大阪府市はカジノを含む統合型リゾート(IR)を人口島「夢洲(ゆめしま)」に誘致する整備計画を4月末に政府に申請しました。しかし、そのIR整備計画は、現実的なものなのか。静岡大学の鳥畑与一教授を招き、党カジノ問題対策ワーキングチーム(WT)顧問で、参院選挙大阪選挙区特命担当の菅直人最高顧問、同WT座長の櫻井周衆院議員、地元・大阪から野々上愛大阪府議会議員が5月24日、カジノをめぐる問題について、意見を交わしました。 以下敬称略

櫻井)カジノストップを訴え、党としてもさまざまな取り組みをしてきましたが、大阪、長崎で区域整備計画が申請されてしまいました。申請はされましたが、まだストップできると考え、今日は「ストップカジノ」をテーマに、大阪でのカジノ誘致をめぐる問題を中心に意見を交わし、今後の取り組みにつなげていきたいと思います。

コロナ禍で前提が変わった誘致計画

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鳥畑)2013年12月にカジノ推進法案(「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」)が提出されて以後、カジノで地域経済が活性化するというのは幻想だとこの9年間訴えてきました。カジノの高収益で世界最高水準の統合型リゾートを作り、そこに世界中の観光客が集まる。世界最高水準の国際会議場、展示施設でビジネスマンが集まる成長戦略だという話は、前提も含めてもろくも崩れてしまった。ギャンブルで高金利の消費者金融の多重債務に追い込まれ、自分の人生だけでなく家族の人生も巻き込んでしまう事例を多く見る中で、このような悲惨な社会を決して作り出してはいけないと頑張ってきました。

菅)参院選挙での最大の争点は、大阪でカジノをこのままやるのかやめるのかだと思っています。参院選挙の結果、大阪で維新が負ければ、カジノは止まる。

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櫻井)立憲民主党は、2020年1月にカジノ廃止法案を国会に提出しましたが審議されませんでした。この頃から新型コロナ感染が拡大し、カジノ誘致の大前提として言われていた外国客からの収益が見込めなくなった。感染症が収まっても、どれほど戻ってくるかも不明です。外国人客を対象としながらも、実態としては金融資産を多く持つ日本人をかもにするつもりなのではないかと当初から言われてきましたが、誘致計画の前提状況が変わってきました。

 さらに最近では、オンラインカジノが広がり、いつもでどこでもスマホでカジノができる状況になっている。カジノ自体に問題がありますが、加えて(地域が)儲かりもしないカジノをやる意味が全くありません。

カジノが止まるかは維新の勢力次第

鳥畑先生)世界最高水準のIRとのふれこみでしたが、国際会議場、展示施設は小規模になり、実際は世界水準のカジノ賭博場でしかない。アメリカでは、カジノ市場の回復は進んでいますが、推進力はオンラインカジノが急速に伸びていることによるもの。強大な箱物施設を作って、カジノに誘導するモデルが大きく崩れてきています。日本のカジノの事業者MGMリゾートは、アメリカ国内のカジノを売却しリースで営業を続ける、「自らは持たない」モデルで、巨大投資に対するリスクを負担しない方向に来ている。大阪IRは大阪経済破綻の道だと思っています。

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野々上) 3月の大阪府会、市の定例会で計画が可決し、国に送られました。しかし計画の中身がどうなのか。

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 大阪で一番集客できるUSJがコロナ禍前の2018年に一番人が集まった時が1400万人でした。それを大きく上回る集客見込みで計画を立てています。カジノ面積はUSJの8分の1しかないのに、どうやって人を入れるのか。1兆円の資金をかけて開発されますが、半分が借入、半分が出資金。出資金の8割は日本企業からの投資を見込んでいます。

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菅)このようなことが大きな背景としてありながら、なぜ大阪でカジノがここまで止まらないのか。維新という政治グループが掲げてきたことが要因であり、カジノの問題と維新という政治勢力はある意味一体。逆に言うと、維新が政治勢力を失えば、誰の目にも破綻している大阪カジノはストップできる。