【プロフィール】
選挙区=武蔵野市
地元の魅力=公園や緑が多くて飲食店もたくさんあるところ。市民の意識が高い。
好きな映画=『タイタニック』
好きな本=『ホモサピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ)
人生初の仕事=レストランのスタッフ
尊敬する人=市川房枝
長所=思慮深い
短所=余計なことを考えすぎる時がある
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https://twitter.com/igarashi_eri

――不登校を経験し、中学卒業後はいろいろな仕事を経験されたんですね。
 いじめもあり、中学2年生から学校に行かなくなりました。生きるため、自分としては最善の策だったんですが、母親は私がこのままどこかに行ってしまうのではないか、と心配だったようです。高校には行かず、かといって中卒で働ける場所も少ないので、飲食店のホールやクリーニング配送、4トントラックの運転手などいろいろな仕事をしました。
 2年勤めたアルバイト先で、店長の機嫌を損ねたからといきなりクビになったんです。ものすごい悔しくて、ネットでいろいろ調べて、労働基準監督署に行きました。そこで労働基準法について初めて知って、アルバイト先には解雇予告手当を支払ってもらいました。
 同じように周りにも、法律や制度について知らないせいでひどい目にあっている友人がたくさんいました。知識がないと社会に搾取される、法律を知らないと自分や友人を守れないんだ、と痛感しました。それで、働きながら22歳で高卒認定資格を取って、大学の夜間主コースで法律を学びました。その後、法科大学院に入学、とにかく必死に猛勉強して、30歳のときに司法試験に合格しました。

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 その頃、10歳くらい年上で3人の子育てをしながらキャバクラで働いていたシングルマザーの友人がいたのですけど、店からの搾取はひどいし生活もきつそうなので、私はその友人に「簿記とか行政書士とか、なんでもいいから資格を取って事務職に転職したらどう?」って何度も何度も説得を試みました。

 ただ、どうしても彼女には勉強が出来なかった。自分が出来そうなことを当然に他人も出来ると考えることは間違っていました。すでに、彼女はもう精一杯頑張って生きていたし、自分や子どもたちの将来について真剣に考えていたからです。
 人それぞれ、足が速いとか歌がうまいとかみんな得手不得手があるように、机に向かって勉強するのが得意というのは個性に過ぎず、努力が足りないわけではない。勉強が不得意でもそれを自己責任と言って切り捨てる理由にはならないと知りました。どんな人も持って生まれた個性が尊重されて、生きることができるべきです。

――政治の世界に興味を持ったのは、これまでの出会いが影響しているのですか。
 これまで司法試験の勉強の中でもたくさんの判例を勉強してきました。弁護士業務の中でもたくさん深刻な相談を受けてきました。ただ、司法は、誰かの権利や自由が侵害された後に弁護士や裁判所に救済を求めるものです。でも、その背景には、貧困が連鎖する過酷な社会の現状がある。立場の弱い人たちが切羽詰まった状況になる前に必要なのが「政治」だと気づきました。

 国会議員の政策秘書として働いている間、一昔前なら政権が吹き飛ぶようなことが次々と起こって、私が理想とする政治とはあまりにかけ離れていて、絶望しました。
 今の政治は、本当に普通の人の暮らしが分かっているのかなと感じます。生活保護世帯が増えていることも、働く女性の半数以上が非正規であることも、単なる数字になってしまっていて、その一人ひとりに名前があり家族もあり生活があることを、政治家にはきちんと見えているのでしょうか?

 一部のエリートによって作られている政治を変えるためにも、私のような気が小さくて数え切れないほど失敗をしてきた「ふつうの人」も、もっと政治に関わるべきだと思うんです。
 私自身、絶望しながらも、政治を変えていきたい、という思いがあります。挑戦できる機会があるなら飛び込みたいと、立候補を決めました。

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――都政でどんなことに取り組みたいですか?
 コロナ禍で、人のいのちと健康を守るという当たり前の行政機能が不十分だったことがあらわになりました。実は武蔵野市には保健所がありません。東京23区や町田市や八王子市には保健所が一つずつあるのに、です。武蔵野市民の公衆衛生を担う保健所は、府中市にある都立多摩府中保健所が担っています。だから、武蔵野市民がコロナ感染しても、武蔵野市には情報が入らず対策ができません。市民のいのちと健康に直結することは、真っ先に改善しなければと思っています。

 また、自分が「ドロップアウト」した経験から、多様な教育の場を作っていきたいです。学校に行きたくなければ行かなくてもいい。学校が全てではない。成長する過程で親や先生以外のたくさんの大人と関わって世界が一つじゃないと知ったら、救われる子どもたちがたくさんいるはずです。そもそも子どもに関わる先生の数が少ないのも問題です。公教育の充実はもちろんのこと、いくつになっても学び直しができる東京にしたいです。