【迫りくる気候危機】
2024年の夏は連続猛暑日の過去最多日数を更新しました。気候変動対策を十分に講じなければ、今生きている人はもとより、将来世代の生命身体を危険にさらすだけでなく、将来世代により大きな負担をかけることになります。気候変動による災害等による経済的損失は1970年から2019年までの50年間で400兆円になっているとの試算もあります。十分な対策を講じなければ、気候変動は、今後ますます農業や企業活動にとって大きなリスクとなっていきます。

【より一層の気候危機対策を】
気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、これまでにない猛暑、豪雨、大型台風など厳しい気象現象や自然環境へのダメージなどの形で顕在化しています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します。
2023年G7広島サミットでは、「1.5度の長期目標達成の為には温室効果ガスを2035年までに2019年比60%削減させる必要性を確認し、次期NDC(国が決定する貢献)を1.5度の道筋に沿って大幅に強化された野心を反映した形で提出するように求める」首脳宣言が採択されました。しかし、日本の2035年目標は2019年比53%削減であり、それを下回るものとなっています。パリ協定の目標を達成するため、2035年の温室効果ガス削減目標については、国際社会が求める1.5度目標に整合する目標設定が必要であり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す科学的知見などを踏まえ、日本は2013年比66%以上の削減を目指すべきです。
自然エネルギー立国で地域を豊かに、日本の環境技術を世界で活かし気候変動対策に貢献
【地域の資源を生かした自然エネルギー・省エネルギーで地域を豊かに】
地域の資源を活かして、地域でお金を回し、地域を豊かにする。これが立憲民主党の地域活性化策です。効率化や競争力強化だけでは、決して地域は豊かにはなりません。まずは、地域にある資源を活かし、地域でお金が回る仕組みを作り、地域からのお金の流出を止めることが重要です。その肝となるのが「自然エネルギー」です。地域主体でエネルギーを作り、地域で売れば、利益が外に出ていくこともなくなります。
省エネルギーも重要です。省エネルギーについては、政府の取組が不十分で、建物の断熱化や省エネ機器導入の取組が遅れています。建物をしっかり断熱すれば、少ないエネルギーで快適に暮らすことができます。夏の熱中症や冬のヒートショックで亡くなる人も減らすことができます。 省エネルギーを徹底し、必要なエネルギーを効率よく利用すれば、エネルギー価格の変動を受けにくくなり、コスト削減にもつながります。
再生可能エネルギーの拡大も、国産(地産)エネルギーであり、円安や国際的なエネルギー価格の影響を受けにくくなります。地域でエネルギーを生産できれば、大災害の際もエネルギーが途絶えることなく、災害に強い地域となります。
日本では、熱の有効利用、特に再生可能熱の利用が十分になされていません。エネルギー利用の7割は電気以外(熱など)の利用です。極めて効率的な冷暖房等の手段として地中熱利用は欧米を中心に進んでいますが、日本ではまだまだ導入例は限られています。身近な再生可能熱の有効利用で、さらなるエネルギーの効率的利用が可能となります。
【環境破壊型のメガソーラーから屋根などの活用へ】
環境省の調査によると、太陽光発電を使用している世帯の割合は全国で6.6%に過ぎません(令和4年度家庭部門のCO2排出実態統計調査)。一方、住宅など建物屋根の約70%に太陽光パネルを設置すると、日本全国で年間1,017TWhの発電量となり、現在の日本の総発電量を上回るとの試算もあります。太陽光発電については、環境破壊につながる大規模開発ではなく、屋根置き太陽光発電、大規模駐車場への設置、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を普及させます。公共施設の太陽光発電設置の義務化、ソーラーシェアリング向けFIT(固定価格買取制度)の導入などにより、太陽光発電事業のさらなる拡大を目指します。
【再エネ・省エネへの積極的投資で雇用を生む】
自然エネルギー立国で地域の再生、日本の再生を図れば、失われた30年で疲弊した地域経済、日本経済を回復させ、さらに発展させることもできます。また、自然エネルギー活用技術を一層進化させ、海外に輸出することができれば、海外需要を取り込んだ日本経済の活性化とともに、気候変動対策などの分野での国際貢献も可能となります。 立憲民主党は、日本社会の安定的な発展のために、資源を他国にたよる化石燃料・原子力発電依存から省エネの徹底と再生可能エネルギーへのシフト、「自然エネルギー立国」を実現するエネルギー転換戦略を策定しました。今後10年で省エネルギーや再生可能エネルギーなどに計50 兆円の国費を投入、民間を含めて約200 兆円の投資を行うことにより、経済波及効果累計約480兆円、光熱費削減額累計約350 兆円が可能となり、250 万人の雇用を創出します。
【エネルギーについての国民的議論の場をつくる】
エネルギーについてはしっかりと国民的議論を行うべきです。パブリックコメント制度はありますが形骸化しています。政府に置かれている既存の審議会では、業界団体の代表などのステークホルダー中心の議論となっており、必ずしも国民全体の考える方向とはなっていません。欧州でも取り入れられているような無作為抽出で選ばれた人が議論する方法(くじ引き民主主義)の制度化をめざします。