政府による緊急事態宣言の発出に向けて、7日、衆参両院の議院運営委員会が開かれました。衆院では、立憲民主党から枝野幸男代表が質問に立ち、緊急事態宣言の影響が大きい飲食店などの関連業者の廃業や倒産が心配されると危機感を示し、政府に補償措置と財源を国の責任で手当てすることを強く求めました。

 冒頭、西村経済再生大臣から緊急事態制限の事前報告を聴取しました。西村大臣は、緊急事態宣言の期間は1月8日から2月7日までの1カ月間、対象地域は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県、飲食店を中心に午後8時までの営業時間短縮を要請、大規模イベントの人数制限は5000人、出勤者の7割削減や夜間の不要不急の外出自粛を求める――などと説明し、国民の理解と協力を求めました。

 枝野代表はコロナ禍で困窮している国民に直接状況を説明し、緊急事態宣言への理解と協力をお願いするのがリーダーの責任であると述べ、菅総理はリーダーとしての自覚が欠けていると厳しく指摘しました。

 これまでの経緯を振り返り、「政府は昨年11月25日から勝負の3週間と位置づけたが、GoToトラベルを停止することもせず、新規感染者は増え続けた。立憲民主党は11月20日に生活と事業を守ることを柱とした緊急対策を提案。12月2日に特別措置法等の改正案を野党合同で提出。この法案を審議していれば、今行われている議論を1カ月早く進めることができた。緊急事態宣言について、12月9日の厚生労働委員会で長妻副代表が準備に入るべきと提案し、私が12月18日に宣言を決断すべきと提起し、12月23日の国土交通委員会で正式に提案したが、残念ながら、政府は一貫して緊急事態宣言を発出する状況にはないという認識を示してきた」と説明しました。

 「感染拡大防止よりも、経済を優先してきた政府の後手の対応が、感染者が急増して医療崩壊を招いた。年末年始の書き入れ時に自粛の要請、今回の緊急事態宣言と、より厳しい措置が必要になった」と政府の責任を追及しました。

1. 緊急事態宣言の判断時期について

 経済優先の姿勢が、経済により大きな悪影響を与えている現実をきちんと受け止めるべきではないか。宣言が遅れた理由とあわせて、政府の見解を質問しました。
 西村大臣は緊急事態宣言の発出について、12月23日の分科会で発出が必要な状況ではなかったが、年末年始の急速な感染拡大と医療現場のひっ迫状況により、宣言を判断したと説明しました。

2. 緊急事態宣言の対象地域について

 昨年行なわれた緊急事態宣言は当初7都府県を対象としていたが、10日も経たずに全国に広がった。1都3県では不十分ではないか。特に医療崩壊と言わざるを得ない状況が伝えられ、新規感染者の確認数も高止まりしている大阪が外れているのはなぜか。緊急事態宣言の責任を追っているのは総理と内閣にある。1都3県に限定する根拠は何かと質問しました。
 西村大臣は大阪から自衛隊の医療派遣は撤収している状況だと説明し、今後とも専門家の意見を聞きながら、判断していく考えを示しました。

3. 宣言の効果と解除の条件について

 京都大学の西浦博教授の試算によると、飲食店だけの制限では感染減少に相当時間がかかるとされている。今回の宣言とこれに基づく措置で、本当に感染拡大を大幅に減らすことができるのか。実効再生産数をいつまでにどこまで下げられるのかなど、明確な根拠を示して説明されたい。宣言を解除する条件はどうなっているのかと質問しました。
 西村大臣は昨年大阪や東京都で飲食店対策を行なった結果、感染減少に一定の効果があったと説明し、宣言の解除について、ステージ3、ステージ2の感染状況を目指していきたいと述べるにとどまりました。

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