党税制調査会長の海江田万里衆院議員、衆院総務委員会筆頭理事の岡島一正衆院議員、党税制調査会事務局長の道下大樹衆院議員は11日、財務省に中西健治財務副大臣を訪ね、2021年度税制改正への提言とする申し入れを行いました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、日本がこれまで抱えてきたさまざまな問題があらためて浮き彫りになると同時に、さらに拡大、深刻化しています。その課題解決のために社会全体の改革を進めるに当たり、税制が果たす役割は大きいことから、提言では、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の目指すべき社会像も見据えつつ税制上の具体的な支援策を求めています。

 提言は、(1)コロナ禍に対する税制・財政上の対応(2)中小企業等の事業継続・雇用維持とウィズコロナへの経営支援(3)所得格差是正のための公平な税制の実現(4)社会保障を支える財源調達と消費税の改革(5)安心で質の高い生活を維持するための税制(6)若者・子ども子育て世帯、DV被害者を支援する税制(7)地域の足を守るための安心・安全・円滑な公共交通の確保(8)グリーン税制・グリーンリカバリーの推進(9)大規模災害対策関連税制の推進(10)地方自治に関する税制(11)その他――の11項目。

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 海江田衆院議員は、10日に与党が2021年度税制大綱発表したことを受け、与党と重複しない点を中心に立憲民主党の考え方を説明。中小企業支援などは同じ認識だとした上で、コロナ禍に対する税制・財政上の対応として、特にいたんでいる医療機関や介護施設に対し寄付控除の拡充、設備投資等の優遇措置や、通勤手当非課税限度額の適用等、テレワーク支援税制の拡充などを求めました。

 また、「所得格差是正」の観点から、所得再分配機能を強化する必要があると強調。株式譲渡益等の金融所得を定率(低率)の分離課税から総合課税に改めるなどの具体的措置を求めました。

 岡島衆院議員は、災害・緊急事態局長の立場からも、大規模災害対策関連税について、国会閉会時でも迅速に対応できるよう、被災者生活再建支援金の恒久化などを要請。道下衆院議員は、若者支援の観点から日本学生支援機構貸与奨学金返還額の所得控除を求めたほか、地方自治関連についても言及しました。

 面談後に記者団の取材に応じた海江田衆院議員は、「増税しないことは妥当な考え方だが、全体的に税の所得再分配機能がかなり落ちているので、復活を求めた。これには中西副大臣も『大きな問題意識はコロナウイルス感染症であり中小企業、地方財政だ』とのことだった」とコメント。中西副大臣からは、「COVID-19の拡大により産業構造の転換が求められている。変革の時期だ」との旨発言があったと紹介し、認識はほぼ一緒だと述べました。

2021年度税制改正への提言(2020年12月4日公表版).pdf