衆院予算委員会で2日、基本的質疑が行われ、立憲民主党会派の4番目の質疑者として奥野総一郎予算委理事が質問に立ち、河井克行・案里夫妻の問題、日本学術会議の任命拒否問題を取り上げました。
奥野議員は、菅総理は日本学術会議に10億円が投じられていることを持ち出すが、税金の使われ方としてもっと大きな問題があるとして、昨夏の参院選挙での公職選挙法違反を問われている河井克行・案里夫妻が昨年秋以来、国会審議の大半を欠席しながら歳費を受け取り続けていることを指摘しました。参院選挙で河井案里陣営に支払われた1億5000万円のうち1億2000万円は政党交付金、つまり税金だとし、「河井克行議員は菅総理の側近と言われる議員。使われたカネは戻らないが、さらなる無駄遣いをさせないためにも菅総理から辞職を勧告すべきだ」と迫りました。それに対し、菅総理が明言を避けると、奥野議員は「身内に甘い」と総理の姿勢を批判しました。
次に、菅首相が著書『政治家の覚悟』を取り上げ、「伝家の宝刀人事権と書かれている。『人事権は大臣に与えられた大きな権限です。どういう人物をどういう役職につけるか、人事によって大臣の考えや目指す方針が組織の内外にメッセージとして伝わります。効果的に使えば組織を引き締めて一体感を高めることができます。それだけ官僚は人事に敏感で、そこから大臣の意思を鋭く察知します』と書いている。これはまるで忖度のすすめだ」と強調しました。その上で「まさに今回の学術会議の手法そのものではないか。理由を言わずに人事をやる、バサッと切るというのは菅政治の神髄だと思う」と批判しました。
また、昭和44年の大学学長の任命に関する高辻内閣法制局長官の「単に、申し出がありました者が、何らかの理由で主観的に政府当局の気に食わないというようなことではなくて、そいうことで任命しないというのはむろん違法」との答弁と昭和37年7月の内閣法制局の統一見解を引用し、安保法制や共謀罪など政府の政策に反対したことを理由に任命しないのは違法ではないかとただしました。それに対し、菅総理は日本学術会議法において推薦された方々をそのまま任命しなければいけないということではないとの答弁を繰り返し、違法だと認めませんでした。
さらに、「6人はなぜ任命されなかったのか、任命されなかった基準があるのか。その基準をつくったのは菅総理なのか、杉田官房副長官なのか」と迫りましたが、明確な答弁は得られませんでした。
最後に、奥野議員が表現の自由があっても制限されてよい場合があるかとたただすと、総理は「表現の自由とはすべての国民に保障された基本的人権。制限はないと思う」と答えました。