逢坂誠二代表代行は3月4日、「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の一環として、同委員会委員の一般社団法人グラフィックファシリテーション協会代表理事で、株式会社しごと総合研究所代表取締役社長の山田夏子さんとオンラインで対談。コーディネーターは京都芸術大学教授の本間正人さんが務めました。

 グラフィックファシリテーション協会のウエブサイトには、「グラフィックファシリテーションとは、対話(はなし)を見える化することで、場の活性化や相互理解をうながし、参加者の主体性を育むコミュニケーション手法」とあります。

 美術大学で彫刻を専攻していたという山田さんは、大学卒業後、クリエイターを養成する学校にて教員や校長、スタッフの人材育成などを経験した後に独立。「人が成長したりパフォーマンスを発揮するには、個人の能力以上に、人と人との『関係性』が大きく影響することを実感した」として、現在は、小さな組織から大企業まで、背景や思惑の違う人たちがお互い納得して仕事ができるよう、組織の『関係性』を取り扱うチームビルディングや組織開発をグラフィックファシリテーションという手法を用いて実施しています。「良い関係性とは、表面上の仲良し(言いにくいことを飲み込むこと)ではなく、言いにくいことも言い合える関係のことだ」と話してくれました。

 対談では山田さんがまず「社会ビジョンを考えていく上で、時代の変化に合わせて自分たちの『意識』をも変えていく必要がある」と組織開発の視点を用いて発言。競争しないと生き残れないという『競争原理』の意識から、お互いの違いや多様性を受け入れ活かす『相互扶助』へと意識を変える必要があると話しました。

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 山田さんは、「人がお互いの多様性を深く理解し、関係性を紡ぐには、(1) 目に見える事柄(合意的現実レベル)だけでなく、(2) 目には見えないけれど一人一人の中に自覚できている気持ちや思い(ドリーミング)や、(3) まだ言葉にもならない直感的な感覚や当たり前すぎて無自覚になりがちな価値観(エッセンス)という、これら3つの現実レベルそれぞれを共有することが大切」と説明しました。

*注:国際紛争などの民族や国同士の対立を対話で紐解くファシリテーションを長年している、プロセスワークの創始者、アーノルド・ミンデル博士の研究をベースにしている。

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 その上で、企業等での活動例を紹介しながら、「私は普段、グラフィックファシリテーションなどのクリエイティブな手法を使って、ドリーミングやエッセンスを見える化し、描き出すことで、言いにくいであろう個人の本音や衝動を喚起することを手伝っています。表に見える現実としては、主張に違いがあっても、ドリーミングやエッセンスを掘り下げていくと、はっきりとした境界線はなく、根っこの部分での願いは繋がっていると実感なさる方はとても多いです」と、多様性を活かしながらも関係性を紡ぐことは可能だということを解説。

 また「激しい変化の時代において、今までの成功事例が通用しない答えのない世の中になっています。そのような中では、目に見える目先の目標やゴールだけを追うのではなく、なぜこのゴールを目指すのか?『目的』を明確にし、一人ひとりが自分の原動力と、組織としての目的がつながっていることが実感できると、力強いエネルギーへと変化していきます。特に大人は、『みんなに合わせなければ』という意識が働きがちですが、組織全体で主体的に合意し、行動へとつなげていくには、まず『自分はどうしたいのか、なぜそうしたいのか』を深め、広げてとらえることが大切です。さらに、他の人とのつながりや重なりを見つけていく対話的プロセスが必要となります」などと、話してくれました。

 最後に、山田さんは「考え方や意識を変える。価値の意味を考え直す」1つの案として、「1票の重みを、人口のバランスと残りの人生の長さによって変えてみる、などもあるかもしれない」と話し、「若い世代が自分たちが時代を変えていけるという自覚と責任を持ち、次世代に託していこうとベテラン層が思えるような取り組みを、『対話』しながら見つけていけるとうれしいです。その一歩として、立憲民主党の中の組織開発(多様性を活かし主体性のある合意形成の実感)を議員のみなさんが体感いただける場づくりからやれるといいですね」と提言してくれました。

 山田さんのプレゼンテーションの後、逢坂代表代行と学校教育にとどまらない保育、社会教育の在り方や、「ゆとり教育が目指すべきだったこと」「対話的手法」などについて意見を交わしました。


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