立憲民主党の長浜博行議員は7月15日、参院皇室典範等の一部を改正する法律案特別委員会で質疑に立ち、(1)20年前の有識者会議報告書と現在の議論の乖離(2)女性皇族の配偶者・子の皇族身分(3)皇族の養子禁止の伝統を覆す特例の妥当性(4)旧11宮家男系男子の世数と大正期準則との整合性(5)養子と養親の縁組を巡る恣意的要素――等について、政府の姿勢をただしました。
20年前の有識者会議報告書に言及、現在の議論の「時代遅れ」を批判
長浜議員は冒頭、2005年(小泉純一郎総理・安倍晋三官房長官時代)にまとめられた「皇室典範に関する有識者会議報告書」を引用しました。同報告書では、女性・女系天皇の容認、直系長子優先の皇位継承順位、女性皇族の配偶者への皇族身分付与などが明確に肯定されていたことを指摘。「今行われている議論の方が、よほど時代遅れで民意からかけ離れている」と厳しく批判し、たなざらし状態が続く不作為により、生身の人間である女性皇族に多大な心理的負担をかけていると、立法府の一員として責任を追及しました。
さらに長浜議員は、2024年5月から丁寧に進められてきた全体会議の運営が、今年2月の総選挙で自民党が圧勝し、衆院議長が交代して以降、一変したと指摘しました。11回の会議のうち4月以降5回を立て続けに開催し、スケジュールありきで結論を作り上げた結果、「あたかも行政府の下請け機関のごとき様相」となり、立法府の権威を貶(おとし)めるものだと批判。加えて、与党側から審議中のテレビ・インターネット中継を控えるよう申し入れがあったことにも触れ、「静謐(せいひつ)な環境」という言葉を安易に用いて密室で議論を進めることは民主主義を崩壊させる危険な行為だと警鐘を鳴らしました。
女性皇族の配偶者・子を皇族としない方針に疑問「不自然さを解消すべき」
女性皇族が婚姻後も皇室にとどまる一方で、その配偶者や子が皇族にならないとする方針について追及しました。長浜議員が「社会的にも夫婦や親子で身分に差異がある不自然さを解消し、家族一体として参画できるように法整備すべきだ」と求めたのに対し、木原内閣官房長官は、衆参両院正副議長の取りまとめに記載がなかったため現行法を適用するとしつつ、「将来の検討を縛るものではない」と述べるにとどまりました。
養子禁止の伝統に例外を設ける「本則改正」を追及
100年以上にわたり禁じられてきた皇族の養子制度を導入する法形式について議論しました。長浜議員は、天皇の退位の際のような「特例法」とせず、あえて皇室典範の本則を改正して例外規定を置く理由を追及。木原官房長官は、女性皇族の身分保持と養子制度の両案が、皇族数確保のための法策として並列で議論されてきた経緯から、いずれも本則を改正して措置することにしたと釈明しました。
旧11宮家子孫は「生まれた時から一般人」 大正期準則を適用すれば全員が5世以上
さらに長浜議員は、養子の対象を(戦後の皇籍降下により一般人となった)旧11宮家の男系男子に限定する合理性を追及。大正時代の「皇族の降下に関する施行準則」(原則として5世以上は皇籍降下)を適用した場合、候補とされる旧4宮家(賀陽、久邇、東久邇、竹田)の男子が邦家親王から数えて何世にあたるかをただしました。緒方禎己宮内庁次長は、起点から「すべて5世以上」に該当すると答弁。長浜議員は「生まれた時から私たちと同様に一般人である」と指摘し、皇統の乱れにつながりかねないと懸念を示しました。
養親候補と麻生家との関係にも言及、縁組の恣意性排除を追及
長浜議員は、養親の対象となる三笠宮寬仁親王妃信子殿下が麻生太郎元総理の実妹であることに言及し、「養子と養親の縁組を誰がどのように結ぶのか。恣意的要素や政治的思惑をどう排除するのか」と説明を求めました。木原官房長官は、養子縁組は養子・養親双方の自由な意思に基づくものであり、法案成立後は宮内庁が具体的な手続きを適切に検討すると答弁するにとどめました。
長浜議員は最後に、「現在、悠仁様まで皇位継承順位は現行典範で確定している」と述べ、遅きに失した女性皇族の身分に関する改正のみを迅速に行い、その他の事項については参院が主導する新たな全体会議で充実した審議を行った上で結論を出すべきだと呼びかけ、質疑を終えました。

