安住淳幹事長は11月25日、国会内で記者会見し、(1)政府の補正予算案(2)衆議院議員定数削減(3)台湾有事を巡る首相答弁と政府見解――などについての考えを述べました。

(1)政府の補正予算案
 政府が閣議決定した21兆円規模の経済対策について、安住淳幹事長は規模と中身を精査して対応する方針を示しました。
 補正予算編成の経験者として「20兆円を超えるのは補正という名前を飛び出すぐらい大きい額」と指摘。財源を国債発行に頼ることについて、市場から金利、債券、円安という警告が発せられていることに懸念を示しました。「スピードのいる話なので、だらだらと審議を延ばすことはしない。結論はしっかり出す」と述べました。
 補正予算の中身については「年明けから3カ月で21兆円を執行できるのか」と実効性に疑問を呈しました。「額は積み上げているが、基金を積んでいるだけというのもたくさんある。国民生活に何ら関係なく、見栄えだけの補正予算」と批判。「国民の税金を単に基金で積んで見栄えだけ大きくしているのは本当に妥当なのか、ちゃんと問うていく」と強調し、「支持率が高かろうが低かろうが関係ない。最初に額ありきというのは問題だ」と述べました。

(2)衆議院議員定数削減
 自民党と日本維新の会が衆議院議員定数の45議席以上削減で一致したことについて、安住淳幹事長は与党2党だけで決めた方針に強い懸念を示しました。
 定数削減そのものに反対はしないと述べた上で「与党2党だけで比例を単純に50削減しろというのは乱暴じゃないか」と批判。「1割はなぜ1割なのかというところからちゃんと説明してもらって話し合いを始めたい」と述べました。
 1年以内の結論については「定数の話は1年以内に出せる可能性はあるが、人口減少や選挙区と比例をどうするかは1年で済むか分からない」と指摘。「総理の解散権を本当に縛るのか。縛らなければ今の制度でやった新しい人たちがそれを否定したら水泡に帰す」と述べ、プログラム法による共通認識の形成を求めました。
 法案への賛否については「比例50削減は絶対飲めない」と明言。「国会議員を削れ削れという世論に乗っかった議論は民主主義にとって危険だ」と強調しました。

(3)台湾有事を巡る首相答弁と政府見解
 公明党の斉藤代表が提出した質問主意書に対する政府答弁書が、存立危機事態に関する首相答弁について従来の政府見解を変更していないとの内容だったことについて、安住淳幹事長は「閣議決定を得て返ってきた文書は高市総理の発言とは違う。これは政府としての重い発言で、このラインを踏み外したらダメだ」と指摘。「これを踏み外してイケイケどんどんみたいな話で肯定化すると、安全保障だけでなく経済全般にわたって東アジアが大変な状態になり得る」と懸念を示しました。
 総理自身の答弁撤回については「一国の総理大臣がわずか1〜2週間で撤回するのは大変なこと」としつつ、「トランプ大統領も習近平氏との電話会談で台湾問題については曖昧にきちっと答えている。曖昧にきちっと答えているというところがポイント。アメリカだってセンシティブさが分かっている」と説明。「近傍にいるわが国がはみ出たことを言ってネット世論で受けるのは、一番国を危うくする」とし、「繰り返しこの政府答弁がわが国の正式な答弁だということを言い続けてもらいたい」と述べました。


安住淳幹事長記者会見

2025年11月25日(火)15時39分~16時13分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/RtlBAUAbrYA


■冒頭発言

■質疑

■冒頭発言(記者ブリーフィング)

■質疑(記者ブリーフィング)


■冒頭発言

○定例会見に当たって

【幹事長】
 机の配置は私の意見で変えさせていただきました。これが普通のマスコミの会見だと思いまして。余りにも横向きで、皆さんの顔を横から見て質問されるのは、あまりね、ちょっとセンスがどうかなと私は思っていたので。
 カメラの皆さんも、この(演台の)上だけ撮っておられるから、私は全然これで構わないと思うので、よろしければ代表会見も何も教室タイプでやらせていただきたいと思います。


■質疑

○補正予算審議に向けて(1)

