衆院厚生労働委員会で9日閉会中審査が開かれ、立憲民主党の1番手として中島克仁議員が質問に立ち、新型コロナウイルス感染症の感染急拡大でひっ迫する医療・福祉現場への支援を求めました。
中島議員は冒頭、「新型コロナウイルス感染症により死者、重傷者の数が最多を更新している。医療関係者や介護関係者から悲鳴の声が聞こえてくる。(自身の地元の)山梨県でも11月中下旬から新規感染者の数が増えてきて、現場にいる医師からは、とにかく今は感染者を抑制するためにできるかぎりのことをしてほしいとの強い要請がある」と訴えました。
その上で、新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」が3日、「最大限の警戒が必要な状況」だと評価し、都道府県をまたいだ移動歴がある人の方が、ない人よりも他人にうつす頻度が高いとの分析結果を示したことに言及。「(アドバイザリーボードに)10月に『さらに急速な感染拡大に至る可能性』があると懸念されながら、それが現実となっているという理解でいいか」と、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長に見解を尋ねました。
脇田所長は、「新規感染者数の増加だけでなく、医療あるいは公衆衛生体制の負荷がある。さらに重症者数が増加している。新規感染者数は過去最多の水準。引き続き最大限の警戒が必要な状況だと認識している」と答弁。現在の感染拡大の要因として、主に「基本的な感染予防対策(個人、社会含めて)」「人の移動の増加」「気候、気温の影響」「人口密度」の4つに加え、「見えにくいクラスター」が増えてきていることを挙げ、調査結果として、社会活動が活発で、移動歴のある20から50代の2次感染が他の世代に比べて多く、本人も自覚のないまま移動に伴い他地域に感染を広げている可能性があると述べました。
中島議員はまた、政府のコロナ対策分科会の尾身会長に対して、「国民一人ひとりの努力では防ぎようのない段階。国、自治体、国民が問題意識を共有し、1つになることが必要だ」という、尾身会長が求める状況になっているかと質問。尾身理事長は、「今の状況は一言で言えば、人の動き、接触を控えることが極めて重要」だと指摘し、政府や自治体によって時短要請や不要不急の外出自粛要請をしていることは評価しました。
中島議員は、特に医療提供体制がひっ迫している東京都や大阪市では、前年同期比で搬送困難事案が東京都は1.5倍、大阪市は1.6倍となっている現状についても消防庁に確認。新型コロナウイルス感染症拡大との因果関係について消防庁は「都市部を中心として地域の医療提供体制が厳しい状況に置かれていることが要因の1つ」「消防の現場では危機感を持って対応しており、今後の状況については十分注視していく」と答えました。
中島議員は、4日に新型コロナウイルス感染症で10代の女性が亡くなったとの誤発表があったことにも触れ、医療がひっ迫し、今後医療崩壊が起こると、救急医療につながれず循環器疾患、脳血管疾患でお亡くなりになる方が今後さらに増える可能性があると危機感を表明。原因を問わない超過死亡の方の原因を疾病別に分析する必要性があると提起しました。
最後に、田村厚労大臣に対し、「医療関係者からは大臣が頼みの綱。政府に対して医療介護、救急の現場を守る決意を」と求めましたが、東京都のGoToトラベル事業の継続についても「政府の中で適切に判断していきたい」と答えるにとどまりました。