(政治不信)
昨年、露見した自民党の裏金問題は、戦後政治の抱えてきた「政治とカネ」問題の氷山の一角です。ロッキード事件、リクルート事件等の幾多の政治スキャンダルを経て、その都度、政治不信が深刻化しながら、結局本質的に自民党政治は変わろうとしませんでした。今回の裏金問題も、自民党は真相を解明せず、抜け道だらけの政治改革案を強行に成立させただけでした。
(ゆがんだ政治)
選挙では「地盤・看板・カバン」を引き継ぐ世襲議員が圧倒的に優位と言われてきました。この20年間の総理大臣6人のうち5人は世襲議員でした。永田町だけはいつまでも時代錯誤がまかり通ってきました。
そして、政策や予算についても、継続して政治献金を行う一部の大企業等に有利な配慮は配分がなされてきたと指摘されています。
例えば、特定の分野・業界を優遇する租税特別措置(租特)の恩恵は主に大企業が享受しています。民主党政権時代、租特透明化法の制定、政策評価の制度化などを進め、その整理・合理化を図りましたが、第二次安倍政権以降は逆に租特の拡充が行われています。
アベノミクスは円安・株高をもたらしましたが、その恩恵は一部の輸出大企業と富裕層に偏り、想定された「トリクルダウン」は生じず、格差が拡大しました。加えて「異次元の金融緩和」の負の遺産とも言うべき円安・物価高により、今、多くの国民の生活が苦しくなっています。
結局、多額の政治献金と結びついた利権から外れたテーマ、環境政策、子ども子育て政策、若者政策、ジェンダー平等政策といった問題は、いくら国民生活に重要であっても、優先順位が低く放置されてきました。
(ゆがんだ政治の結果)
その結果が今の日本です。
1990年代初頭には1位だったIMD世界競争力ランキングで現在は35位(2023年)。その間、実質賃金は上がらず(※1)、税や社会保障負担は増大。国民は豊かさを実感できず、将来不安におびえています。
出生率は想定よりも早いスピードで進行(※2)し、子育て罰という言葉が象徴するような政治から育児が困難に思えるような社会になっていきました。不登校やひきこもりといった、既存の枠組みに合わず、生きづらさを感じる子どもや若者も増加(※3)しています。雇用が不安定な非正規雇用が4割弱と固定化されています(※4)。また老後に対する不安は大きく(※5)、高齢者の貧困が社会問題として認識されるようなってきました。
(国民と政治の関係)
国のあり方、国際社会でのポジションや社会のあり方が変わるほどのことが起きていながら、国の主権者たる国民が国の方向性を決めた実感はありません。国民にとって、政治は白紙委任的に行われ、国民生活に関わることを決めているにもかかわらず政治は国民から遠く、何が行われているのかよく分からない。知らないうちに大事なことが決められているというのが実感ではないでしょうか。
国政選挙の時ですら、ここ30年の投票率は平均で6割台(※6)です。
報道の自由度ランキングは180か国中70位(※7)とG7で最下位です。たびたび、杜撰な公文書管理が問題となる等、民主主義の基盤も危うくなっています。
(立憲民主党が目指す「まっとうな政治」とは)
立憲民主党は、カネで選挙や政策・予算がゆがめられない政治、一部ではなく多様な声を反映する政治、民主主義を守り育てる政治を実現するべく取り組んでいます。
どんな聞こえの良い政策を提案しても、訴えている政党の、政治家の体質が、政治文化が、まっとうでなければ説得力を持ちません。国民の政治への信頼を得るために、政策だけでなく政党のガバナンスも含めあらゆる面を視野に、まっとうな政治を目指します。
今、政治全体が問われています。だからこそ 政治とカネの問題を洗いざらい見直し、政治不信を払しょくし、国民の信頼を取り戻していくことが重要です。健全な国民と政治の関係を作らなければ、政治は機能しません。立憲民主党は、まずは今、目の前にある政治改革を本気で進めていきます。
「まっとうな政治へ」立憲民主党の提案
✅ゆがんだ政治とカネの関係をただす
❶政治家本人の処罰強化
❷政治資金の流れを見える化
❸一部の声で選挙も政策もゆがめないために、企業団体献金の禁止
✅多様な声を国会へ
❶立候補年齢の引き下げ
❷立候補休暇制度の創設
❸男女半々の議会=パリテを実現
❹政治資金の世襲を禁止
✅政治を身近に
❶インターネット投票を実現して投票率をあげる
✅民主主義の基盤を守る
❶公文書を適正に作成し管理する
※2) 厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
※3)文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
※5) 公益財団法人生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
※6)総務省「衆議院議員総選挙(大選挙区・中選挙区・小選挙区)における投票率の推移」