衆院予算委員会で4日、基本的質疑が行なわれ、立憲民主党会派の5番手で逢坂誠二議員が質問に立ちました。
■原発、核燃料サイクル
逢坂議員は、核燃料サイクルの問題を取り上げ、「政府が言っている3つのメリットはどれもメリットにならない」とし、核燃料サイクル事業からの撤退、大間原発の建設の取り止めを迫りました。菅総理は、政府のエネルギー基本政策に基づいて六ヶ所再処理工場の建設を推進すると述べるにとどまりました。
また、総理が原発は安全性を確保することが重要だとしているが、日本の原発は事故が起きないことを前提としていたので避難計画が作成されて来なかったとし、「まるで大きなスタジアムに観客を入れるのに非常口がない状態だ」と指摘しました。避難計画ができていない大間原発の建設中止を改めて訴え、避難計画のない原発の廃止を求めましたが、菅総理は「避難計画がない原発については稼働させない」と答弁したものの、原発の廃止については言及しませんでした。
■公文書管理
安倍政権で頻発した公文書の改ざん、捏造、隠ぺいを菅政権ではやらないということでよいかとただし、非公開となっている国家戦略本部の会議録の公開、廃棄してしまった公文書の復元を求めました。菅総理は「公文書管理法に基づいてしっかり対応する。各大臣のもとでルールに基づいて対応する」と答弁したものの、文書の公開、復元については明言しませんでした。
■日本学術会議
日本学術会議の任命拒否問題について、2日の予算委審議で法制局長官が政府は恣意的に任命を拒否をすることはできないと答弁したことを引き、「任命について総理に自由裁量権がないのであり、誰が総理であっても同じ結果になるというのが恣意性がないということだ」と述べ、今回の任命拒否には「恣意性の疑い、人事権の乱用の疑いがある」と厳しく追及しました。
学術会議が推薦したのに総理がそのうち6人の任命を拒否したことについて「総理は優れた業績があるかどうかを総理が判断したのか」と尋ねると、総理は「個人情報であり、人事にかかわることなので差し控える」とし、明らかにしませんでした。また、総理による任命は形式的とする1983年の国会答弁は今でも有効かとただすと、加藤官房長官は、それぞれの時代で答弁の背景が異なり「いまの段階でその趣旨を確認することは難しい。その後、日本学術会議法は改正された」とし、学術会議の設置目などに照らして任命していると説明しました。
逢坂議員は任命拒否した理由を個別に明らかにできないにしても、「たとえば外交上の理由、国家秘密に係る、人権に関する理由といったことくらいは言うべきだ。それも明らかにしないのなら、恣意的だと言われても仕方がない。人事権を振りかざしたら、みんなが忖度するようになってしまう。ものが言えなくなり、社会が委縮する」と改めて総理に説明を求めました。
■若者への支援と少子化対策
逢坂議員は、日本の出生数が最高時だった1949年の270万人から最低となった2019年には86.5万人まで落ち込み、ピーク時の3分の1になっていること、減少の要因として婚姻数が2018年にはピーク時の半分に落ち込んでいることを紹介し、少子化への危機感を表明しました。結婚したくてもできない、子どもを持ちたくても持てない要因の一つとして、非正規雇用の増加、若者の収入が低く将来の見通しつかないことを挙げ、社会全体にプラス効果があることを説明し、若者への支援の拡充を求めました。菅総理の政策ブレーンといわれる学者が唱えるとおり非正規雇用を増やすのかと尋ねると、菅総理は「雇用を増やし、正規雇用を増やしたい」と答弁しました。
逢坂議員はこのほか、北海道北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録、災害等に活用する病院船の早期導入を要請しました。