衆院本会議で20日、菅総理の施政方針演説に対する代表質問が行われ、衆院会派「立憲民主党・無所属」を代表して逢坂誠二議員が登壇。(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)デジタル庁(3)経済(4)カーボンニュートラルと原発(5)医療費の窓口負担(6)菅総理の基本姿勢と政治への信頼――について取り上げ、菅総理の見解をただしました。

 緊急事態宣言について、京都大学大学院医学研究科の西浦博教授の試算によれば、飲食店の時間短縮などに限定した対策では、感染者数はほぼ横ばいになるとされているとし、菅総理に今回の措置で、感染を大幅に減らすことができると考えているのか。期間を2月7日までとした根拠、また感染の状況によっては緊急事態宣言の延長もあるのか、質問しました。菅総理は専門家の意見を聞いて判断し、ステージ4の脱却を目指していると答弁しました。

 18日、静岡県で確認された変異ウイルスの市中感染について、菅総理はビジネス往来(11の国と地域を対象に実施しているビジネス関係者らの往来)を14日まで停止せず、その結果、昨年5月に4千人まで減った入国者が12月には7万人にまで急増したと指摘。そのうえで、ビジネス往来の継続にこだわり続けた菅総理による人災なのではないか、ビジネス往来を止めなかった理由と合わせて、人災との指摘に対する総理の見解をただしました。菅総理は国内外の感染状況を見ながら、水際対策を検討していく考えを述べ、明確な回答は避けました。

 「政府は、国民には昼も夜も外出や会食の自粛を求める一方、飲食店には午後8時まで店を開けていいと言っている。これでは客が来ない。大いなる矛盾だ。総理は国民に何を求めているのか全く理解できない」と述べ、国民の不安が高まり、あらゆる業種に影響が広がっていると強く批判しました。

 緊急事態宣言で影響の大きい飲食店への事業支援については、規模に応じた財政支援の検討を、飲食店への納入業者、生産者、宿泊、小売、製造、交通運輸、ひいては文化事業まであらゆる業種を対象範囲に追加するよう強く求めました。

 昨年11月25日、財政制度等審議会が、持続化給付金や家賃支援について予定通りの終了を求めた建議を読み上げ、「全国の事業者の皆さんが置かれている現状を思うと、あまりにも心ない言葉の羅列だ。今は平時ではない。非常時、緊急時だ。だからこそ私たちは繰り返し、事業者への支援を求めていく」と強調しました。

 また、厳しい状況が続いている医療機関に対して、昨年からのコロナ感染による減収分について経済的支援を行うべきだと強く求めました。

 現在の生活保護制度は、保護を受ける前に扶養義務者への照会が前提になっており、そのことが生活保護申請の妨げになっているとの意見を多く頂いていると述べ、この扶養照会を一時的にでも取り払うなどの特別な措置を講ずるべき、生活保護を受ける基準には満たないが、困窮している国民を支援するための措置を緊急的に講ずるべき――と提案しました。

 ワクチン接種について、国民のワクチンへの正しい理解を深めるためには、承認の経緯、有効性、副反応に対する懸念などについて確実に説明することが必要と同時にワクチン接種の主体となる市町村への支援が欠かせないと述べ、総理に国民への情報公開と自治体への支援を求めました。

 9月に創設予定のデジタル庁について、(1)基本的人権に十分に配慮する(2)役所の都合を押し付けるのではなく国民目線で制度設計を行う(3)単に効率化や経費の削減を求めるのではなく、国民にとって真に機能する政府となるよう十分に配慮する(4)この8年余り政府の中に横行している公文書の廃棄・隠ぺい・改ざん・ねつ造が防止でき、経緯も含めた政府の意思決定に至る過程、ならびに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証できる公文書の作成と管理が実現するものであること(5)政府の保有する情報は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること(6)国民が自己情報を管理制御できること(7)デジタル化を推進するにあたり、こうした点に十分配慮すること――を提案しました。

 経済について、現在の株高の要因は何と認識しているか、現在の日経平均株価は日本経済の実態を反映しているものと認識しているか、官製相場との批判があるが日銀やGPIFによる大量の株購入は株式相場の健全性を失わせているとの認識はあるか、株高と実質賃金の低迷によってさらに格差が拡大するとの認識はあるか――、質問しました。

 カーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)について、2030年時点での再生可能エネルギー比率など、2050年のカーボンニュートラルに向けて、現時点で示すことのできる目標を確認しました。

 原発政策について、原発稼働時における「安全最優先」とは、規制委員会の規制基準をクリアすることと地元同意の2点との認識で良いか質問しました。

 医療費の窓口負担について、政府は年収200万円以上の後期高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げることを決めたが、受診抑制による重症化を引き起こし、長期的には医療財政を悪化させると懸念を示しました。

 結びに、菅総理の基本姿勢と政治への信頼について、吉川元農水大臣、河井元法務大臣夫妻、菅原元経産大臣、加えて安倍前総理など、政治とカネを巡る問題が噴出していると述べ、菅総理が率先して真相を解明し、再発防止策を講ずるよう要請しました。

1月20日代表質問 逢坂誠二議員(予定稿).pdf