一経済政策一 人からはじまる経済再生Economic Policies
目次
- 日本の世界競争力は低下!
出典:
IMF.World Economic Outlook Databaseを基に作成
出典:
IMF.World Economic Outlook Databaseを基に作成
- 伸び悩む自然エネルギーの割合!
注:
各国の電力消費量=[国内の発電電力量]+[他国からの流入量]ー[他国への輸出量]。グラフにおけるデータは、所内電力量(ネット発電量)に基づく。
出典:
IEA, Monthly Electricity Statistics – Data up to December 2022(2023年3月)より作成
- 科学論文数における日本の順位が低下!
分数カウント
出典:
文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2023」より作成
この30年、諸外国の実質賃金指数が上がるなか、日本は停滞。
※1
GLLD=「グリーン(Green)、ライフ(Life)、ローカル(Local)、デジタル(Digital)」
※2
「定常社会」=右肩上がりの成長、特に経済成長を絶対的な目標としなくとも十分な豊かさが実現されていく社会
※3
「ベーシックサービス」=教育、医療、介護など人間が生きていく上で不可欠なサービス
※4
「ビジョン22」=党綱領に掲げる「一人ひとりが個人として尊重され、多様な価値観や生き方を認め、互いに支え合いつつ、すべての人に居場所と出番のある共生社会」などを具現化するための中長期ビジョンです。有識者や学生の皆さんと共に、社会の基本構想を議論し、2022年5月に取りまとめました。
・人への投資で未来をつくる
・すべての人に居場所と出番のある多様で自由な共生社会
これまでの政治は、人を粗末にしすぎた。生まれた環境によって受けられる教育が左右されてしまい、結果として能力が発揮できない。賃金が上がらないことで、個人消費も伸びない。また、女性の幹部登用が少ないなど、同質集団による同調圧力によって創意工夫が失われている。
立憲民主党は、とにかく賃金を引き上げる。多種多様なライフスタイルや意見を反映させるための仕組みを整備する。徹底して「人」に寄り添うことで、誰もが自分の能力を十分に発揮することのできる、温もりのある環境をつくる。
- 学びなおしのための休暇制度の整備や公的職業訓練の拡充、リスキリングの徹底支援、正規・非正規を問わない機会の提供、中小企業等を中心に助成すること等により、希望する全ての人の学びなおしを支援します。
- 大学・給食の無償化など、教育の無償化を強力に推進します。
- 1500円を実現するために、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
- 性別、雇用形態にかかわらず同一価値労働同一賃金を実現します。
望まぬ非正規雇用を正規化します。 - 残業代の支払いを厳格化します。
- フリーランス・みなし個人事業主やギグワーカーなどの就労環境を向上させます。
- 生涯を通じて社会人の職業訓練を支援するとともに、セーフティネットを強化した上で成長分野への人材移動と集積を進めます。
- 安定雇用により高度な技能を持つ人材を育成し、自社内の技術開発に努める企業を支援します。
- 外国籍の人々が日本国内で安心して生活し、就労できる「多文化共生社会基本法」を制定します。
- 適正かつ公正な取引環境を進め、適切な価格転嫁を実現することで、賃上げの環境を整えます。
- 派遣業のあり方について見直します。就職氷河期世代の就労支援を行います。
- 選択的夫婦別姓制度を早期に実現します。
「LGBT差別解消法」を制定するとともに、同性婚を可能とする法制度を実現します。 - 産休・育休、有給休暇の取得促進など働きやすい労働環境を整備します。
- 技能実習制度に代わる新たな雇用制度の確立を目指します。
- ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ、労働組合やNPOなど株式会社以外の組織への支援を強化します。
・環境と成長が調和する定常社会へ
・一極集中から分散型社会へ、自然と調和した街と住まい
いまや「経済か環境か」という二者択一の時代ではない。環境を守れないと経済は成長しない。調和と共生を重視する方向へ、市場メカニズムを軌道修正する。グリーン(世界一の自然エネルギー立国)、ライフ(医療・介護分野)、ローカル(農業・観光分野)、デジタルの「GLLD」で、地域のニーズに応じた新たな産業を創出し、その担い手たるスタートアップを徹底支援する。
経済成熟化の時代にふさわしい持続可能な都市計画やまちづくり、住宅政策へと転換し、分散型社会への転換を図る。食料・エネルギーの自給率向上は、国富流出の防止、経済安全保障の観点からも強力に推し進める。
- 世界一の自然エネルギー立国を目指し、省エネ・再エネ大規模投資で年間約250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現します。
- 2030年の再エネ発電50%、2050年100%を目指します。
- 2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。
- 建物の断熱化を促進し、省エネや地場産業(建設業等)を振興します。
- 高性能太陽光パネル、洋上風力の国産化を後押しします。
- 自動車産業の脱炭素化の基盤整備を強力に進めます。
- 水素発電、水素還元方式による製鉄、水素運搬船等の実用化を支援します。
- 送電網・地域間連系線の増強、スマートグリッド導入等への公的支援を行います。
- 創薬・バイオ、ゲノム医療などの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進します。
- ビッグデータ活用による健康増進、健康寿命長期化のためのまちづくり、高齢者向け住宅リフォーム、IoT機器の活用等を進めます。
- 国産医薬品・医療機器の開発と既存の必須医薬品・医療機器の国産化のため、国主導で産官学一体支援の体制を構築します。
- 介護・医療従事者の身体的負担を軽減するため、ロボット技術の開発と運用を支援します。
