党カジノ問題対策ワーキングチーム(WT)顧問の菅直人衆院議員、同WT座長の櫻井周衆院議員は5月24日、カジノをめぐる問題について、静岡大学の鳥畑与一教授を招き、座談会を行いました。野々上愛 大阪府議会議員はオンラインで参加しました。

 大阪では現在、大阪府と大阪市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐり、市民団体「カジノの是非は府民が決める住民投票をもとめる会」が、吉村洋文・府知事に対しカジノの賛否を問う住民投票を実施するよう求める署名活動を行っています(5月25日締切り)。以下、それぞれの参加者の主張を紹介します。

■櫻井周衆院議員
 この間、党としてもさまざまな取り組みをしてきましたが、大阪、長崎で区域整備計画が申請されてしまった。申請はされたが、まだストップできると考えている。

■鳥畑先生)
 2013年末にカジノ推進法案が提出されてからカジノ問題に取り組んできた。多重債務問題の原因がギャンブルによる借金だった。ギャンブル問題からカジノ問題へと取り組んできた。高金利で多重債務に追い込まれ、自分の人生だけでなく家族の人生も巻き込んでしまう。このような悲惨な社会を決して作り出してはいけないという思いで頑張ってきた。

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■菅直人衆院議員)
 参議院選挙での最大の争点は、大阪カジノをこのままやるのかやめるのかだと思っている。参議院選挙の結果、大阪で維新が負ければ、カジノは止まる。

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■櫻井周衆院議員)
 2016年にカジノ推進法が成立、2018年にはカジノ整備法が成立。立憲民主党としてはカジノは山ほど問題があるということで、2020年1月にカジノ廃止法案を提出したが審議されなかった。

 この頃から新型コロナ感染が拡大し、カジノ誘致の大前提として外国からのお客さんが来る、外国客から収益を得ると言われていたが、見込めなくなった。感染症が収まっても、どれほど戻ってくるかも不明。外国のお客様を相手にと言ってきたが、実態としては、金融資産を多く持つ日本人をかもにするつもりなのではと当初から言われてきた。状況が変わってきた。

 さらに最近では、ネットカジノ、いつもでどこでもスマホでカジノができてしまう状況になっている。カジノ自体に問題があるが、加えて儲かりもしない。カジノをやる意味が全くない。

 昨年の横浜市長選挙でカジノ反対を訴えた新人候補が当選した。和歌山県では県議会では知事が提案したカジノ整備計画が否決された。しかし、大阪府議会、大阪市議会、長崎県議会は可決。4月に政府に申請が出された。国の認可はこれからなので、まだカジノをストップできる。

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■鳥畑先生)
 カジノで地域経済が活性化するというのは幻想だとこの9年間訴えてきた。カジノの高収益で世界最高水準の統合型リゾートを作り、そこに世界中の観光客が集まる。世界最高水準の国際会議場、展示施設でビジネスマンが集まる成長戦略だという話は、前提も含めてもろくも崩れてしまった。

 世界最高水準のIRとのふれこみだったが、国際会議場、展示施設は小規模になり、実際は世界水準のカジノ賭博場でしかない。

 アメリカでは、カジノ市場の回復は進んでいるが、推進力はオンラインカジノが急速に伸びていることによる。強大な箱物施設を作って、カジノに誘導するモデルが大きく崩れてきている。日本のカジノの事業者MGMリゾートは、アメリカ国内のカジノを売却しリースで営業を続ける、自らはもたないモデル。巨大投資に対するリスクを負担しない方向に来ている。大阪IRは大阪経済破綻の道だと思っている。

■菅直人衆院議員)
 このようなことが、大きな背景としてありながら、なぜ大阪でカジノがここまで止まらないのか。ある意味、不思議。維新という政治グループが掲げてきたことが要因。カジノの問題と維新という政治勢力がある種一つ。逆に言うと、維新が政治勢力を失えば、誰の目にも破綻している大阪カジノはストップできる。

 大阪市は1円も金を出さないと言っていたのに、予定地の土壌対策費として790億円を負担することになった。最初から約束を破っている。

 維新という政治勢力はあまりカジノを表に出したくないので、それ以外の政治テーマを出してくる。維新は、参議院選挙はカジノを出さずにやりたい。逆に言えば、維新とカジノを出せばだすほど、カジノは止まるのではないか。

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野々上府議)

 3月の大阪府会、市の定例会で計画が可決し、国に送られた。しかし計画の中身がどうなのか。自動的に国は認可してほしくない。今後区域計画が審査されるところ。その計画の内容が重要。

 大阪府の資料を見ると、去年の9月に事業者提案として出された状況では、カジノは1兆円以上の投資がある、1年間来場者は2千万人を超えると書かれている。大阪で一番集客できるUSJがコロナ前2018年で一番人が集まった時1400万人だが、それを大きく上回る集客見込みで計画を立てている。コロナもあった。カジノ面積はUSJの8分の1しかないのに、どうやって人をいれるのか。

 国際会議場、展示施設もあるIRと言われるが、大した大きさもない。1兆円の資金をかけて開発されるが、半分が借入、半分が出資金。出資金の8割は日本企業からの投資を見込んでいる。が、大阪府議会、市議会は賛成多数で可決した状況。

※ 座談会の詳細記事、動画は後日公開いたします。