参院内閣委員会で5月26日、政府提出の国家情報会議設置法案に関連して、立憲民主党が修正案を提出しました。杉尾秀哉議員が提出者を代表して修正案(下記PDF参照)の趣旨説明を行いました。質疑では、塩村あやか、小島とも子両議員が政府案および修正案に対し質問しました。質疑終局後に鬼木誠議員は、立憲民主党提出の修正案に賛成、政府提出の原案に反対の立場で討論を行いました。採決の結果、与党をはじめ国民民主党などの賛成多数で原案が可決されました。

杉尾秀哉議員

 わが党案の趣旨説明に立った杉尾議員は、省庁横断的なインテリジェンス機能を強化するための司令塔組織を設置する点には賛成の立場だと表明した上で、本来これと同時に提案されるべき民主的統制のための措置や、日本国憲法が保障する基本的人権の不当な侵害の防止、政治的中立性の確保のための措置等が講じられていないと指摘。本修正案は、国家情報会議および国家情報局を設置する前提として、個人情報やプライバシーの保護に必要な歯止めとなる措置を講じるなど「国民の懸念を払拭するために必要な修正を行うもの」だと強調しました。

 修正案の主な内容は、(1)定義を明確化し、対象情報を「政策決定に不可欠なもの」に限定すること(2)人権侵害の防止と職員の政治的中立性確保のための方策についての調査・審議を国家情報会議の所掌事務に追加すること(3)国会報告を義務化し、調査結果や活動状況を年1回以上、国会に報告し公表することを規定すること(4)第三者機関を設置し、人権配慮や中立性を独立した立場で検証・監査する新機関の設置を検討し、速やかに措置を講じること――の4項目です。

塩村あやか議員

 塩村議員は、インテリジェンス機能の強化は賛成と理解を示しつつも、政府案では国民の基本的人権の不当な侵害につながるおそれがあり、市民・団体・地方議員から不安の声が上がっていることを問題視し、政府の認識を問いました。木原官房長官は、安全保障の確保など重要な国政運営の観点から収集する情報には、自治体の情報や民間から由来する情報を含むことはあり得るとの答弁。その上で、「国家情報会議の調査・審議に必要な範囲の情報収集に限られ、これと関係のない情報が、無制限に集約されるものではない」と繰り返し述べました。また、塩村議員は、政府案には人権の侵害防止、政治的な中立性確保や国会への報告といった歯止め規定がないことを追及。木原官房長官は、閣僚級の会議により各省庁の行う情報活動の基本方針を定め、民主的統制が図られるとの意義を強調しましたが、立憲民主党の修正案については直接的な言及を避けました。

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小島とも子議員

 小島議員は、今後の体制整備や取り組み強化の具体策をただすとともに、過去に不適切な情報収集や人権侵害が起きていた事実を踏まえ、各組織が具体的にどのように防止しようとしているのかを質問しました。各機関が真摯(しんし)に努力していることは理解できるとしながらも、過去に問題が起きてきたのは紛れもない事実であり、だからこそ日本国憲法が保障する基本的人権の尊重を制度として確保しなければならないと強調。国民を不当に監視する体制の構築にならないよう、過去に逸脱があったからこそ国民の不安があるのであり、「当然守る」という説明だけでは十分ではないと訴えました。

 また、個人情報保護や政治的中立に関する規定を法案に明記すると現場が萎縮するという政府の考えに対しても、本来適法な活動であれば明記によって妨げられるはずはないと疑問を示しました。

 情報機能の強化そのものに異論があるわけではなく、厳しい国際情勢の中でその必要性は認めつつも、人権保障や政治的中立性の確保と両立する制度設計が不可欠であることを改めて述べました。

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鬼木誠議員

 鬼木議員は採決に先立ち、国家情報会議設置法案について、修正案に賛成、政府原案には反対の立場から討論に立ちました。

 鬼木議員は「私たちはインテリジェンス能力強化のすべてを否定しているわけではない」とした上で「国家のインテリジェンス機能は軍事力や警察力と同様、強力な権力的機能であり、暴走すれば国民の人権を著しく侵害する危険性をはらんでいる」と指摘しました。

 その上で、欧米主要国では民主的統制や国会報告など透明性を確保する仕組みが整備されているにもかかわらず、政府案では「危機意識があまりにも希薄だ」と批判。立憲民主党が求めてきたプライバシー・個人情報保護や政治的中立性への配慮も明文化されなかったと述べました。

 また、大河原化工機事件や大垣警察市民監視事件に触れ「インテリジェンス機関が起こしてきた暴走の歴史を踏まえれば、民主的統制に関する措置が明文化されていない政府案に賛成するわけにはいかない」と強調。「本法案への国民の不信と不安を払拭するためにも、修正が最低限必要だ」と訴えました。

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【要綱】国家情報会議修正案.pdf
【条文】国家情報会議修正案条文.pdf
【対照表】国家情報会議修正案.pdf