2026年2月18日から7月25日まで開会した第221回特別国会では、立憲民主党は6本の法案を参議院に提出しました。内訳は、立憲民主党単独が1本、野党共同が5本、委員長提案が0本でした。すべて廃案となりました。また、修正案を7本提出しましたが、すべて否決されました。
予算については、暫定予算3案には賛成しましたが、本予算3案、補正予算2案には反対しました。政府が提出した閣法64本のうち55本に賛成しました。条約12本はすべて賛成しました。予算・政府提出法案・条約の賛成率は83.3%となりました。衆議院の議員立法14本のうち12本に賛成しました。衆法も入れた全体の賛成率は83.7%になります。
【立憲民主党が提出した議員立法】
・児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案(児童扶養手当「所得制限の壁」引上げ法案)(立憲・公明)
・主要農作物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案(主要農作物種子確保法案)(立憲・国民・公明・参政・共産)
・公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案(被選挙権年齢引下げ法案)(立憲)
・特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(障がい児福祉に係る所得制限撤廃法案)(立憲・公明)
・特定空襲等被害者に対する一時金の支給等に関する法律案(空襲被害者救済法案)(立憲・国民・公明・共産・れいわ・みらい・社民・沖縄)
・国による全ての水俣病の被害者の救済の実現に向けた給付金等の支給に係る制度の創設に関する法律案(水俣病被害者救済新法案)(立憲・共産・れいわ・沖縄・社民)
【立憲民主党が提出した修正案】
・財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲・公明・参政)=否決
・所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲・公明・参政)=否決 ・国家情報会議設置法案に対する修正案(立憲)=否決
・健康保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲・公明)=否決
・個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲・公明・沖縄)=否決
・刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲・公明)=否決 ・皇室典範等の一部を改正する法律案に対する修正案(立憲)=否決
【立憲民主党が反対した閣法】
・財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(特例公債法改正案)
(反対理由)
我が国の財政は、債務残高対GDP比が200%を超過するなど、かねてより厳しい状況にあることに加えて、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」により、市場の信認が揺らぎ、急速な円安や金利上昇が進行する事態を招くなど、深刻さを増している。こうした状況に鑑みれば、特例公債の発行期間は、複数年度とするのではなく、以前のように1年間とし、毎年の国会審議を経た上で政府に発行権限を授与するものとする方が、財政民主主義、あるいは市場の信認維持の観点から妥当である。
・所得税法等の一部を改正する法律案
(反対理由)
既に決定された防衛特別法人税の創設とたばこ税の増税により、税制措置で賄うことを予定していた防衛財源(1兆円強)は確保できる見込みであることに鑑みれば、現在の厳しい経済状況で国民に新たな負担を求める合理的根拠はもはや存在しない。
・出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案(入管法改正案)
(反対理由)
電子渡航承認制度(JESTA)創設は評価する声がある一方、在留許可手数料の引き上げについては、①引き上げ額に関する積算根拠が不明で応益的要素が明らかになっていない、 当事者の意見を聞く仕組みがない、②外国籍の生活基盤を直撃しはしないかなど、懸念や疑義がある。
・国家情報会議設置法案
(反対理由)
緊迫する国際情勢においてインテリジェンス機能を強化することは必要であるが、既存のインテリジェンス機関を格上げしてより多くの情報を収集しようとする一方で、民主的統制のための独立機関の設置検討や、日本国憲法が保障する基本的人権の不当な侵害の防止、政治的中立性の確保のための措置等が欠けている。
・健康保険法等の一部を改正する法律案
(反対理由)
高額療養費について、長期療養者への一定の配慮を規定しているものの、政府は2段階で高額療養費の自己負担限度額を引き上げることを予定しており、患者負担が現行より増加すること等が想定されている。また、市販薬(OTC医薬品)との代替性が特に高い薬剤(OTC類似薬)について患者に追加負担を求める規定が盛り込まれており、受診抑制につながること等が懸念される。立憲民主党は法案の問題について改善等を図るための附帯決議を勝ち取ったものの、公明党と共同で提出した修正案が否決され、国民が安心して適切な医療を受け続けられる環境が担保されないため、反対した。
・主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案
(反対理由)
法案第二章第二節の「生産者による需要に応じた生産」等の文言には、需給調整の責任や不作・過剰時のリスクを生産者のみに負わせることが懸念される。
・個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案
(反対理由)
いわゆる「統計特例」によって、人種、信条、社会的身分、病歴、障害、犯罪歴、犯罪被害などの、他人に知られたくない機微な情報を本人の同意なく提供することができるようになる。一方、新設される「課徴金制度」の金額や範囲が限定的であり、事業者に対する抑止効果に疑問が残る。団体による差止請求制度及び被害回復制度が見送られている。
・刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(反対理由)
えん罪の被害者らを確実に救済できる内容になっておらず、迅速に救済できる内容にもなっていない。「証拠提出命令」は、再審請求理由と関連する証拠という極めて限定的な範囲であって、かえって証拠が出てこない懸念がある。「証拠の目的外使用の全面禁止」は、国民の知る権利を損なうとともに、再審請求者や弁護士への萎縮効果が生まれる。「幅広い証拠開示」が義務化されておらず、「検察官抗告」も引き延ばしに使われる可能性がある。
・皇室典範等の一部を改正する法律案
(反対理由)
女性皇族の婚姻後の配偶者・子を皇族としない案は不自然であり、家族一体で活動できるようにすべきである。宗系紊乱を招きかねないとして禁止されてきた養子禁止の伝統に例外を設ける規定は認められない。総意というのであれば、女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持に限り迅速に行うべきである。安定的な皇位継承の本質論がたなざらしになっており、新たな全体会議で充実した審議を行った上で結論を出すべきである。
【立憲民主党が反対した議員立法】
・国旗の損壊等の処罰に関する法律案
(反対理由)
国旗を大切に思う感情は尊重されるべきである。しかし、この感情を保護する手段として罰則を用いると、政府への抗議を含む国旗を用いた表現行為への萎縮効果をもたらし、自由や人権保障が大きく後退する。また、「不快」や「嫌悪」という主観的で曖昧な感情を犯罪の要件としており、罪刑法定主義の原則にも反する。刑罰という国家権力を背景に、国民に特定の思想や信条、国旗への敬意を求めるような社会は、立憲民主党のめざす社会とは異なる。
・国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案(副首都法案)
(反対理由)
自然災害に備えた国家の統治機能の継続性や東京一極集中の解消は必要であるが、「大阪の、大阪による、大阪のための」法案であり、「大阪都構想」ありきの維新の党利党略でしかない。代替機能とすべき「副首都の整備に係る施策その他国家社会機能継続性」の内容が明確にされていない。南海トラフ地震を想定しないなど「災害時のバックアップ機能の実効性」が不十分である。多極分散どころか「ミニ東京」への重点投資になりかねず、東京一極集中の解消につながるかは不透明である。巨額の財政負担の懸念があるが必要な経費・予算も明らかにされていない。附則で特別区を設ける副首都の「都」への名称変更を抱き合わせで可能としていることは、地方自治法および憲法違反の疑義が払拭できない。特別区の設置の住民投票期間と議員及び長の選挙期間とが重複し、公正を害する懸念がある。
