「『ミスマッチがなければ』(十分なワクチンの供給はある)などというのは、言い訳に過ぎない。きちんと菅総理自らの言葉で語って国民を安心させるべきだ」(長妻昭副代表)。
衆院の厚生労働委員会で7日、閉会中審査があり、長妻昭副代表が質問に立ちました。長妻副代表は(1)まん延防止等重点措置の1カ月間延長(2)新型コロナウイルス感染症対策ワクチンの「2回目接種難民」問題(3)ワクチン供給不足による職域接種計画の遅れ(4)東京オリンピック・パラリンピック開催の是非(5)来日する五輪関係者の待機緩和措置(隔離要請期間の免除)――などについて、政府の見解をただしました。
■まん延防止等重点措置の1カ月間延長
前日の大臣会合において、首都圏などにおけるまん延防止等重点措置の期間が約1カ月間程度延長されることが議論されたとの報道について取り上げました。政府分科会の尾身茂会長に、科学者としての現状認識をただしたところ、尾身会長は「政府の新型コロナ対策の取り組みの中でも『最も重要な時期の一つ』」との認識を示しました。
その理由として、尾身会長は(1)東京をはじめとする地域において、新型コロナウイルスの実効再生産数が、2週連続で「1」を超えており、感染が若年層や中年層にも広がる兆候を見せていること(2)間もなく4連休、夏休み、東京オリンピック開催などの時期を迎えることになり、感染が地方にも広がる可能性が出てきていること(3)感染者の総数が増えれば、今後医療がひっ迫する可能性が高まること――の3点を挙げるとともに、「効果的な対策が必要だ」との認識を示しました。
■新型コロナウイルス感染症対策ワクチンの「2回目接種難民」問題等について
長妻副代表は「『2回目接種難民』という言葉を大臣はご存じですか」と問いかけ、今、国民のワクチン接種が進む中、ワクチン供給が追い付かない状況が生まれており、「期限とされる4週間以内に、2回目の接種が受けられないのではないか」との不安が、1回目の接種を受けた国民の間に広がっていると指摘。またワクチン供給のメドが立たないことから、日本郵政グループが職域接種の計画を無期延期したことについても触れ、ワクチン供給の不足が民間企業の職域接種計画の遅れにも影響を与え始めていることについてただしました。
前者の「ワクチン難民」の問いに対し田村厚労大臣は、「ファイザーワクチンについては、2回目を6週間以内までに打てば効果がある」と述べた他、「地域的な需給のミスマッチさえ起らなければ7、8月まで対応できる供給量はある」と答弁しました。
また、後者の職域接種に関する質問に対しては、すでに申請承認された職域接種会場についてはワクチンが供給される見通しであること、また現時点で承認を受けていない職域接種会場についても、8月9日以降に接種が可能となるよう手続きを進めていると山本博司厚労副大臣が答弁しました。
このワクチンの供給不足について長妻副代表は、菅総理が自らの政治生命を賭けて「月100万回の接種」を掲げ、医療関係者らが総動員された挙句にワクチンの供給不足が起こっている現状を指摘した上で「無責任ではないか」と政府の責任をただしました。
長妻副代表は「『ミスマッチがなかったら』(十分足りる)などというのは、言い訳に過ぎない。きちんと菅総理自らの言葉で、国民を安心させるべきだ」と菅総理が自らの言葉で国民に語りかけるよう求めました。
■東京オリンピック・パラリンピック開催の是非
菅総理が「国民の生命と健康を守れないならば、五輪を中止する」と発言していることについて、「病床がひっ迫して、感染者が自宅でどんどん亡くなるならば中止となるということか」と、政府にその真意をただしました。
これに対し田村厚労大臣は「五輪開催により感染が急拡大し、病床がひっ迫するというような事態を念頭に置いた発言ではないか」と答弁。長妻副代表は「五輪を開催した後に病床がひっ迫するような事態が起これば、即刻中止すべきだ」と訴えましたが、田村厚労大臣が首をかしげる素振りを見せたため「そういう状況でもお祭り気分になるのか」と色をなして問い詰める場面もありました。さらに「入院できない方々が無念のまま自宅で亡くなった、1月のような光景は二度と見たくない。あれは戦後の日本の医療行政の最大の失敗、汚点だった」と、1月当時を振り返り、政府に反省を求めました。
■五輪関係者の待機緩和措置について
4月から6月の期間中に日本に入国した五輪関係者の人数と、そのうち14日間の隔離を免除された関係者の割合をただしました。これに対して政府は、該当期間に入国した計3,076人の約85%にあたる2,617人が、待機緩和措置の対象となっていたと報告。長妻副代表は、一般人については全ての国からの入国が規制されている現状に鑑み「五輪選手たちはともかく、関係者らは一般人と同じ14日間の隔離とすべきなのではないか」と、政府の措置に対し、強く疑問を呈しました。
また政府の水際対策を確かめるために、立憲民主党が前日に、羽田空港を視察したことを長妻副代表は報告。「(五輪関係者と一般国民が)完全に接触しない対応になっていた」との菅総理の言葉に反し、一旦入国手続きを済ませた後は、五輪関係者と一般人が交じり合っており、「ザルでした」と政府の水際対策を強く批判しました。