枝野幸男代表は7日、衆院内閣委員会で閉会中審査が行われ、新型コロナウイルス対策とともに、日本学術会議会員の選任問題が取り上げられたことを受け、国会内で記者団の取材に応じました。

 枝野代表は、日本学術会議会員選任問題の審議について、「この間、野党合同ヒアリングで事務方から説明にならない説明はなされてきたが、今回、国会での正式な議論ということで若干の期待をしたが、残念ながらその期待は裏切られたと言わざるを得ない。過去の政府、しかも当時の総理大臣が国会で答弁をしていた答弁内容と今回の対応やそれについての説明が明らかに食い違っていることを指摘されても、(政府は)『解釈は変わっていない』と強弁した。変わっていないことの理由の説明はまったくなされていないに等しい」と批判しました。

 また、6人の学者を任命しなかった理由を問われた政府の答弁について「何ら具体的な答えはなかった。安倍政権においても答弁の矛盾とか、説明不足ということが少なからずあったが、今回、(法律の)解釈の変更についても、任命をされなかった理由についてもまったくのゼロ回答。何も説明しない、何も答えない、言い訳すらしようといないという政府の姿勢には強い憤りをもって受け止めている」とし、8日の参院内閣委員会でも引き続き説明を求めていくと表明しました。

 さらに、「これは学者の世界に限ったことではない。ルールに反すること、法に反すること、何の説明もなく勝手に恣意的に行う。日本はいつから独裁国家になったのか、という強い危機感をもってこの問題にあたって行きたい」と述べました。

 主な質問とその回答(要旨)は次のとおりです。

Q) 説明が不十分ということだが、任命権者の総理大臣に対して今後どのような説明を求めていくのか。

代表) 結局、誰が推薦者から6名を外したのか、その当事者の話を聞かなければどうにもならないということは、今回、改めて明らかになった。いずれ、遠からず、国会で説明をしていただく。それも任命権者は総理であることを政府自身が繰り返しお答えになっている訳ですから、その任命権をもっていらっしゃる総理に具体的な説明をいただかなければいけない。具体的なやり方については国対の方で相談してくれると思う。

Q) 今日の政府答弁の中で、公務員の選定罷免権が国民固有の権利であるということを明言していた。そう言いながら、その行使について国民に十分な説明をしない点は矛盾しているように思われるが、どう考えるか。

代表) 公務員の選定罷免権があるのならば、法律に基づいた手続きで任命をしなければならないということだ。国民の代表である国会が決めた法律に基づいて、あるいは国会に説明をしてきた解釈に基づいてやっていかなければならない。そもそも、憲法の規定を根拠にしていること自体がまったく論理的ではない。国民の公務員の選任権に戻すのであれば、ご指摘のとおり、当然のことながら何故この6人だけ外したのか、説明をしない理由はまったくないと思う。

Q) 政府は無理やり解釈の変更をしたり、6人の任命をしない理由を説明しないが、どのような理由でそうしていると思うか。

代表) この国が法治国家であることを理解しておられないのではないか。どこかの独裁国家と一緒で、いま権力を持っているから何をしようと自分の勝手だという勘違いをされているとしか思えない。

Q) 昨日の野党ヒアリングで提示された2018年の内部文書の内容についての評価は。憲法の所々を継ぎはぎでつなげているように思えるが。

代表) あえて申し上げれば、何の説明もなされていない。説明が不十分なのではなくて、説明になっていない。その憲法の規定は、中曽根総理が答弁をしていた時代にも存在をしていた憲法の規定で、(今と)一緒なのだから。その時の説明の仕方と変わっているというのであるならば、根拠にそもそもなっていない。なり得ないものを根拠にしている。

Q)政府答弁は説明になっていないということだが、今後どのように追及していくか。

代表)まず、違法状態が続いているので、これは日本学術会議からも要請、要望されていると思うが、6名が速やかに選任をされることで、1日も早く違法状態を解消すべきだ。その上で、こうした違法状態が続いた、生じたことについての責任を追及したい。1日も早く、まずは違法状態を解消させたい。

Q) 政府・与党内から日本学術会議のあり方自体に論点を移しているような動きがあることへの考えは。
代表)どこかのツイッターにどなたが呟いていたが、「信号無視して捕まった人が、こんなところに信号機が建つのがおかしい」という言い訳をしているようなものだ。まったく論外。まずルールに基づいてちゃんとやれというのが大前提。

Q) 地方での街宣等の手応えは。

代表) こういうものは、いろいろなものを重ねて行うことによって、こちらの感覚も積み重なって、「いま国民の皆さんはこういう受け止めなんだな」と分かってくるもの。まだ積み重ねが十分ではないと思うが、それぞれの地元の関係者の皆さんは、同じようなところで何度も過去に繰り返しているので、思ったよりも人が集まっていただいた、思ったよりも皆さん反応が良かったと、どこの現場についても同じような印象を現地の仲間が言ってくれている。新しい立憲民主党がどうしようとしているのか、ということへの関心はもっていただいている。その関心をできるだけ早く期待につなげていきたい。

Q) 来週、結党1カ月を迎えるにあたって党内の変化など、受け止めは。

代表) 新たに合流し結党をしたことで、やらなければいけないことが沢山ある。それぞれの地域の現場では、従来の組織の解散と新たな組織の結成の届出、それにまつわるさまざまな会議、また、党本部の方では新たな体制、より具体的なことを決めていかなければいけないが、思ったより順調に進んでいるかと思っている。これは、まさにスタートラインについて走り出す前提。準備が整っているところから私自身が現地にうかがったりしている。都道府県連の設立大会が進んでいる地域などは、ここからいかにスタートダッシュがかけられるかということだ。