立憲民主党は3月7日、国会内で「放送法」国対ヒアリングを開催。小西洋之参院議員が、放送法が定める「政治的公平」の解釈について、当時の法理補佐官と総務省とのやり取りに関する一連の文書を入手し、3日の予算委員会で質問したことから、本文書について総務省情報流通行政局放送政策課から確認を行いました。

 同日ヒアリングに先立ち総務省は、小西議員の文書はすべて総務省の「行政文書」であることが確認できた、一般に公開されていることに鑑み、すべて公表することにしたと、発表しました。

 冒頭、山井和則衆院議員は、今回の行政文書から次の文章を読み上げました。

 今回の話は、特定の番組をあげつらうのではなく、ふんわりと上品にやると言っているのだから、その意味では山田秘書官は抵抗しすぎだったな。旧自治省が悪いのか旧郵政省が悪いのかは知らないが、総理もあまり総務省に好感触を持っているようではない。桜井総務審議官にも「無駄な抵抗はしないほうがいい」と伝えておこうと思う。

 総理がいちばん問題意識を持っているのはNHKの「JAPANデビュー」だが、これはもう過去の話。今はサンデーモーニングには問題意識を持っている。(報道ステーションの)古館も気に入らないが、古館はゲストを呼ぶ。ゲストが弱くて負けるのはしょうがないが、この違いは大きい。サンデーモーニングは番組の路線と合わないゲストを呼ばない。あんなのが(番組として)成り立つのはおかしい。あとはNHKの5:30のラジオ(?)もテレビに出演できないようなゲストばかりで質が悪いが、今日のところはこれはいい。とにかくサンデーモーニング。番記者にもいろいろ言っているが、総務省もウォッチしておかなきゃだめだろう。

(以上、「磯崎総理補佐官からの連絡(総理レクの結果について)」と題した「平成27年3月6日(金) 9:45分~10:05」と記載のある文書から磯崎総理補佐官の発言)

 山井議員は、「個別の番組名やキャスターの名前を出して、総理や総理周辺の人たちが総務省に圧力をかけるというのはあり得ない話」だと指摘しました。

 次に小西議員は経緯を説明。今回の文書は放送法の業務に携わっていた総務省の職員の方から提供を受けたもので、その方から「こうした違法行為を見て見ぬふりをすることはできない。民主主義の基盤である放送法を国民の手に、この資料を使って取り戻してください」といった言葉をいただいたと話しました。

 小西議員は、2014年11月に磯崎総理補佐官に放送政策課の局長らが呼び出され、2015年5月12日に高市早苗大臣(当時)が、これまでになかった初めての解釈、「放送局の番組全体でバランスを判断する」から、「一つの番組だけで放送局が政治的公平に反する」つまり「放送法違反と認める事ができ、かつそうしたものが重なれば、放送局の電波を止めることができるというこれまでの放送法の原則を根底から覆すものだと指摘。「これは放送法の破壊。補充的解釈といった話ではない」「たった一つの番組で、時の総務大臣の判断で違法を認定し、究極的には電波を止めることができるという話」だと説明しました。

 そして、「今日この瞬間も日本の放送に国家権力はいつでも介入できる恐ろしい解釈、今も生きている解釈。それが不正なプロセスで作られている」「違法な解釈」「言論・報道の自由の存立がかかった問題が本質」だと指摘しました。

 その後、参加した議員から放送政策課に質問。山井議員は基本的なこととして「総務省が作成する行政文書で、一般論としてねつ造した内容を行政文書にすることがあるのか」と問うと、放送政策課の方は「ないです」と答え、「今回公表した文書はすべて行政文書か」との問いには「はい」と述べました。

 また、高市大臣(当時)が指す「4枚」については、「どの4枚とおっしゃったのかまでは分からない」と回答し、具体的にどの4枚かは判明しませんでした。

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