党新型コロナウイルス対策本部の長妻昭本部長らは4日、厚生労働省を訪れ、後藤茂之厚労大臣宛ての「濃厚接触者の待機期間短縮に向けた科学的検討及び検査体制の抜本拡充を求める緊急要請」を同省の担当局長に手交しました。

 要請には、同本部の中島克仁本部長代理、山井和則厚生労働部会長、柚木道義衆院議員が参加しました。

 要請内容は、以下の3項目です。
(1)エッセンシャルワーカーに限り、検査で陰性であれば5日目で解除されることとなった濃厚接触者の待機期間について、エッセンシャルワーカーに限定せず、その対象を一般に拡大することの必要性や安全性について、早急に専門家の意見を確認すること
(2)濃厚接触者等が迅速確実に検査を受けることができるよう、十分な検査キットを確保するなど検査体制を拡充すること
(3)検査体制を充実したにもかかわらず、各地で濃厚接触者でさえ検査が受けられない状況になっていることついて、なぜそのような事態になったのか速やかに検証し、今後の対策に生かすこと

 長妻本部長は、濃厚接触者の待機期間について、「検査なしでの診断は本来あってはならないが、検査体制が非常に遅れている現状に鑑みてやむを得ないさまざまな緊急措置がなされている。その中で、濃厚接触者への待機については、自治体をはじめ各方面から分かりにくく『何とかしてほしい』との要請がある。現在は、エッセンシャルワーカーに限って2回検査の上、陰性であれば5日目で解除されるという枠組みになっているが、ではエッセンシャルワーカーとは何かと言ったときに、問い合わせをしてもなかなか答えられる体制にない。勤務地ではなく居住地の自治体が判断するため、同じ職場でもエッセンシャルワーカーとそうでない人が出てくるという煩雑な状況にある」と指摘。感染者の同居家族などの濃厚接触者の待機期間をめぐっては、「発症までの期間が短縮している実態に即して、エビデンスベースで見直した」(後藤厚労大臣)として3日、最大17日から7日へと短縮したことにも触れ、「定義の曖昧さが露呈している。科学的データがあれば出し惜しみせずにすべて出してもらった上で対応してもらいたい」と求めました。

 担当局長は、濃厚接触者の待機期間については、「ご指摘を踏まえ、専門家の意見を聞きより適切な措置を行っていきたい」旨発言。検査体制については、現状の改善とともに、こうした事態になったことについても検証していきたいと応じました。

【要請文】

濃厚接触者の待機期間短縮に向けた科学的検討及び検査体制の抜本拡充を求める緊急要請(2022年2月4日)-.jpg

濃厚接触者の待機期間短縮に向けた科学的検討及び検査体制の抜本拡充を求める緊急要請(2022年2月4日).pdf

DSC_1353bura.jpg

 申し入れ後、記者団の取材に応じた長妻本部長は、方針の見直しにあたっては、科学的なエビデンスに加えて、決定のルールや経緯が分かるよう議事録の必要も強調。「政府は矢継ぎ早に緩和策を出した。結論についてはやむを得ない措置だと思うが、決め方についてはアドバイザリーボート、あるいは4つある分科会か、専門家の了承をとる手続きをしているのかどうか。手続きを踏んで、専門家の意見を聞いて、科学的エビデンスをもって実行してほしい。エッセンシャルワーカーがOKであればそれを広げることにも科学的エビデンスがあるのだろうと思う。きちんと議論した上で迅速に決めてもらいたい」と求めました。

 また、検査キットがない等、医療体制がひっ迫しているところでは、緩和をしても7日目での解除のままだとの認識を示した上で、可能なところでは対応できるよう準備が必要だと述べました。

 中島本部長代理は、自身の地元山梨県では1日、就業中の新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者の待機期間について、検査で2回陰性が確認された場合、職種を問わず最短5日目に待機を解除すると発表したことに言及。3日の質疑で、自身の質問に対し後藤大臣が「知事の判断で容認する」と答弁したとして、「もっと広く周知していただくことで、そうした運用をする自治体が増えてくると思う。専門家にその科学的根拠の検討を早急に行うべき。そうしないと社会も回らないし混乱もひどくなる」と述べました。

 山井厚労部長は、居住する地域によって誰がエッセンシャルワーカーかがばらばらであり、担当局長自身ですら「エッセンシャルワーカーに当たるかどうかは分からない」と発言している現状に、「大混乱に陥っている。きちんと専門家の意見を聞いて、早急に結論を出すべき。混乱を収束させないといけない」と述べました。

 柚木議員は、新型コロナウイルス感染症分科会が11月から開かれていないこともあらためて問題視。「このままでは社会活動を止めないこともコロナの感染拡大を止めることもできない」と述べ、早急に要望を反映してもらいたいと訴えました。