【共同通信】
 補正予算案について伺いたい。先週政府が21兆円規模の経済対策を閣議決定したが、子ども1人当たり2万円の給付など、立憲民主党の経済対策と重なる部分も一部あるかと思う。一方で、代表は規模が大き過ぎて物価高を助長するなどとの指摘もしているが、現時点で補正予算案の編成、これからだが、賛否とか、修正案の提出とか、そういった可能性についてどのように考えているか伺いたい。

【幹事長】
 インフレ局面で、その対策を打つということであれば多少の規模はやむを得ない部分はあるのですが、私自身、補正予算を何回か編成した人間として言わせてもらうと、やはり20兆を超えるというのは、補正という名前を飛び出すぐらい大きい額なんですね。だから、足らず米をやはり国債発行でやるのかということになると、今度は一方で市場からトリプル安と言われているような金利・債券・円安というのが警告のように今発せられていると。そういう点では、その額と中身については我が党としてはしっかり精査して対応していきたいと思っています。
 スピードの要る話なので、だらだらと審議を例えば延ばしたり、そういうことはしません。結論はしっかり出していきながら、党として対応したいと思っております。

○世論調査の結果について

【毎日新聞】
 先日行われた弊社の世論調査の件で一点伺いたい。高市政権の支持率について65%と前回調査から横ばいになっている一方で、政党支持率では、自民党が25%と前回から1ポイント減るような形で、立憲民主党は9%と前回から2ポイント増となっている。これについての受け止めをお聞きしたい。

【幹事長】
 やはり今の政局というのは今まででちょっとないパターンで、高市総理個人人気が1強。残り、自民党以下、我々の党も含めて、政治不信の真っただ中にあると。これまで、私も30年近く国会議員をやっていますが、こういう高い支持率の総理が出現すると、同時に、所属する政党や与党の人気も一気に上がって我々がへこむというのが普通だったのですが、今回、私は政治記者もやっていたから40年近くこの世界にいますが、これだけ個人人気、期待感のある、支持率の高い総理がいるにもかかわらず、所属している自民党の支持率が横ばいから下がり続けているというのは、初めての経験です。やはり政党に対する国民の皆さんの目は厳しいということではないでしょうか。
 ただ、一方で、総理ご自身も、何かまだ具体的なことをやったというよりは、期待感で支持率が高いでしょうから、これを本当に持続できるかどうかというのはご本人の努力次第だと思います。

○歳費法改正案の対応について(1)

【毎日新聞】
 もう一点、歳費法の改正案について伺いたい。公務員給与の引上げに伴って歳費を上げる法案についてということで、与野党で案を検討したというような一部報道が出たことで、SNS中心にちょっと批判が出ている。先ほど議運の理事会で、その与野党でというところは否定されてはいるが、改めて、このような形で間違った情報を拡散されるようなことになっている状況について、どのように考えるか伺いたい。

【幹事長】
 これは全く我が党は被害者ですから、皆さんに訂正してもらえばいいです。SNSなんかやっている人も、うちの党をバッシングしたがっている人はたくさん多いけれども、事実と違うことはやはりちゃんと、事実と違うから、訂正してもらえばいいと思います。
 このご時世に国会議員の歳費を上げようなんて、我が党は全く思っていませんから。

○次期衆院総選挙に向けた取組について

【読売新聞】
 衆院選の準備状況について伺いたい。高市政権の高支持率を背景に早期の解散・総選挙が行われる可能性も指摘されているが、現状の候補者の擁立をどう加速させていくか。また、幹事長は先日のテレビ番組で、中道の勢力が結集して臨むというお話もされていた。国民民主党や公明党、他党との選挙協力についてどう進めていくか伺いたい。

