巡る政府のデジタル対応への懸念
牧山議員は、10月2日のG7オンライン首脳会議に高市総理が欠席した理由を取り上げ、各国首脳が全員出席する中で、高市総理がデジタル機器の不備を理由に参加できなかったことは、ワールドニュースになり得る異常事態であると問題視。牧山議員は、「Zoom等のツールに入れないというのは民間企業でも信じがたい」と述べ、政府の見解を求めました。古川デジタル大臣は、「個別の案件における個別の事案については答える立場にないが、デジタル庁としては、政府全体のデジタル化を進めていきたい」と答弁し、直接の言及は避けました。
窓口BPRアドバイザーの活用と自治体窓口DXの全国展開
自治体のDX化支援としてデジタル庁が推進する「窓口BPRアドバイザー」の派遣事業および連絡会議の成果についても質問しました。デジタル庁は、窓口DXSaaSの導入に向けたアドバイザー派遣事業や「窓口BPRアドバイザー連絡会議」の開催について報告し、現場での議論が窓口DXSaaSの仕様見直しや自治体支援の改善につながっていると答弁しました。牧山議員は、現場で人手不足が生じないよう、「デジタル庁が総合調整役となり、横のつながりを全国に広げて技術面でも支援することで、住民サービスの向上と現場の自治体職員の負担軽減を両立させるべきだ」と述べ、政府の認識を問いました。古川デジタル大臣は、窓口DXSaaSを活用したワンストップサービスの取り組みが全国に展開できるよう取り組み、法令等についても見直しが必要であるとの認識を示し、総合的に検討を進めると回答しました。さらに、牧山議員は、外国人住民の増加に伴う自治体窓口での多言語対応について、海老名市の字幕翻訳システム等の先進事例を全国に横展開していくよう要請したのに対し、古川デジタル大臣は自治体DXの高度化の重要性から有用な事例を共有していく考えを示しました。
在留手続き手数料の大幅改定と入管行政のDX支援
法務省所管の在留手続きに関する手数料改定について、6千件近いパブリックコメントが寄せられたにもかかわらず値上げが行われ、令和9年(2027年)度には最大900億円規模の歳入見込みとなる点を指摘し、前年度比の試算結果をただしました。出入国在留管理庁は、令和6年(2024年)度の手数料額と令和9年度見込額を比較した場合、「在留資格の変更許可および更新許可に係る手数料の歳入見込額は約12倍から15倍、永住許可に係る手数料の歳入見込額は約20倍になると見込まれる」と明らかにしました。また、牧山議員は、入管行政のDX化を技術面で支援することについて、多文化共生社会を実現する上での適正な運用を求めました。古川デジタル大臣は、ガバメントクラウド移行や専門人材派遣などの技術的支援に触れ、「多文化共生社会の実現につきましては法務省で検討が進められるものと承知し、デジタル庁としては、入管法改正に基づく電子渡航認証システム(JESTAなど)の2028年の導入に向けたシステム整備など出入国在留管理行政のデジタル化を支援していきたい」と答弁しました。

