衆院本会議は29日、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案(特措法改正案)の趣旨説明質疑をおこない、立憲民主党から長妻昭議員が質問に立ちました。
特措法改正案は、現下の新型コロナウイルス感染症に係る対策の推進を図るため、「まん延防止等重点措置」を創設し、営業時間の変更の要請、要請に応じない場合の命令等を規定し、併せて事業者及び地方公共団体等に対する支援を規定するとともに、新型コロナウイルス感染症を感染症法において新型コロナウイルス等感染症と位置づけ、所要の措置を講ずることができることとし、併せて宿泊療養及び自宅療養の要請について法律上の根拠を設ける等の措置を講ずるものです。概要は以下のとおりです(内閣官房ウェブサイトより)。
長妻議員は、立憲民主党をはじめとした野党が12月2日にすでに特措法改正案を提出していることに触れ、「政府・与党はこともあろうか、国会を延長せずに閉じ、今月18日までの長い冬休みに入ってしまいました。この空白の1カ月半を生んでしまったことに対する真摯な反省と明確な謝罪を求めます」と特措法改正案の審議が遅れたことについて菅総理に反省を求めました。さらに、この1カ月半の間は「特措法審議の遅れ」だけではなく、「緊急事態宣言の遅れ」「GoToトラベル停止の遅れ」が生じていると菅総理に強く抗議しました。菅総理は、「コロナという未知の感染症対応に、試行錯誤しながらできる限りの対応をおこなった」と政府がおこなってきたことを正当化するのみの答弁でした。
また、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)にかかり、入院したくてもできずに死亡することが散見されることから、長妻議員は「この現状を打開するための対策はありますか」と質問しました。菅総理は、「症状に変化があった場合に速やかにこれを把握して、医療機関につなぐことが重要であり、引き続き保健所の体制整備やパルスオキシメーターの活用など必要な対策を講じる」と答弁しました。
本法案の入院措置に応じない場合の刑事罰を与野党合意で削除することについて、長妻議員は「現行の感染症法19条で、コロナ患者さんにも入院措置ができるとの即時強制の規定があり、刑事罰は必要ないのです。刑事罰を持ち出したこと自体に政府与党の見識を疑います」と当初の改正案に刑事罰が含まれていたことを強く批判。政府が当初「刑事罰にはおおむね賛成だった」と説明していたのに対し、本改正案を議論する「厚生科学審議会感染症部会」議事録には「ほとんどの専門家委員が刑事罰導入に反対ないしは慎重意見だった」と指摘し、政府の説明と実態とがまったく異なることを菅総理が知っていたのか、これは情報の隠ぺいではないかをただしました。菅総理は、「1月15日の部会で議論を行い、罰則も受けることを含め方向性を概ね了承が得られたと報告を受けている。感染症部会は公開の場で、議事録は速やかに公表されており隠ぺいの指摘はあたらない」と政府の説明との違いには触れませんでした。
20日に田村厚生労働大臣が、ファイザーから年内に約7200万人分のワクチン供給を受けると正式に契約したと発表したことについて、長妻議員は「事実上、6月末6000万人のワクチン供給が反故にされた」「なぜ、昨年7月の時点で基本合意でとどめるのではなく、正式に契約をしなかったのか」と迫りました。「個別の契約内容は差し控える」と菅総理は述べ、「年内1億4100万回受ける分を締結。具体的に供給時期は困難だが対処方針を踏まえて1日でも早く供給できるようにする」と答えました。
最後に長妻議員は菅総理に対して、「トップリーダーになった今、結果を出すのが重要なのは言うまでもないが、どのような道を進もうと考えているか国民に道を示すアピール力は大切」と総理として国民へ方向性を示してほしいと要請し、「菅総理、しっかりしてください。そしてがんばってください」とエールを送り質疑を終えました。