【幹事長】
 福岡とか、県レベルでの連携は案外と進んでおりまして、一番連携が進んでいないのが国政というところにちょっと難点があるわけだけれども、それはやはり同じ中道の中でも政府に対峙する姿勢が国民民主党と我が党は今ちょっと違うところはあると思います。
 公明党の場合は、これから本格論戦なので、どういう立ち位置で政府側・与党側と向かい合うのかというのは我々も注視しておりますので、まず、そういう国会での連携がうまくいくかどうかではないかと思っているんですね。
 国民民主党とは、どうしたって、これはもう連合も含めて、応援していただく母体が一緒ですから、「違う」「違う」と言っても、都道府県別に見ていけばかなり今のところはすみ分けをきちっとやっていますので、そういう意味では応援団の皆さんが気持ちよく応援してもらうような態勢を、無理にこちらから邪魔をするつもりは毛頭ありませんので。
 今のところ我が党が大体170ですか。国民の皆さんが大体40、50だと思いますが、まだまだ選挙区でいえば80ぐらい空いていますので、さて、そこで公明党の候補者の皆さんとか、そういうのが、どういうふうな立ち位置で臨んでこられるのかということ次第では、様々な可能性はあるのではないかと思っています。
 何よりも、右傾化する世の中の中で、やはり中道リベラル勢力というかな、そこはちゃんとやはり国民の皆さんにもう一つの受け皿として1選挙区ずつ選んでもらえるような体制が日本の政治にとっては好ましいと私は思いますので、幹事長をしている間はそれをあくまで追求していきたいと思っています。ですから、逆に言えば、自民党との連携は全く我が党は考えておりません。

○議員定数削減めぐる議論について

【読売新聞】
 もう一点伺いたい。議員定数削減について、自民党と日本維新の会は衆議院の議員定数について45議席以上の削減を目指す方針で一致した。この案を野党に説明して説得・理解を得たい考えだと思うが、幹事長の受け止めをお願いしたい。

【幹事長】
 議員定数の削減そのものは、国民の皆さんが望むのであれば我々としては別に反対はしませんが、やはり中身は衆議院でちゃんとテーブルで皆で話をしたほうがいいと思います。与党2党だけで比例を単純に50削減しろというのはちょっと乱暴ではないかということは言っていますので、どういう法案が出てくるかわかりませんが、まず、その1割はなぜ1割なのかというところからちゃんと説明してもらって、話合いを始めていきたいと思っています。

【朝日新聞】
 今質問のあった定数削減について追加で伺いたい。与党側の合意では、1年以内の衆院制度協議会での結論を得るというふうにしている。幹事長はこれまでハウスでしっかり議論すべきだとおっしゃっていたが、1年以内という区切りについてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 永遠に議論するわけにはいかないので、特にあれは区割り審が出れば、(大規模)国勢調査が5年で、中間も含めてやれば、自動的に削ったりはしているので、総定数の話は十分議論して1年以内に結論は出せる可能性はあると思うのですが、そういう人口減少とか、選挙区と比例をどうするのかというのは、やはりこれは1年で本当に済むのかどうかわかりませんから、それはちゃんと議論したほうがいいのではないかと私は思っています。

【朝日新聞】
 そうすると、この1年以内にこだわらずに議論する必要もあり得べしということか。

【幹事長】
 いや、1年で結論が出れば、それはそれでやればいいとは思いますが、問題はね、次の衆議院選挙を本当にその選挙制度を抜本改革してやるとなれば、任期ってあと3年しかないわけでしょう。その中で後ろを考えていくと時間的余裕がないということで1年なのかなとは思いますが、では、その間、総理の解散権は本当に縛るのかどうか。縛らないとすれば、それを決めたって、今の制度で(総選挙を)やって、今の制度でやった新しい人たちがそれを否定したら、水泡に帰すでしょう。
 だから、そういうことを考えると、プログラム法でやった上で、お互いの共通認識を持って選挙制度改革ってやらないと、やたらこれにエネルギーを使って結局何もなりませんでしたというのだけは勘弁してほしいなと思っているんですよ。

【朝日新聞】
 今国会に提出される見通しの法案への賛否は、現時点ではまだゼロベースか。

【幹事長】
 ゼロベースというか、だから、比例50なんていうのはもう絶対のめないし、1割はなぜ1割なのかと。
 もちろん世論調査をしたりネットでやれば「国会議員なんか、もうどんどん削れ」と思うかもしれませんが、理性的な考え方をすれば、それは国民の代議員を削って行政府が好き放題にやれる隙をたくさんつくりますよということなのだから、そういう意味で、ヨーロッパにしてもアメリカにしても定数は人口に配分してというふうに決まっているわけでしょう。
 そういうこともちゃんと冷静に議論しないと、「とにかく国会議員はもう何か特権階級で、こいつらなんかとんでもないから、削れ、削れ」という世論に乗っかった議論は民主主義にとって危険だと僕は思っているのです。

