衆院内閣委員会で14日閉会中審査がおこなわれ、質問に立った今井雅人議員は、(1)政府の新型コロナ感染拡大対策(2)ワクチン接種(3)オリンピック開催――について政府の見解をただしました。

 政府は、東京に4回目となる緊急事態宣言の発令に合わせて、停止要請に応じず酒提供を続ける飲食店に対し、金融機関に遵守の働きかけをするよう、酒の販売事業者に対して取引を停止するよう要請する事務連絡を8日に発出。要請は、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室と、酒の販売事業者に対しては国税庁酒税課の連名で示されましたが、各方面からの強い反発を浴び、政府はこの方針を撤回しました。
 今井議員はこの問題でまず、発出文書のタイトル「所管金融機関等の融資先に対する特措法に基づく要請・命令の遵守等の新型コロナウイルス感染症対策の徹底促進について」「酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との酒類の取引停止について」を取り上げ、「『取引先』ではなく『融資先』、預金を預けているだけのところ(取引先)は対象外で、金を貸しているところ(融資先)だけを先を狙い撃ちしたペーパーであり、優位的な地位を使っていると言われても仕方がない」「取引を停止しろと、直接的でえげつない。タイトルから高圧的で撤回しても当たり前だ」と批判しました。 

 その上で、撤回せざるを得ないような悪質な事務通知をいったい誰が思いついたのかと尋ねましたが、西村経済再生担当大臣から明確な答弁はありませんでした。今井議員は、発出前の7日、菅総理も出席していた関係閣僚会議で事務方から金融機関や卸売業者へ働きかけをするとの説明があったことを確認た上で、「菅総理が責任をもって発出したものではないか。政府が責任をもって出しているもの。撤回せざるを得ない状況になったのだから、総理の責任は非常に重い。総理に責任があることではないか」とただしました。
 これに対し西村大臣は、「(関係閣僚会議では)要請の具体的な内容については議論していない。具体的な内容については、私の責任で内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策推進室と関係省庁と調整の上で決めて協力依頼をおこなった」などと答え、今回の通知発出は誤りであり混乱を招いたと陳謝。
 今井議員は、「私の責任」と繰り返す西村大臣に「私は菅総理に重大な責任があると思うが、それなら大臣が責任を取ればいい。そこまで自分が『やった』とおっしゃるなら大臣を辞任された方がいい」と迫りました。

 ワクチン接種をめぐっては、自民党の下村政調会長が供給不足を「風評」と発言したことに触れ、「ワクチンの供給が不足していると世の中で言われているのは『風評』の類なのか」と質問。
 河野大臣は、「ワクチンは予定通り入ってきている。ただ、この間自治体が接種体制を強化してくださったので、その接種体制を維持していくためにワクチンの供給が不足しているのは事実。当初のワクチンの供給スケジュール通りに動いている。各自治体においては未接種のワクチンを使いながらある面、接種ペースを最適化していただく必要がある」などと強弁しました。
 今井議員は、全国知事会が政府に対する緊急提言のなかで「市区町村は国の方針に基づいてワクチン接種に全力を挙げてきたのにハシゴを外されて混乱していると、政府は厳しく認識すべきだ」と指摘していることにも言及し、今のワクチン供給不足は自治体の責任だと言わんばかりの河野大臣の対応を批判。5月の段階でワクチンが当初の予定通り入ってこないことを知りながらそのことを説明しなかった河野大臣の対応を問題視し、結果として例えば今井議員自身の地元、岐阜県の各務原市では、納品されると思って準備を進めていた医師やスタッフらのキャンセル費用として3千万円がかかっていると話しました。「14万人の市で3千万円の税金の無駄遣い。国が税金で補償してくれるということだが、全体でいうといくらになるのか。こうした無駄遣いをどう思うのか」と河野大臣の認識をただしましたが、これには答えませんでした。
 今井議員は最後に、臨時国会を開き補正予算を作るべきだとあらためて求め、質問を締めくくりました。

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