環境エネルギー重点政策

Ⅰ 立憲民主党が提案するエネルギーミックス

 輸入にたよるエネルギーから地域でつくるエネルギーへ、
省エネと再生可能エネルギーで安心の自然エネルギー社会を創ります。


立憲民主党は、既存の技術をベースに政策を総動員し、省エネと再生可能エネルギー導入により、化石燃料、原子力発電に依存しないエネルギー供給を実現します。(本目標数値は 2021 年 6 月の中間報告をベースとしています)

環境エネルギー重点政策2022

(注1)化石燃料について、CO2の排出量の少ないLNG火力を中心に活用、石炭火力の利用については CO2の排出量削減のため燃料アンモニア(再生可能エネルギーにより製造するグリーン水素由来のアンモニア)との混焼を前提とする。原子力発電については、実効性のある避難計画の策定、地元合意のないままの再稼働は認めない。2050 年ではLNG火力の一部をバックアップ電源として確保する。
(注2)再生可能エネルギー100%には、グリーン水素またグリーン水素から作られる燃料アンモニア、メタンなどの活用を含む。
(注3)財政支出として 2030 年までに累計 50 兆円を投入する(民間を含めた総投資額は累計約 200 兆円)。2030 年までに経済波及効果累計約 480 兆円、光熱費削減額累計約 350 兆円が見込まれる。
(注4)雇用創出効果、経済波及効果は、本戦略で見込まれる投資額に基づき、産業連関分析により算出した。

Ⅱ 環境エネルギー重点政策

1. 省エネ・再生可能エネルギーによる地域分散型の自然エネルギ
ー社会へ、エネルギー転換で地方から日本を元気にします。

  • 気候危機、ロシアによるウクライナ侵略等による資源価格の高騰、電力需給逼迫など、エネルギー資源を輸入に頼る日本社会の脆弱性が顕在化しています。原子力発電については頻発する地震、武力攻撃のリスクを抱えています。東京電力福島第一原発事故は未だ収束の途上にあり、事故の教訓である安全最優先に妥協は許されません。
  • 立憲民主党は、国民の生活を守るために、エネルギーの安定供給を目指し、輸入に頼る化石燃料依存、未来にリスクと負担を残す原子力発電依存からの早期脱却、省エネの更なる推進と再生可能エネルギーへのエネルギー転換を実現します。
  • 地域主導で省エネ・再生可能エネルギーの導入を進めます。自治体・企業・コミュニティや市民の力が生きる新しいエネルギー社会を実現します。資源購入のために地域外に流出していたお金の流れを、地域内でまわる新しい経済循環に転換します


《 主要施策 》

v電力会社への燃料費補助制度等、電力料金の高騰を抑える緊急対策を実施します
v 地域の工務店、電器店を中心に建物の断熱化や省エネ機器への切り替えを進める支援制度を創設します。省エネの初期投資の負担軽減のため融資制度を創設します。地域の雇用と産業育成を実現します
v 公営住宅の断熱化推進、低所得世帯に向けに省エネ家電製品への買換を公費によって行う、福祉的エネルギー転換施策を創設します
v 農地や林地、海洋における再生可能エネルギー発電事業を推進、エネルギー兼業で収入アップを実現する「農山漁村ベーシックインカム」を創設します。エネルギー事業の収益が農林漁業者を支えるエネルギー兼業を推進します
v エネルギーの地産地消に繋がる屋根置き太陽光発電の普及を進めます。新築住宅・建物への太陽光発電(又は太陽熱利用)の設置原則義務化、小型蓄電池とのセット導入、屋根貸し方式による初期費用ゼロの太陽光発電を推進します
v 再生可能エネルギー開発事業についてゾーニングの徹底、地元合意、地元参画を要件にして乱開発を防ぎます。地域参加を確保するための地元企業や市民の出資を促進します。太陽光パネル、蓄電池のリサイクルビジネスを支援します
v 再生可能エネルギー、蓄電技術への支援を強化、太陽光パネル、風力発電設備などの再国産化を目指します
v 送配電網の整備を加速化し再エネ発電に対する出力抑制を最大限回避します。地域のオフグリッドも視野に、地域分散ネットワークを支える送電網の整備を国の事業として行うとともに、蓄電設備の整備・運用を国主導で進めます。


2. 未来世代に責任を持つ政治、未来世代に負担を先送りしない環境エネルギー政策を実現します
●産業革命以降、人類が築いてきたエネルギー多消費社会が気候変動を引き起こし、気候危機といわれる未来世代の生存を脅かす事態となっています。
●2030 年、2050 年を待つことなく、今すぐに CO2の排出量を大幅に抑制し、カーボンニュートラルを一刻も早く実現する必要があります
●また、原子力発電については、東京電力福島第一原発事故の廃炉作業については、今後、40 年、50 年という長い年月を掛けてすすめてゆくこととなり、使用済み核燃料について 10 万年と言われる極めて長期にわたる管理が必要となります
●こうした事態は世代を超えて未来世代への大きな負担となるものであり、未来世代への責任を果たすという観点から、これまでの環境エネルギー政策の評価と見直しが迫られています

《 主要施策 》
●これまでの環境エネルギー政策の評価・見直しの議論に若い世代の参加を可能とし、未来世代に対する責任の観点から透明な議論ができる会議体を新設、国会に対して提言・勧告ができる制度を創設します