○安保法制について

【フリーランス】
 安保法制についてお聞きしたい。ことし夏の参院選に立候補した山尾志桜里さんが11月23日に次のような投稿をしている。「野党第一党が日本の安全保障の基本法制に賛成か反対か分からない状態は、日本国民として不安しかなくストレスです」と。この安保法制について、前回の会見で私が質問したが、安住幹事長は、安保法制全体については違憲とは思っていない、部分的には違憲である可能性がある、この10年間違憲ではなかった、政権を取ったときに否定はしないと。これが今現在の立憲民主党の党としての統一見解と認識してもよろしいか。

【幹事長】
 違憲部分があれば、それを正していくというふうに書いてあります。ですから、違憲の部分が認められないということであれば、現状で法改正をする必要はないと思います。それが正式な考えです。ですから、我が国の安全保障に責任を持っていないというのは、ちょっと当たらないと思います。それは私達と公明党とも意見交換をさせていただいていますが、そんなに違いはないのではないかと思いますね。
 ですから、岡田さんに対する批判のメールというのが300万通ぐらい来ているというけれども、あれはつまり、何度も言うけれども、総理に対してこのラインを踏み外さないでしょうねという確認をしている質疑ですからね。それを歴代総理にもちゃんとやっているわけだから。外交・安全保障当局とも確認して、そこは曖昧にしなければいけない路線もあるわけで、そういうところを我々だってわかって現実的な話をしているわけですよ。
 昔みたいに、自衛隊が違憲だとかね、そんなことを言っている党とは我々はわけが違いますから。現に私も防衛副大臣だったし、実際に自衛隊の運用に関わっているわけだから。そんな、何というか、外にいて我が党のそれを知らないのに、軽々しく口を出して批判するのは勝手だけれども、事実は違いますよ。

○補正予算審議に向けて(2)

【NHK】
 二つあるが、1点目は、冒頭質問もあった補正予算について。今回中身を見てみると、危機管理投資だったり、防衛力の強化だったり、地方への交付金の増額といった、ある意味高市政権の象徴的なものも盛り込まれているかと思うが、中身についての現時点での評価というのは安住幹事長はいかがか。

【幹事長】
 21兆円を積み上げるというのは、やはりなかなかね、難しいんですよ。なぜかと言うと、間もなく12月でしょう、皆さん。これ年度末は3月ですよ。つまり、法案成立して、いざ執行となったって、執行できるのは年が明けてから。僅か3か月で21兆円なんて、申し訳ないけれども、執行できますか。
 だから現実は、実は、中身を見てもらえばわかるけれども、本当に額は積み上げているけれども基金を積んでいるだけというのもたくさんあるんですよ。それは国民生活にも何ら関係なくて、見栄えだけの補正予算ということも言えるんですよ。後々これは有効に使えますと言うかもしれないけれども、国民の税金を単に基金で積んで見栄えだけ大きくしているのは本当に妥当なんですかということは、ちゃんと問うていきます。
 支持率が高かろうとか低かろうに関係ない。国民の予算を賢くちゃんと使っているのかということが問題なので、だから、最初に額ありきというのはちょっと問題だなと私は思っているということなのです。

○ガソリン暫定税率廃止法案について

【NHK】
 もう一問、別件で、ガソリン税の暫定税率廃止法案について伺いたい。きょう衆議院を通過したが、ただ、まだ財源等々で不透明な部分があると思う。今後、政府・与党に対して求めていくことをお願いしたい。

【幹事長】
 何かきょうの本会議を見て、ちょっとがっかりしたのですが、阿久津委員長が登壇して、全会一致でせっかく50年ぶりに成立したのに、拍手しているのは立憲民主党と国民民主党だけだったよね。あれ、どうなのかな。自民党はうれしくないのかな。何かそういう印象はありますよね。
 質問は何でしたっけ。

【NHK】
 財源のところがまだ一部不透明になっているかと思うが、そこに対して求めることを。

【幹事長】
 これは特に地方財源が大体5000億ぐらい、ちょっとこのままだと穴が空きそうなものですから、やはり税収が増えているだけでは済まないと思うので、頑張って恒久財源を私どもも探しますから。しかし、一番米びつをわかっているのは財務省なので、政府側がやはり本気になって、この財源の恒久化を目指して、いろいろなものに手をつけてもらいたいと思います。我々は租特(の見直し)を含めて提案はさせてもらいますから。

