参院本会議で12月1日、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」に対する質疑が行われ、宮口治子議員が登壇しました。

 宮口議員は、本法律案の最大の問題として、運営方針委員の任命における文部科学大臣の承認が必要とされることを挙げ、「多くの大学関係者から、学問の自由や大学の自治が脅かされかねない」といった不安の声があることを紹介しました。

 宮口議員は、先の日本学術会議の会員任命問題について、昭和58年に中曽根総理から「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」との国会答弁があったにもかかわらず、結果として、6人が任命拒否されるという問題が生じたことを指摘し、本法律案の運営方針委員に関する文部科学大臣の承認についても、政府は同趣旨の説明をしているが、同様に、「今後、時の政権にとって都合の悪い人間が、承認を拒否されないとも限らない」と懸念を表しました。「学問の自由や大学の自治の破壊につながりかねない。文部科学大臣の承認を必要とする規定は不要」と訴えました。

 宮口議員は「約20年前に国立大学が法人化されて以降、政府は「選択と集中」を進めてきたが、一部にばかり集中的に資源を投下して、その他は切り捨てるという発想で、わが国の研究力は、向上しなかった」「それなのに、過去の反省も総括もないまま、拙速な法改正により運営方針会議を設置する仕組みを創設し、一部の『稼げる大学』ばかりを大学ファンドで支援したとしても、同じ過ちを繰り返す ことになりかねない」と批判しました。

 宮口議員は「世界と伍する研究大学を実現することの重要性は十分に理解できる」と述べた上で、一方で「教育の現場では、小・中学校における不登校児童生徒数は過去最高の約30万人に達し、小・中・高等学校等でのいじめの認知件数と重大事態の件数も過去最多、自殺者も増えているという悲しい現実がある」「その現実をしっかりと胸に刻み、国民が十分に納得できる議論がなされるべき」と訴えました。

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