立憲民主党ジェンダー平等推進本部(本部長:枝野幸男代表)は6日、国会内で勉強会を開催。「日本の社会保障システムをジェンダー視点で見ると」をテーマに、東京大学社会科学研究所名誉教授の大沢真理さんにご講演いただきました。
冒頭、同本部長代行の徳永エリ参院議員は、党として先般、「ジェンダー平等の推進などに関する改革案」を了承、あらためて党全体としてジェンダー平等の本質に関する認識を共有すべく、3回にわたって勉強会を開催することになったと趣旨を説明。
枝野代表は、「ジェンダー平等推進に向けて先陣を切って前に進んでいるはずのわが党内で非常に残念な状況が作られてしまった。ジェンダー平等をしっかりと推進していくという強い意志をもって取り組んできたつもりだが、こうした状況を踏まえ、党全体で認識を共有しながらジェンダー平等をしっかり進めていくきっかけにしていかなければならない」とあいさつ。「ジェンダー平等の推進などに関する改革案」を同本部でさらに具体的にブラッシュアップしていく作業を進めているとして、改革案のうち「代表が先頭に立った推進体制の確立」については先行する形で自身が本部長に就任したと説明し、「(ジェンダー平等推進本部での)さまざまな議論と方針がダイレクトに、党全体としての方針として進めていける体制を形の上でも取らせていただいた。こうした体制の下で、2人の本部長代行(大河原雅子衆院議員、徳永エリ参院議員)を中心に議論をして一緒に進めていただきたい」と呼びかけました。
また、「ジェンダーに関する問題について社会の変化、あるいは国際的スタンダードの変化に残念ながらついていけていない側面があったことは否定できない。党内でも、そうした認識をしっかり持っている仲間と、決して十分でなかったと言わざるを得ないメンバーと、非常にまだらであったと反省している。しっかりと認識を共有した上で政権選択選挙に臨んでいくことは、ジェンダー平等推進を掲げている立憲民主党としての責任だ」と勉強会開催の意義を説きました。
勉強会では、大沢真理さんが「日本の社会保障システムをジェンダー視点で見ると――災厄への脆弱性は用意されていた――『平時』対処が逆機能し『有事』には有害に」をテーマに講演しました。日本はコロナ以前から「男性稼ぎ主」が標準で、税・社会保障制度が低所得者を冷遇、共稼ぎやひとり親の貧困を増幅、SDGsに不誠実であり、それがコロナ禍での一斉休校や外出自粛などやみくもな政策によりひとり親や共稼ぎ世帯の稼得活動を困難にさせ、失職・休業や所得低下は子育て女性に集中していると説明。本来徹底した検査と保護により、経済活動はかなりの程度維持できるはずだったが、1990年代後半から、保健医療体制が非感染症(生活習慣病)重視にシフトし、感染症病床数・保健所数・保健所職員数・衛星県職員数を削減したためそれが叶わなかったと話しました。
こうした税・社会保障システムのもと、コロナ禍においては「ひっ迫下の入院優先は男性」「2020年中の自殺者数21,081人は、12月31日までのコロナ累積死者数3292人の6.4倍」「コロナ離職しやすかったのは、非正規、飲食・宿泊従業員といずれも女性が集中する区分」「母子世帯は、主食も買えないほどの苦境。小学生の体重が減った」など「コロナよりも政治に殺される」ともいえる状況になっていると指摘。世界の災害・復興研究では、災害においてもさまざまな男女格差が明らかになっているとして、防災会議の女性委員比率によって常時備蓄の有無や、避難所運営指針等の記述があるなど、防災分野での意思決定等におけるジェンダー平等の必要性を強く訴えました。
勉強会には、福山哲郎幹事長、同本部事務局長の打越さく良参院議員ほか、オンラインで国会議員や総支部長、自治体議員など約80人が参加しました。