○歳費法改正案の対応について(2)

【時事通信】
 冒頭質問のあった歳費法だが、立憲民主党としては引き上げようと思っていないというお話だったが、実際に改正案が出てきた場合は立憲民主党としては反対ということでよろしいか。

【幹事長】
 当然です。

○安保政策に関する国会審議について(1)

【日本テレビ】
 先ほどちょっと質問が出たかと思うが、台湾有事をめぐる高市総理の発言で、岡田議員が結構攻撃を受けているような側面があるかと思う。ただ聞くべきことを聞いて批判されているという状況を、同じ国会議員として、また、同じ党の人間として、どう見ているか教えていただきたい。

【幹事長】
 それは民主主義の危機でしょう。そんなことに走って、高市さんのやることに何かけちをつけたら何百万通と一斉に同じような内容のメールが来るって、異様なことだからね。全然ひるみませんよ、でも。そんなことにひるんでいたら民主主義が終わっちゃうからね。皆さんにも奮起を促したいね。おたくもね。
 岡田さんへの300万件は、批判だけではなくて、ホームページの閲覧回数もというふうにおっしゃっていたから、この中には一部頑張れよという激励もあったと推測されるということでした。すみません。まあ1割もないと思うけれども。

○党首討論について

【日本テレビ】
 もう一つ、別件で。あす高市総理になってから初めてのクエスチョンタイムがあるかと思う。先ほど常任幹事会の冒頭でも野田代表が幾つかテーマの頭出しをなさっているところがあったが、改めて、党としての戦略、狙いなど、党として全体であれば教えていただきたい。

【幹事長】
 党首討論はですね、リーダー同士が生の言葉で、私は全く細かいことなんか聞く必要はないと思うんですね、リーダーとしてのそれぞれの考えをぶつけ合って、国民の皆さんから見て、やはり高市総理が今何を考え、野田代表がそれに対してどう思っているのか。また、逆もそうだし、そういうことをやはり本音ベースで議論するというところに普通の委員会と全く違うものがあると思うんですね。短い時間ですが、短い時間だからこそ、やり取りのできる、中身の濃い質疑を両者に期待したいと思います。

○法相の答弁姿勢について

【フリーランス】
 今回の岡田さんの件で私が思うには、やはり現実を全然知らなくて、歴史的経緯も知らない、これまでのいきさつも知らない、そういう無知に乗っかった上のポピュリズムという側面があると思う。何でも高市さんが言うとおり、それを認めなくてはいけないような、そういうプレッシャーがかかっていること自体が民主主義ではないと思う。一方で、実際の国会の中で、例えば幹事長はどう思われるか、高市政権の中で、法務委員会、この法務大臣の答弁の仕方。これは全くもって、誠意というか熱意というか、それが全く感じられない。また、ちゃんと中身を理解してしゃべっているのかというところが、こちらのほうには伝わっていないところが多々ある。こういう問題について、既にもしかしたら幹事長はロックオンされているかもしれないが、これについてお願いしたい。

【幹事長】
 閣僚の所信質疑が終わったものですから、これを一巡して全部モニターはさせていただいて、これから今ご指摘のあったような問題については予算委員会でしっかりちょっと詰めていきたいと思っています。高市総理の人気は人気ですが、失礼な言い方だけれども、それにごまかされないように。個人個人の閣僚の資質は本当にどうなのか。
 いろいろぼろくそ言っていますが、我が党の質問は格段にレベルが高いですからね。だから、本当にネット上でうちをおとしめるようなことを徹底的にやっているSNSは多いけれども、安心してください、ひるまずやりますから。

○柏崎刈羽原発について

【「FACTA」】
 柏崎刈羽の話を伺いたい。これは県議会は当然12月に通るでしょうし、すると、15年目の3.11には東電が動かすという、もうそれは見えている。西村代行は、やはり住民投票を含めたプロセスが問題だと。これは一つの震災後のエポックだと思うが、きょうの常幹で、この問題について、立憲民主党としてどう取り組むのかと。住民投票は難しいかもしれないが、どういう形でやるか。西村さんから聞いてもいいが、ぜひ伺いたい。

