ニュースNews

20260626参院法務委員会で打越さく良議員が参考人質疑

【参院法務委】打越議員が再審法改正の参考人質疑 証拠開示制度の「後退」懸念が相次ぐ

 参院法務委員会で6月25日、再審法改正案に関する参考人質疑が行われ、参考人として東京大学大学院法学政治学研究科教授の成瀬剛さん、香川県弁護士会弁護士の田岡直樹さん、一橋大学大学院法学研究科教授・弁護士の高平奇恵さんが意見陳述しました。

 立憲民主党・無所属からは打越さく良議員が質問。(1)証拠開示・証拠提出命令制度のあり方(2)再審請求における証拠開示の範囲――等について取り上げました。

 冒頭、打越議員は、長年にわたり、えん罪被害と闘い続けてきた当事者や支援者、弁護団への敬意を表明。その上で、法務省が今回の再審法改正案に盛り込んだ証拠提出命令制度について、「制度が創設されれば、これまで以上に幅広い証拠開示につながる」との政府の説明に対する評価を尋ねました。

 これに対し成瀬参考人は、「従来の裁判所による証拠提出・開示勧告や検察官による任意開示を否定するものではない」と述べ、衆院で修正した付則にもその趣旨が明記されたことにも言及。「これまで以上に広く行われていくだろうと理解している」と述べました。

 一方、田岡参考人、高平参考人は、証拠提出命令制度によって対象が「再審請求理由に関連する証拠」に限定されることで、これまで通常審の類型証拠開示請求(未だ開示されていない検察官手持ち証拠のうち、一定の類型に該当する「類似証拠」の開示を求めること)を参考に行われてきた幅広い証拠開示が後退するおそれがあると指摘。現場に残された第三者のDNAなど、請求人側が存在を把握できない証拠が開示されにくくなり、再審に必要な証拠収集が困難になると懸念を示し、「類型証拠のような証拠は、必ず開示させるような権限を裁判所に認めさせるべきだと考える」と強調しました。

 打越議員はさらに、袴田事件や福井事件では、検察が長年非開示としていた大量の証拠が再審請求審で開示されたことが、えん罪の証明へとつながったことに触れ、今後も同様の運用が維持されるのかを質問しました。

 成瀬参考人は、証拠提出命令は裁判所が提出を命じる最低限の範囲を定めた制度であり、裁判所による勧告はそれに縛られるものではないため、事件の内容に応じた幅広い証拠開示は今後も可能との見方を示しました。

 これに対し田岡参考人は、福井事件では裁判所が強く勧告した結果、検察が287点の証拠を開示した経緯を紹介し、裁判所の権限と検察官の義務を法制度として明確化しなければ、将来は十分な証拠開示が行われなくなるおそれがあると指摘。高平参考人も、証拠提出命令制度が設けられることで、検察官が任意開示に応じなくなることが合理的に予測されるとして、制度の後退に懸念を表明しました。

 また打越議員は、証拠を裁判所へ提出すれば弁護人は閲覧・謄写できるため、請求人への直接開示は不要とする考え方への見解を問いました。

 これに対し田岡、高平両参考人は、裁判所が審理に必要と考える証拠と、請求人が主張立証のために必要とする証拠は範囲が異なることや、弁護人がいない請求人は閲覧・謄写が困難となることなどを指摘。証拠提出や取り調べの事実が請求人側に通知されなければ、適切な手続保障が図られないとも述べ、請求人への直接開示制度の必要性を訴えました。

 打越議員は、参考人から示された多くの課題や懸念を受け止め、今後の質疑に臨むと述べ、締めくくりました。

20260625参院法務委員会参考人質疑で意見陳述
右からから東京大学大学院法学政治学研究科教授の成瀬剛さん、香川県弁護士会弁護士の田岡直博さん、一橋大学院法学研究科教授・弁護士の高平奇恵さん