衆院政治改革特別委員会で12月12日、政治資金規正法の再改正などに向けて各党が提出した9法案の審議が行われました。質問に立った江田憲司、源馬謙太郎両議員はそれぞれ、(1) 企業・団体献金の廃止(2)政策活動費――等を取り上げました。
江田議員は、企業・団体献金に関する石破総理の答弁「献金によって政策がゆがめられたという記憶を持っていない」に言及。戦後の昭電疑獄、造船疑獄、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件、リクルート事件、佐川急便事件、最近でも自民党政治家によるIRカジノ事業や風力発電事業をめぐる贈収賄事件など、枚挙にいとまがないほど不祥事が起こっているとして、自民党の法案提出者も総理と同じ認識かを問いました。小泉進次郎議員は「政治資金規正法の趣旨は、世の中に公開して問題がある場合には正されるようにすること。われわれは禁止ではなく公開の立場だ」と答弁。江田議員は「結果的に政策がゆがめられたから犯罪になって立件された。国民の信頼を回復するために、与野党ともに政治改革を断行しようという時に、その大前提たる基本認識が世間と乖離(かいり)している。だからまともな政治改革案が出てこない」と断じました。
石破総理の答弁「表現の自由を定めた憲法21条に抵触する」については、内閣法制局の「具体的に検討していないためお答えする立場にない」との答弁を受け、政府の統一見解をまとめるよう求めました。
また、「1994年政党助成法成立時に政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金廃止という方向になった事実はない。そんな意識を持った者は少なくとも自民党にはいなかった」との答弁をめぐっては、当時石破総理は自民党を離党していたことを指摘した上で、自民党提出者も同様の認識かと質問。小泉議員も「政党助成制度の導入と企業・団体献金の全面禁止がバーターであるという認識には立っていない」と答えました。橋本政権の政治担当の総理秘書官だった江田議員は「生き証人の1人だと自負している」と述べ、97年9月24日3党首会談での政治改革の議論での結論は「平成11年に企業・団体献金が禁止されることに鑑み、その方向で検討に緊急に着手し結論を得る」だっとメモを読み上げました。その後禁止とならなかったのは、「企業・団体献金がなければ事務所が運営できない」という1点だったとして、自民党内から94年の河野総裁の言を否定する発言が相次ぐことについて、参考人招致を求めました。
参考人招致について渡辺委員長は「速やかに理事会で協議する」と答えました。
源馬議員は、自民党案にある政策活動費に代わる「公開方法工夫支出」が第三者機関の監査のみで領収書を非公開としていることから、「政策活動費は黒塗りで、10年後だが公開だった。後退したのではないか」「公開方法工夫と言いつつ結局は公開しないのが実態。名称もミスリードだ」と指摘。また、第三者機関で監査し非公開となった場合、その支出が受け取り側から自民党側や議員に回ることがないことを担保できないとも述べました。