立憲民主党の野田佳彦代表は4月23日、国家基本政策委員会合同審査会で自民党の石破茂総理総裁と昨年10月9日の衆院解散日以来の党首討論に臨みました。
野田代表は冒頭、ねじれ国会だった民主党政権時代に与党党首として臨んだ自民党総裁との3回の党首討論を振り返り、「重要なテーマで与野党が膠着状態に陥った時に局面打開の1つの舞台として党首討論は非常に意義があった。国難ともいうべきテーマで一致点を見出せる議論ができればと思っている」と述べました。

トランプ関税をめぐってはまず、この関税措置をめぐる日米交渉について、「多くの国が注目をしている時に(赤沢大臣は)赤いキャップをかぶり朝貢外交をやっているように見られてしまった。視覚的な印象は非常にマイナス」「1対4で臨まなければならなかったのはマイナス。国難と言っているわりには体制整備が弱すぎるし遅すぎる」と指摘。24日から始まるG20の財務大臣・中央銀行総裁会議にあたっては、「マルチの会議では緩やかでもトランプ米大統領の関税政策について再考を求めていくこと。WTO(世界貿易機関)協定、日米自動車協定違反のではないかとルールを守ることを鉄則とした国際秩序を作っていかなければならないという立場を毅然として強調すべき。その方がベッセント米財務長官にも伝わる」と主張。国際会議の合間に予定されている加藤財務大臣とベッセント財務長官の会談については、「為替の問題が出てきた時には、第2プラザ合意のようなものをアメリカが考えたとするならば、それは基本的には間違っていると言わなければいけない」などと求めました。
野田代表は「いま保護貿易が台頭し、経済がブロック化すると一番不利益を受けるのは日本の消費者であり国民。自由貿易を推進することが日本の国益。その大局観のもと、アメリカが自由貿易の旗を降ろさざるを得なくなっているならば、日本はその旗を持ち先頭に立って自由貿易圏のネットワークを作っていく気構えと外交戦略が必要だ」と強調。TPPを国会で最初に取り上げたのも、参加に向けた協議に入っていく政治判断したのも自身だとも述べ、「自由貿易拡大の手段、利益を得ていくかはTPPの活かし方にかかっている。バイの交渉は大変でも、マルチで全体像をお互いに確認しながら行けばアメリカも折り合う部分がある。TPPを拡大していく、自由貿易の広がりを作っていくために戦略的に取り組むために日本は事務局を引き受けたらどうか」と提案しました。
これに対して石破総理は「事務局を受ける負担は重い。体制を整備できるかどうか、いかなるメリットを作れるかどうか。他国の了解も必要であり真剣に考えていきたい。わが国として今後米国が戻ってきてもいい体制を作っていく必要がある。アメリカが入ることでアメリカの国益、世界益を具現化するTPPを作っていくこともわが国の責任」だと発言。野田代表は「CPTPPを作っていったがゆえに2019年の日米自動車協定でアメリカは譲歩してきた。相関関係があるので力強く推進してほしい」と述べ、TPPの推進とともに、EUとの連携も図るよう呼びかけると、石破総理は「認識は一緒。総論として自由貿易の観点からEUと日本が連携していく意義は極めて大きい」と同意しました。
野田代表は、今回の相互関税でベトナムやカンボジアといった東南アジアも厳しい状況にあるなか、米中の間でバランスを取ろうとした国々が中国に席巻されていく可能性があると指摘。その穴を埋めていくのは日本の役割だと述べ、「RCEP協定(地域的な包括的経済連携協定)は世界のGDPの3割を占める。全部合わせれば相当大きな自由貿易圏になる。国難だという認識は同じなので、足を引っ張るのではなくお尻を叩くつもりでこれからも提案したい」と述べ、締めくくりました。

