公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)は、行政文書・法人文書・特定歴史公文書等の3つを総称した「公文書等」を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、「国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすること」を法律の目的として掲げています。この法律の理念からも、公文書が民主主義を支える重要な資源であることは明らかですが、2012年の第2次安倍政権以降、自民党政権下ではこの理念を揺るがすような、公文書をめぐる問題が発生しました。
例えば、大阪府の学校法人森友学園への国有地売却を巡っては、財務省の近畿財務局において決裁文書の改ざんが行われ、この改ざんを強いられた近畿財務局職員が自死に追い込まれたという痛ましい事態も判明しています。また、2019年には、総理主催の「桜を見る会」の招待者名簿が、立憲民主党議員が国会で資料要求を行ったわずか1時間後に裁断されており、それ以前の2013年から2017年までの「桜を見る会」の招待者名簿も、公文書管理法の規定に違反する形で必要な手続きを経ずに廃棄されていたことも発覚しました。
そもそも、公文書管理法は2008年、当時の福田康夫総理大臣が制定を主導した経緯があり、自民党政権下でできた法律です。しかし、森友問題を巡る財務省の文書改ざん問題や「桜を見る会」の招待者名簿破棄問題が発覚し、自民党政権下で、時の総理の肝いりで制定した法律を自民党政権が守っていなかったことが明らかになりました。「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であるはずの公文書を改ざんしたり、ルールを逸脱して廃棄したりと、公文書管理法をないがしろにするような対応が相次いでいたのです。
立憲民主党は2023年6月14日、「公文書管理法改正法案」(公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案)・「公文書院設置推進法案」(公文書等の管理の適正化の推進に関する法律案)を、日本維新の会と共同で国会に提出しました。公文書管理法改正法案は、行政文書の定義の見直しや文書の作成義務の強化などを図るもので、公文書院設置推進法案は、公文書等の管理の適正化を推進するため、独立性・専門性を持つ新たな機関「公文書院」の設置などについて定めたものです。公文書を巡っては2023年に、政治家が総務省に対し放送法の解釈変更を迫るやり取りを記録した文書の正確性が争われた例などがあったことから、政治家の職務や行政における判断の適正さを検証するために必要な文書がより適切に作成・管理されるよう、この両法案で担保することとしました。
立憲民主党は、民主主義を支える重要な資源である公文書等の作成・管理の適正化を図り、政治行政の透明化、健全化を進めていきます。