【幹事長】
 役員会でその議論になりまして、私のほうからは、新潟県連のまず対応をしっかりフォローアップして、その上で党としていろいろな意見は言わせてもらいたいということは申し上げました。
 私自身も地元で女川原発の再稼働に向かい合いましたから。向き合ったというか。やはり住民の心情は大変複雑だと思います。だから、そういう点では、地方で住んでいる新潟の皆さんの声は、もうちょっとやはり聞かせてもらうチャンスがあってもよかったのではないかなと思います。
 もちろん、エネルギー政策上、柏崎を動かさなければならないような厳しい経営環境にあることも十分理解しますが、今、宮嶋さんからお話あったように、やはり福島で事故を起こした事業者ですから、そういう点でいえば、できれば県民の皆さんの「これなら大丈夫だ」というところまで信頼される時間をちゃんと使って、そういう結論が得た中での決断であってほしかったとは思いますが、報告を聞くと、これから県議会等でそうした議論になるというので、そういうところをよく見定めて対応していきたいと思っています。

【「FACTA」】
 もう一点だけ。要は住民投票ってそう簡単にできるものではないが、6月が県知事選だ。米山さんは昔県知事だったが、立憲にはたくさん衆参、新潟の西村さんを含めておられたりして、そこがやはり焦点に。もしもこれを本当に問うならば、県議選でどうだというよりは、県知事選で戦えば住民投票に変わるのではないかと思う。要するに住民投票って、今まで実現したのはたしか巻か何かの話で、ほとんど意味がない。その辺を本当は代行にどういうお考えなのか伺いたいぐらいだが、県知事選はどう考えるか。

【幹事長】
 それはまた新潟で県連のときに会見をしていただければと思いますが、知事選挙にどう対応するかというのは、またこれはこれで新潟県連と話合いをしたいと私は思っております。
 ただ、何度も何度もこの問題を、やはり足踏みした状態でにっちもさっちもいかなくなるというのはお互い不幸なことだから、そういう意味では、手順をちゃんと踏んで、皆が納得するような形で本当は動かしてもらいたかったということです。

○安保政策に関する国会審議について(2)

【日本経済新聞】
 台湾有事をめぐる首相の国会答弁についてだが、公明党の斉藤代表が質問主意書を出しておおり、きょう政府から答弁書が出てきた。存立危機事態に関する首相答弁について、従来の政府の見解を変更しているものではないというような内容だったが、この答弁についての受け止めをまずお願いしたい。

【幹事長】
 ですから、先ほど私が言った話も、斉藤代表は念のため、またこの確認をして、正式な閣議決定を経て返ってきた文書は、高市総理の発言とは違うんですよ。これは政府としての重い発言ですから、このラインを踏み外したら駄目だというふうに思っていただかないといけないということなのです。
 これは、逆に、これを踏み外して行け行けどんどんみたいな話で肯定化してしまうと、安全保障だけではなく経済全般にわたって東アジアが大変な状態になり得るから、だから、私もそうだし、岡田さんもそうだけれども、斉藤代表も、逆に言えば政府も、霞が関も、みんなそのことは共通認識だと思います。それを総理に持っていただきたいということなのです。
 過去の衆議院議員としての発言は発言で尊重します。台湾有事にはあり得べきだということを質問したりしているのも高市さんだから。だから、岡田さんだけ質問してけしからんと言うけれども、ネットの皆さんだって知らないかもしれないけれども、高市さんが一議員のときにしつこくあの話をやっているわけですよ。でも、そのときだって、安倍総理も含めて、誰もが皆、国是というか、守らないといけないラインはわかった上で対応して、それをなった総理は確認をして安全保障をスタートさせるというのが、いわば我が国の考えだから。そこはちゃんと守るべきだと私は思います。

【日本経済新聞】
 改めて政府見解をこういう形で出してきたということだと思うが、これを踏まえて、一旦中国政府の様子を見るべきなのか。それとも、中国側の対応は更にエスカレートしていくだろうから、やはり首相自ら答弁の撤回をする必要があるか。首相や政府はどういう対応を取るべきだと考えていらっしゃるか。

