大阪カジノ計画問題について、静岡大学の鳥畑与一教授を招き、党カジノ問題対策ワーキングチーム(WT)顧問で、参院選挙大阪選挙区特命担当の菅直人最高顧問、同WT座長の櫻井周衆院議員、野々上愛大阪府議会議員が5月24日、意見を交わしました。大阪では、誘致の賛否を問う住民投票の実施を求める市民団体の署名活動が5月25日終了し、住民投票実施の条例案を吉村知事に直接請求するために必要な法定数約14万6000筆を超え最終的には20万筆を超える賛同署名が集まっています。

危険な企業に大阪経済の未来を委ねてはいけない

鳥畑)大阪の事業者に選ばれたMGMリゾーツ・インターナショナルは、当初100億ドル規模の投資をすると言っていましたが、全体の約20%しか出資しないことになりました。その理由は、MGM自身が今非常に経営危機で資金繰りが厳しいというもの。国際的な格付け会社によると、昨年春に格下げされました。このように危険な企業に大阪経済の35年、40年といった長い期間の未来を委ねてしまうということ。選択自体がギャンブルです。

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 MGMは費用負担を大阪府・市に押し付ける一方で、昨年には17億ドル=約2千億円を自社株購入という形で投資家の懐に入れ、今年も第1四半期だけでも10億ドルの自社株を購入しています。つまり、大阪府市に費用を押しつけて、浮いたお金は、全部投資家のポケットに流し込んでいく。ここまで貪欲なカジノ企業に大阪、日本の未来を委ねてはいけないと強く訴えたいです。

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地域の課題に対して立場を超えて手をつなぐ

野々上)この大阪のIRの用地は、コンテナヤードや物流拠点のポテンシャルが高く、競争力があり高い値段で売れていくはずでした。しかも、物流拠点で大きな建物を建てないですから、788億円の公金をつぎ込んで地盤改良の必要もありませんでした。カジノで大博打にうつつを抜かすのではなく、地に足のついた大阪の町づくりの姿というのを考える上でも、非常に象徴的な絵だと思います。

 大阪は議会が知事与党の維新の会が圧倒的多数を持つ構成なので、私たちの小さな声は、議会に反映されにくい。今回のカジノIRは、土地の賃貸借契約期間は35年に及び、1期4年間の知事の8期分ぐらいにわたる計画を、今の知事だけで決めてしまうことになります。このやり方自体が民主的なまちづくりと相入れません。

 実際大阪では、自民党にも一部反対派がいます。大阪の地域の課題に対して、私たちは立場を超えて手をつないでいきます。ぜひ国会の審議や立憲民主党の力を発揮していただきたいです。

菅)今後、大阪府・市が出した申請書に対し国、つまり政府の認定手続に入ります。この認定の手続は、主幹は国交省ですがほぼ全閣僚の同意が必要になる。カジノを強引に進める維新に対して、自民党も公明党もそれを容認するのかどうか。私は、これは大阪の問題であると同時に、東京あるいは全国を含めて、カジノを強引にやろうとする維新でいいのか、またそれを容認する自民、公明でいいのか。これが参院選挙の最大の課題の1つになった時には、計画を止めることが可能になる。このことを全国民の皆さんにぜひ理解をしていただきたいと思っています。

不幸に追い込むビジネスを税金で作るのか

鳥畑)カジノというのは必ず数パーセントの依存症者を作り出し、その依存症の人たちで大半を儲けるものです。数百万円、数千万円を負ける人をどれくらい多く作るかが、儲けられるかどうかのノウハウの別れ道です。大阪府・市だけでなく、日本人全体を不幸に追い込むようなビジネスを大阪府・市民の税金で作るのか。自分たちを不幸にする施設を自分たちのお金で作らされて、その後、ツケまで払わされることになる。この選択に、ノーを突き突けてほしいです。カジノIRに推進している方々、関西の経済界の方々は、確かに目先の利益になるかもしれませんが、長い目で見れば本当に自分たちの故郷、経済活動の基盤を崩していくこの計画について、もう一度考え直してほしいです。

 韓国のカンウォンランドにヒアリング調査に行きましたが、カンウォンランドも当初はカジノの儲けでスキー場や、いろいろな施設を作り、カジノに依存しない街づくりを目指してスタートしたと言います。ところが、カジノ以外の施設がずっと赤字なので、カジノの利益がないと、ホテルもその他の関連施設も経営を維持できない。だから、一旦カジノ依存の振興策にはまってしまうと、そこから抜け出すこともできない。どんなに自分たちの故郷を壊していても、そこから抜け出すことができない。

櫻井)大阪でカジノを進めていくと、お先真っ暗だよというお話をさせていただいていますが、しかし、今ならまだ間に合います。今なら止められる。われわれ国会でも、そして大阪でもストップカジノを訴えて活動してまいります。一緒に力をあわせて戦ってまいりましょう。今日はどうもありがとうございました。

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