3. エネルギー転換にともなう雇用の公正な移行を実現します
●カーボンニュートラル実現のためのエネルギー転換は産業革命に匹敵するような、大きな産業構造の変化をともなうものです。これまでの化石燃料や原発に依存していた産業・社会の改編が必要となります
●これまでの仕事から新しい仕事へ、雇用の公正な移行を実現します。全ての働く国民の皆さんがカーボンニュートラルの実現により、より安定した豊かな暮らしを送ることができる日本を目指します

《 主要施策 》
v 廃炉を迎える原発関連施設立地地域が自立した地域経済を構築できるようにするために国の支援をパッケージで実施します。原発につながる送電線網を活用した再生可能エネルギー拠点の立ち上げなど新たな産業創出を目指します
v 全ての原子力関係労働者への支援(転職支援、住宅確保、家族のサポートなど)を実施し雇用の公正な移行を実現します
v 原子力発電所の速やかな廃炉実現に向けて環境整備を行うとともに、電力会社とともに国が責任を持ち廃炉を進める体制を構築します

以 上


(参考資料) 環境エネルギー関連法案

〇 新・分散型エネルギー社会6法案

(1)「暮らしを支える省エネ・再エネ強化法案」(新規)

v 電力料金の高騰を抑えるため、電力会社への燃料費補助制度等の緊急措置を実施します
v 建物・家の断熱化補助、低所得者世帯への省エネ家電製品の支給等、省エネ・節電を国主導で進めます。地域の工務店・電気店への支援策を充実させます
v 新築住宅・建物の太陽光発電(又は太陽熱利用)の設置義務化、そのための補助制度、融資制度など併せて実施します

(2)「農山漁村を支えるエネルギー兼業推進法案」(新規)
v 耕作放棄地・荒廃農地を活用した再生可能エネルギー発電、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を推進するとともに、発電収益をつかって農業の安定経営、耕作の復活・継続を実現します
v 林地の整備によって木質バイオマスを活用した地産地消の地域熱供給事業を推進します。熱供給から得られた収益を活用して、持続可能な林業の実現、森林整備の推進に繋げます
v 洋上風力発電、波力発電、潮流発電など、海洋エネルギーの活用に漁業者の参加を推進、漁業とエネルギー事業の融合を実現、漁業の低炭素化に繋げます
v 地域主導の小水力発電、地熱発電を支援するために、国による資源に関する面的な調査の実施、水利権、温泉権等の柔軟な運用を可能にします

(3)「分散型エネルギー利用促進法案」
v 送配電網、熱導管等の整備を通して、地域の特性に応じたエネルギーの地産地消を推進することによって、災害時を含むエネルギーの安定供給の確保、環境負荷の低減、消費者のエネルギーに関する選択の自由を確保しますv 国の定める基本方針に基づき、都道府県・市町村が分散型エネルギー利用促進計画を策定、再生可能エネルギー設備、コジェネレーション設備、蓄電池、送配電設備、熱導管、変電受電設備、排熱回収施設等の整備をおこないます

(4)「公共施設省エネ・再エネ義務化法案」
v 国および独立行政法人等による省エネ・再生可能エネルギー源利用改修について既存施設および新築新設建物に対して目標を設定して実現します
v 地方公共団体および地方独立行政法人に対して、省エネ・再生可能エネルギー源利用改修について努力義務を定めます

(5)「熱エネルギー利用促進法案」
v 再生可能エネルギー熱の利用促進のための総合的施策を実施します。熱利用の基本理念を定めると共に、排熱利用の枠組みを設定します
v 排熱利用の促進のために、排熱の公表制度を創設、排熱の排出と利用のマッチングを進めます

(6)「エネルギー協同組合法案」
v 地域住民又は小規模事業者がエネルギーの利用と供給にかかわる事業に参画できるようにエネルギーに特化した協同組合(エネルギー利用協同組合および同連合会、エネルギー供給協働組合)を設立できるようにします

〇「環境エネルギーに関する未来世代法」(新規)
v 国会への提言・勧告機関として、立法行政司法から独立した「(仮称)環境エネルギー未来世代委員会」を国会に新設します

v 政治的中立、若い世代の参画、ジェンダーバランス、専門家の参画等に配慮した人選・組織とし、自立した会議体として、未来世代の視点から開かれた透明な議論をおこないます v 国会の国政調査権を背景に、行政や民間企業(一定の秘密保護のもと)からの情報開示を受けることができるようにします
v 議論のテーマ設定については国会からの委嘱を受けるとともに、委員会の独自の判断でも設定することができるようにします
v 委員会からの提言・勧告については、国会にその遵守、実現の努力義務を課します

〇「原発関連施設立地地域自立支援法」(新規)
v 廃炉を迎える原発関連施設立地地域が自立した地域経済を構築できるようにするために国の支援をパッケージで実施します。原発につながる送電線網を活用した再生可能エネルギー拠点の立ち上げなど新たな産業創出を目指しますv 全ての関係労働者への支援(転職支援、住宅確保、家族のサポートなど)を実施し雇用の公正な移行を実現します

環境エネルギー重点政策2022.pdf

エネルギー転換戦略データ編.pdf