【幹事長】
 一国の総理大臣が、僅か1週間や2週間で自分の言ったことを撤回するというのは、なかなか大変なことだと思いますよ。まして支持率が高いのも、そうやって行け行けどんどんに押されて言っておられるのだろうから。
 だけど、私は、これが正式な政府の見解で、私達のラインですよと。
 実は、私は報道で聞きましたが、トランプ大統領も習近平さんとの電話会談か何かの中で台湾問題については曖昧にきちっと答えているんですよ。曖昧にきちっと答えているというところがポイントなんですよ。アメリカだってこのことのセンシティブさをわかっているわけだから、それを近傍にいる我が国がはみ出たことを言って、ネット世論でそれが受けてなんていうのは、一番国を危うくするんだということをわかってもらうということと同時に、中国にも冷静な対応を求めたいと思っています。
 繰り返し繰り返し、この政府答弁が我が国の正式な答弁だということを言い続けてもらいたいと思います。


(記者ブリーフィングに切り替え)


■冒頭発言(記者ブリーフィング)

○第141回常任幹事会を開催

【西村幹事長代行】
 お疲れさまでございます。
 本日、常任幹事会を行いまして、まず代表挨拶から始まりました。
 報告・承認事項として、子ども・若者応援本部の再設置ということでございます。従来からあった本部ですが、今回再設置。大西本部長、泉顧問以下の役員体制で再スタートいたします。
 2番目は、国際局の役員構成についてということで、追加のご報告がありました。
 次からは、「ここからはじまる」全国キャンペーン、11月3日からキックオフしてスタートしております。役員が主に今回っていることがお手元の紙に記載をされておりますが、全国各地で、総支部長、あるいは自治体議員、それぞれ様々な取組を行っておりまして、徐々に活動の報告とご意見が上がってきております。グーグルフォームを使って、今、集約中でございますので、一定の時期が来たらまたまとめて常任幹事会でご報告・共有をするということになります。活動のイメージということで幾つか写真が上がっておりますが、いろいろな形で、車座集会ですとか政策説明会、シールアンケート等もやっているということも参考にして、各議員の皆さんからも取組をお願いしたいと思っております。
 次に、つながる本部。立憲民主党の規約に基づきますつながる本部が行うミートアップについて、こういう形でやりたいということでご報告がありました。結構大がかりな仕掛けでして、大体2か月に一遍ずつ、全国6か所で、党員・協力党員・パートナーズを始めとする市民の皆さんを対象に、中長期的な政策や制度について検討しながら未来を共に描いてもらおうということです。予告動画などもつくりまして、ちょっとにぎにぎしくやろうということでございます。
 次は政調の報告ですが、こちらのほうはもう既に政調会長がご報告済みですので省略をさせていただきます。
 組織委員会のほうから、先回の常任幹事会で埼玉15区の小山田経子総支部長が選任をされましたことに伴い、新たな総支部を小山田総支部長の下でつくるということが承認をされました。
 次に、選対のほうからでございます。こちらのほうは協議事項に入っておりますが、お二方、次の総選挙に向けての公認内定が決定をいたしております。お一人は、滋賀県第2区、平尾道雄さんです。この方は(米原)市長もお務めくださったということで、これまでにも立憲民主党で立候補していただいております。次に、衆議院高知県第1区、田所裕介さん。こちらの方は、これまでは武内則男総支部長がおられたのですが、武内さんが地元の自治体の首長選挙に立候補されるということで総支部長を辞退されまして、その武内さんの秘書さんだったというふうに伺っておりますが、この方が公認内定ということでございます。この2人が公認内定されたことによりまして、現在、現職を含めて立憲民主党の公認候補予定者は171人ということになりました。

■質疑(記者ブリーフィング)

○柏崎刈羽原発について

【「FACTA」】
 常任幹事会で柏崎刈羽の話が出たわけですよね。それはどういう議論だったのか、もう少し。まさに西村さんがご説明された案件だと思うが、差し支えなければ、どんなお話をされて、どんな話があったか伺いたい。

【西村幹事長代行】
 執行役員会の事前の打合せでは議論になりましたが、この常任幹事会の場では議論になっておりません。
 11月22日に私ども立憲民主党新潟県連の定期大会がありまして、その中の挨拶でも、また、その後の記者会見でも、もう十分過ぎるぐらいお答えしておりますので、そちらのほうを見ていただければと思います。

(以上)