衆院予算委員会で25日、2020年度第3次補正予算に関する基本的質疑が行われ、「立憲民主党・無所属」のトップバッターとして小川淳也議員が質問に立ちました。

 小川議員は冒頭、新型コロナウイルス感染症ワクチンをめぐり、21日の坂井官房副長官の「今年前半までに全国民に提供するワクチンの確保を目指す」との発言に対し、ワクチン接種の総合調整を担う河野行政改革・規制改革担当大臣が22日、現時点では(医療従事者に)2月下旬の接種開始を目指して準備をしている」などと発言、坂井官房副長官の発言を削除すると発表したことを念頭に、「週末挟んで政権内の発信の乱れがあった」として、ワクチンの確保を「見込んでいる」のか「目指している」のかを菅総理に確認。合わせて、 東京オリンピック・パラリンピックについて中止も検討の対象に入っているのかいないのかと答弁を求めました。

 菅総理は、「ワクチンについては目指している」「オリンピック・パラリンピックについては挙行する準備を整えている」とそれぞれ答弁。小川議員は河野当大臣に対し、「発信力には敬意を表するが、よく中で調整してから発信をしてほしい。国民が混乱する」と苦言を呈するとともに、菅総理が昨年9月の所信表明演説では「来年前半までにすべての国民に提供できる数量を確保し、無料で接種する」との発言をしていたことを引き合いに、明らかに後退していると指摘しました。

 第3次補正予算については、「GoTo(キャンペーン)をもっと早く止めていたらどうなったか、緊急事態宣言をもっと発していたら状況が変わっていたかもしれない。外国人の流入をもっと早く止めていたら変異種(変異株)流入を防げたかもしれない。総理なりにいろいろ反省があると思うが、全部あとの祭りだ」と政府の対応をあらためて批判。そうしたなか、3月までの補正予算に1兆円のGoToキャンペーン関連予算が入っていることに、「不謹慎だ」「国民に誤ったメッセージを与えている」と断じ、撤回して組み替えを求めました。

 22日に閣議決定された新型コロナウイルス対策の感染症法改正案をめぐっては、東京都内だけで約6千人が入院を待ち、全国では3、4万人が待機している状況のなかで入院拒否者に対する懲役刑の導入が盛り込まれていることを問題視。撤回の上、修正に応じるよう要請しました。

 菅総理は「新型コロナウイルス感染症患者の中には医療機関から無断で抜け出してきたという事案もある。全国知事会からも罰則の創設を求める緊急提言もいただいている。こうしたことを踏まえ感染拡大防止策の実効性を高めるために罰則を設ける」などと答えましたが、小川議員は「どれだけあると把握しているのかも含めて立法事実を立証する責任がある。むしろ処罰されるべきは、満足な入院環境を整えられなかった政府の側ではないか。それこそが国民の思いではないか」と迫りました。

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 その上で、11月に自身が感染した患者当事者としての体験を踏まえて、(1)約6万の内科クリニックのうち発熱外来に対応しているのは2万と、3分の1に過ぎず不十分であること(2)医療機関が非公表であるため事前に準備ができないこと(3)陽性が確定すれば保健所の監督下に入り防護車両が使えるが、検査を受けるまでは自助努力で病院まで徒歩で行かざるを得なかったこと(4)濃厚接触者と指定された人は公費で検査を受けられるが、それ以外は自費検査に追い込まれること(5)入院後の検査の結果、「軽症」と診断され、投薬状況非公表という方針のもと(呼吸器につながれなければ)投薬がなされず不安材料の1つになること(6)約10日間病室から一歩も出ない日々のなか、看護師が清掃、ごみ出しまでと加重負担になっていること――の6つの課題を列挙。検査政策の観点から、自身と発症当日の16日に面会した田村厚生労働大臣に対し、濃厚接触者には当たらなかった立場ではあったが、検査を受けたかどうかを尋ねましたが、「個人情報になる。ここで言うのは適当ではない」と答弁を避けました。

 小川議員は「同じ状況になった方がどうすべきかをあなたの行動は厚労大臣として体現してなければいけない」と指摘し、濃厚接触者の対象に当たらずとも自費で検査をしている人が多いとして、この対象範囲が狭いのではないかと問題提起しました。

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