旧統一教会の被害者救済をめぐり、立憲・維新提出の「旧統一教会財産保全法案」(立・維案)及び自民・公明・国民提出の「被害者救済法案」(自・公・国案)が12月1日、午前には法務・文科・消費者問題連合審査会で、午後には法務委員会で審議が行われました。法案提出者の西村智奈美、長妻昭、柚木道義、吉田統彦、山井和則各衆院議員が答弁に立つとともに、質疑も行いました。連合審査会では山田勝彦衆院議員、法務委員会では鈴木庸介衆院議員も質疑を行いました。立憲民主党は両案の修正協議が行われていることを踏まえ、自・公・国案の問題点を指摘しつつ、「車の両輪として両案の成立」を求めました。

法務・文科・消費者問題連合審査会

山田勝彦議員

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 山田議員は、自民党の各議員に旧統一教会から送られているFAXにある要望内容が、与党の主張している趣旨と一致することに触れ、「自民党と旧統一教会との関係を絶ち切れていないのではないかという国民の疑念に答える立法措置が必要なのではないか」と提起しました。

 その上で、解散命令請求を出されたオウム真理教が決定するまでの数カ月のうちに財産隠しなどを行い、事件から10年後、結果として被害者への配当率は30.67%にとどまった件に言及し、「このような悪質な資産隠しや資産売却をもう二度と許してはならない」と、財産保全の必要性を強く訴えました。

吉田統彦議員

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 旧統一教会に対する損害賠償請求を決意するためには、精神的な心の傷や恐怖を乗り越えなければならないことから、一般の消費者被害と違い、被害者に早期に民事訴訟または民事保全手続を講じることを求めることは極めて困難だとあらためて強調。自・公・国案に対し、「民事訴訟の提起や民事保全の申し立てを支援するだけでは被害者の実効的な救済にはつながらない」「財産目録等の提出義務の特例は、あくまで解散命令を受けた宗教法人が明らかにしている財産目録についてであって、意図的に隠そうとしてる財産には効果が実質的に及ばない」と指摘し、立・維案と自・公・国案の両方を成立させようと呼びかけました。

柚木道義議員

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 柚木議員は、「包括的な財産保全への修正してもらえるかどうかこそが、(自民党が)旧統一教会との関係を本気で断ち切れるかどうかのリトマス試験紙だ」と、自・公・国案の提出者に迫りました。

 旧統一教会は元信者らに補償が必要になった場合の原資として最大100億円を「特別供託金」として国に預ける方針を示していることから、1000億円ほど資産があるとも想定されるなか、自・公・国案が発動されたらどのくらい仮押さえができるのかと質問。これには明確な答弁がなく、柚木議員は「(自・公・国案が)成立して、それ以下の仮押さえしかできないようなスキームの法律を作ることになってはいけない」と述べ、被害者救済のためには包括的な財産保全だと訴えました。

法務委員会

鈴木庸介議員

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 鈴木議員は、多くの被害者からヒアリングを行ってきたことを踏まえ、旧統一教会の「財産の包括的な保全」をすべきとした立・維案について質問。答弁に立った山井衆院議員は、自・公・国案が想定する「一人ひとりが裁判するのは無理」だとして、「解散命令が出た時に、賠償金が払えない」「財産が韓国や他団体に移されている」状況では、被害者は救済されないと強調しました。

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答弁に立つ山井衆院議員

長妻昭議員

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 長妻議員は、他の宗教法人とは違い、旧統一教会は過去40年以上にわたり組織的に行われた不正行為により「解散命令請求」がなされた団体であることをあらためて強調。むしろ旧統一教会は「信教の自由」を侵害する違法なものとして元信者らが勝訴した「青春を返せ訴訟」も踏まえ、5党による修正協議を念頭に、被害者保護の観点から「建設的な議論、決着をお願いしたい」と求めました。


西村智奈美議員

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 西村議員は、自・公・国案が規定する、被害者が法テラスを利用し訴訟の支援を行う制度について「活用できればよい仕組みだ」と指摘。その上で、立・維案と自・公・国案の両案を「車の両輪として被害者救済に資するよう成立させていただきたい」と求めました。