衆院本会議で3月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法と内閣法の改正案について趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主・無所属を代表して中谷一馬議員が質疑に立ちました。本法案は、今後、感染症の発生やまん延の初期段階から政府が迅速に対応できるよう、特措法の規定を見直すとともに、感染症対策の司令塔機能の強化に向けて、内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」を設置することなどを盛り込んだものです。

 中谷議員は冒頭、小西洋之参院議員が入手した内部文書がすべて総務省の行政文書であると松本総務大臣が認めたことを受け、総理主導で即時に徹底調査し、結果をすべて公表するよう要請。放送法の解釈を変更しようとした事実の有無を含め、客観・中立な第三者委員会を立ち上げ、公正・公平に調査してほしいと求めました。

 岸田総理は、「文書が正確なものだったかどうか等について、総務省で引き続き精査を行っている。放送法の解釈について総務省で責任を持って整理し、従来の解釈を変更することなく補充的な説明をおこなったものと承知している。経緯については、放送法を所管する総務省で国民に分かりやすく適切に説明することが重要だと考えている」などと答えるにとどまりました。

 

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 中谷議員はその上で、新型コロナウイルス感染症の政府対応について(1)第三者的立場からの科学的な検証(2)アベノマスク配布事業費用の公開(3)新型コロナワクチン大量廃棄の損失(4)新型コロナワクチンの後遺症(5)ワクチン接種に係る委託事業者の過大請求事案や業務委託の在り方(6)内閣感染症危機管理統括庁(7)政府対策本部長の指示権――等を取り上げ、岸田総理の見解をただしました。

 アベノマスク事業に関しては、岸田総理は「一般配布事業を含め507億円を要している。単価、数量の開示は、情報公開制度の趣旨に則り、厚労省で大阪地裁判決を踏まえて対応していく」と答弁。新型コロナワクチンについては、これまで合計8億8200万回分のワクチンを購入しながら、今回約7750万回の廃棄見通しであることから、大量廃棄と損失への受け止めをただしましたが、「獲得競争が続く中、希望する方に届けられるよう複数の企業と獲得に向けて交渉していた。必要なものだったと考える」と強弁しました。

 内閣感染症危機管理統括庁の設置に関しては、昨年の有識者会議での報告書等を踏まえたもので、これまで対策にあたっていた既存の組織を廃止し機能を一元的に集約し、責任を明確化、総理及び官房長官を直接支えて各省庁の取り組みを統括するためのものだと説明。「専門家の知見を活用することも重要。連携し科学的知見に基づく政策立案の取り組みを推進していく」などと述べました。政府対策本部長の指示については、法的拘束力を持つものではないとする一方、設置期間は政策の一体性の確保が重要だと指摘しました。

 中谷議員はまた、子ども・子育て予算について、「いつになれば年に何兆円の子ども・子育て予算が増えることが明らかになるのか」と質問しましたが、岸田総理は「政策の中身が重要で、内容を詰めないと倍増の基準等を申し上げられない」と答弁。6月の骨太の方針までに将来的な子ども・子育て倍増に向けた大枠を提示する考えを示しました。

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