- 農業、観光、自然エネルギーで豊かな地域経済の基盤を整備します。
- スマート農業、ソーラーシェアリング、国産材の利用、木材利用の技術革新(CLT等)を推進します。また、地域の特産品のブランド化・デザイン化、日本の「食」「酒」等の輸出、適切なセーフガードの設定を進めます。
- 農業者⼾別所得補償制度をバージョンアップし、⾷料安全保障確⽴に資する直接⽀払制度を構築します。
- 「観光立国推進特別措置法」(仮称)を制定し、休暇改革に取り組むとともに、観光人材の育成、観光資源の付加価値化・ブランド化など、観光環境を変革し、観光立国を強力に推進します。
- グリーンインフラの整備を着実に進め、豊かで多様な社会資本の再生と有効活用を図ります。
- 権限や財源の移譲、一括交付金の復活、 地方交付税の法定率の引き上げなどで、自治体の自主性・自律性を高めます。
- デジタル人材の育成を徹底的に進め、官民のデジタル化を強力に推進します。スタートアップを効果的に支援します。
- 次世代通信技術、光電融合、量子暗号、AI、デジタル・メタバース、航空宇宙、超電導、次世代モビリティなどの分野を大規模かつ中長期的・計画的に推進します。先端半導体の国産化を推進します。
- 国産クラウドサービスを確立します。国産ドローン開発・活用を推進します。
- 量子技術の実用化を後押しします。次世代インターネットの開発を後押しします。
- 完全自動運転に向けた環境整備を行います。
- 巨大デジタルプラットフォーマーへの適切な規制と起業の促進に取り組みます。
基礎研究費や研究開発費を今後10年間で大幅に引き上げます。
標準、規格、特許の分野での人材育成を強化し、世界標準を主導します。中小企業憲章の理念に基づき、事業継続、生産性向上、新事業の創出、事業承継などへの支援・拡充を総合的に実施します。ESG投資(環境、社会貢献、企業統治に配慮する企業への投資)を促進します。
・すべての人に安心のベーシックサービス
・公平な税制と再分配で格差と貧困の少ない社会へ
一人ひとりの「安心」が消費の確かな基盤となり、社会や経済を発展させる。いまの日本社会は、自己責任を強調するあまりセーフティーネットの整備が遅れ、将来不安が高まっている。
子育ても、自己責任に重きを置く政府の発想が少子化の流れを加速させている。誰もが安心できる、ほころびのないセーフティーネットを構築し、力強くしなやかな社会・経済を築く。
出典:
内閣府「国民生活に関する世論調査」
総務省「家計調査」(総世帯のうち勤労者世帯)より作成
セーフティーネットの整備
- ベーシックサービス(医療、介護、障がい福祉、子育て、保育、教育、放課後児童クラブ等)の質・量を充実させます。
- ベーシックサービスを支える人材を確保するため、ベーシックサービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について正規化します。
- 児童手当は高校卒業年次まで全ての子どもに月額1万5千円を支給します。
- 賃貸住宅について、新たな家賃補助制度を創設します。子どもがいる世帯については、子どもの人数や地域により金額を加算します。
- 医療・介護・障がい福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。
「フェア」な分配・再分配を成長の基盤に
- 所得再分配機能を強化するため、所得税・相続税・贈与税等の累進性の強化を図ります。
- 金融所得課税は分離課税のまま累進税率を当面導入し、中長期的に総合課税化します。
- 消費税については、現行の軽減税率制度を廃止し、「給付付き税額控除」を導入します。
- 政府・日銀の共同声明を見直して、実質賃金の上昇を目標に定めるとともに、その実現に向けて政府・日銀が一体的に取り組むこと等を明記します。
- 財政健全化に向けて独立財政機関「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置し、その推計に基づき、3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針「中期財政フレーム」の策定を政府に義務付けます。
- 「公益資本主義」を導入し、株主・金融偏重の経営を見直し、従業員・消費者・取引先・地域社会など多様なステークホルダーへの利益の公正な分配の実現を目指します。
私たちは10年後の日本を明るくしたい。いまの政権は、雇用と産業の柱を立てられず「飯のタネ」を見いだせていない。技術革新の遅れ、加速する少子高齢化、衰退する地域といった課題を克服し、立憲民主党は日本経済を伸ばしていく。
企業が株の配当や内部留保を増やす一方、働く人は「有休」も「育休」も取れず、生活のゆとりが失われている。政権は変化に対応する力を示せていない。しがらみだらけで身動きの取れない政治。自己利益に走る政治、古い価値観にとらわれ、新しい多様な価値を受け止められない政治。変われない政治こそが、停滞の最大の原因だ。
この政治を乗り越えて、確かな10年後の「飯のタネ」をつくろう。今こそ、「人」への投資を徹底し、所得を伸ばし、産業を伸ばすためのダイナミックな経済と政治への転換が必要だ。
全産業において、今後の重要なテーマは、グリーン(Green)、ライフ(Life)、ローカル(Local)、デジタル(Digital)の「GLLD」だ。脱炭素を進め、省エネ・再エネを徹底し、グリーン成長を社会の変革につなげる。創薬・バイオ分野をはじめ、研究開発費を大幅に引き上げることで、新産業と雇用の創出を徹底して後押しする。大都市圏への人口集中を緩和し、持続可能な分散型社会への転換を図る。デジタル化を通じて労働生産性を引き上げる。
そして、これらの新たな分野を担う「人」を、とことん支える。
短期主義経営の見直しやコーポレートガバナンス改革により、給料や手取りを増やし、中長期的な経常利益を高く維持する経営を奨励する。
格差を是正し、一人ひとりが安心して消費することのできる環境を整える。教育を無償化するとともに、リスキリングやリカレント教育を拡充し、誰もが安心して学び、また学び直すことのできる環境をつくる。
これが、人からはじまる経済再生。10年後の日本、確かな「飯のタネ」をつくるのは、立憲民主党です。