4月の東京15区補欠選挙、7月の東京都知事選挙、11月の兵庫県知事選挙などで、演説の妨害、選挙と無関係のポスターの掲示、「掲示板ビジネス」、奇抜な政見放送、候補者が自身の当選を目指さないと宣言したケース、SNSの虚偽情報など、従来の公職選挙法が想定していなかった複数の問題が顕在化しました。

 衆院解散・総選挙前にも、自民、公明、立憲、維新、国民、共産の6党で選挙運動用ポスター問題について協議が行われていました。今回、衆院総選挙を経て国会の構成が大きく変わったことから、れいわ新選組も含めた7党によって選挙に関する各党協議会が国会内で開かれました。立憲民主党からは大串博志党政治改革推進本部長(代表代行、選挙対策委員長)、落合貴之同本部事務局長(衆院政治改革に関する特別委員会野党筆頭理事)が出席しました。

 冒頭、自民党の逢沢一郎選挙制度調査会長から「国民から見て容認できないポスターの問題がある。SNS上の真偽不明の情報や偽情報が投票行動に影響している。国民が期待する公明正大な選挙の形を確保する必要がある。選挙に関する様々な議論について忌憚なく協議していきたい」との挨拶がありました。

 立憲民主党の大串本部長は「品位を保ちながら、表現の自由、選挙の自由とのバランスを保っていける議論をしていきたい」「(自分自身も)自由妨害に直面しあってはならないものと考えているが、まずは現行法の対応を注視すべきだ。(つばさの党による妨害行為は)事件化されており追加的な対応は慎重に考えるべきだ」と述べるとともに、「多くの党派に関係するので少数政党の意見も頂きながら各党が理解する制度にしていくべきだ」「参院選、都議選のタイミングを頭に置きながら周知期間も必要であり、現実的な議論をしていきたい」と発言しました。

 自民党の大野敬太郎選挙制度調査会事務局長から、ポスターに品位保持規定を新設し、候補者氏名の記載を義務化する公職選挙法改正案の要綱案を作成した経緯が報告され、「ポスター問題については次期通常国会での成立を目指したい」「SNSについても表現の自由との絡みはあるが、情報プラットフォーム法の特例の検討も考えたい」などの発言がありました。

 落合事務局長は、「衆院倫理選挙特別委員会で自由討議を行ってきたが、改革案がまとまったものも議論すべきだ」と提起しました。

 各党からは「選挙をもてあそぶ行為には有権者が賢明な判断を下すべきだ」「表現の自由や政治活動の自由の観点から慎重に考えるべき」「公職選挙法自体、べからず法になっているのを見直すべき」「ポスターの数やチラシの証紙を見直すべき」「規制しても実効性が担保できるのか」等の意見が出されました。

 協議の結果、会議の名称を「選挙に関する各党協議会」とし、議運理事会メンバーの会派から2名ずつが参加することになり、テーマも限定せず、種々の提案をテーブルに載せ、決めたものは進めるやり方にしたいとして、年明けの1月中に次回の会合を開く方向となりました。

 協議会後、大串本部長は記者団に対し、「速やかに結論を出せるものは出すが、表現の自由や選挙の自由に関する丁寧な議論の積み上げが大事だ」「まず政治改革の残った宿題である企業・団体献金の禁止の結論を得た上で、4月以降、ポスターなど選挙運動についてできるところから法制化していく」「少数会派の意見を聞く場を持つべきだ」などと述べました。