参院予算委員会は3月27日、集中審議を行い、杉尾秀哉参院議員、水岡俊一参院議員が質問しました。

■杉尾議員

 杉尾議員は、 (1) 自民党の裏金問題 (2) 盛山文部科学大臣と旧統一教会問題(3) 憲法改正問題――等について、質問しました。

 杉尾議員は、自民党の裏金問題をめぐり、安倍派幹部4人の処分について岸田総理に追及しました。岸田総理が26・27日に安倍派幹部4人の事情聴取を行うことについて、政治倫理審査会での発言以上の新事実が出てこなければ、何を根拠に処分をするのかと疑問視しました。その上で、コロナ禍の最中に銀座クラブで会食を行った3人の議員に対し、自民党の処分が「離党勧告」であった例を挙げ、今回は刑事事件であり、脱税の疑いが持たれているにもかかわらず裏金問題についての処分が、「党員資格停止を検討」と報道されていることについて、「離党勧告」以上でなければおかしいと指摘し、総理に見解を求めました。岸田総理は「処分については現段階では何も決まっていない」と答弁するにとどめました。

 また、二階元自民党幹事長が先日引退を表明したことにも言及し、「処分はしないのか」と総理に迫りました。岸田総理はここでも「処分などは党として決めていない」と述べました。

 さらに杉尾議員は、岸田総理が自らの政治責任や処分にまったく触れていないことについて、「相当多数の人が脱税の疑いまで持たれている。こんな不祥事はかつての自民党でもないこと。民間企業だったらトップは引責辞任する。自民党はそれだけ無責任な組織なのか」と断じました。岸田総理は、「個人で政治資金を受けたという事例は把握されていない」とした答弁を今回も繰り返しました。

 次に杉尾議員は、盛山文部科学大臣と旧統一教会との関係が明らかになったにもかかわらず、いまだに文部科学大臣の職にとどまる盛山大臣に対し、あらためて辞任を迫りました。「何ら恥ずべき行動はしていない。解散命令請求、指定も含め、しっかり与えられた職責を果たしていく」と答えた盛山大臣に、杉山議員は「言行不一致。驚くべき無責任」と返しました。

 最後に杉尾議員は憲法改正問題について質問。岸田総理が施政方針演説で、自身の任期中に改憲・条文案の具体化を進め、議論を加速するとした内容の発言を問題視し、「施政方針演説とは行政府の長である総理大臣がその年の基本方針を示すもので、憲法改正にここまで踏み込んだ発言をするのは、明らかな憲法99条違反だ」と指摘しました。岸田総理は「憲法改正は憲法の中で改正規定が定められている。その規定に基づいて改正を主張することは憲法99条との関係において決して矛盾するものではない。これが政府の見解」と否定しました。

 また、杉尾議員は自民党の改憲4項目にある「緊急事態条項の創設」について触れ、令和6年能登半島地震の初動対応が遅すぎるとして、「憲法改正に緊急事態条項を盛り込む前に、現状の政府の体制がどのようになっているのか点検をするのが先だ」と政府の姿勢を問題視しました。

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■水岡議員

 水岡議員は、自民党の裏金問題が発覚してから、「この通常国会でも多くの審議を裏金問題に割かなければいけなかった責任は総理にあるのでは」と問いかけ、いまだ全容解明されていない理由を質問しました。

 岸田総理は「実態解明がまだ不十分との国民の思いは真摯に受け取る。事実の解明を続けていかなければいけない。追加の聴き取り調査を行っているところ」と答えました。水岡議員が「政治倫理審査会において全く解明がされなかったから聞き取り調査をしているのか」と確認すると「国民の中にいくつか大きな疑念があるのも事実。だから追加の聴き取り調査をしている」と追加調査の位置づけを説明しました。

 水岡議員は「参議院において約40年にして初めて開かれた政倫審での自民党の議員の説明に納得できない。『記憶にない』『知らない』『私はその経緯について全く関知していない』のオンパレードだった」と厳しく批判しました。岸田総理は、「政倫審のルールに基づく弁明に厳しい声が寄せられている」と述べました。

 水岡議員は「『弁明』とは自分に対する誤解を解くことをいう。政倫審で自民党議員が発言したのは弁明ではなく『言い逃れ』だ」「言い逃れ、巧にその場をつくろって窮地を脱する。そういったことをやり続けていると国民からの信頼はまったくなくなる」と強い危機感を表しました。

 岸田総理が予算委員会で「現行法すら順守を徹底しなかった。コンプライアンス(法令順守)欠如が最も大きな原因だ」と発言したことについて、水岡議員は「ここまで自民党議員が落ちぶれたのかと残念で仕方ない。コンプライアンスは法令順守だけでなく、常識的に考えて、公序良俗、倫理という観念。それを確立していかなければならないとは、終わっている。そんな国会議員ならば辞めてほしい」と訴えました。

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