6月12日の衆院憲法審査会で、今国会の振り返りと今後の進め方について自由討議が行われ、立憲民主党の武正公一、山花郁夫、五十嵐えり、津村啓介の各議員が発言しました。

武正議員は、「国会機能強化並びに国民投票法について、全体スケジュールをあらかじめ示せたことにより党内議論の充実が図られ、原則党を代表として発言することにより議論の拡散を防ぐことができた」と枝野幸男憲法審査会長の下での憲法審査会運営を評価しました。
その上で、選挙困難事態として議論すべき事象は、大規模災害や感染症の爆発的流行など立憲的統制が可能な非常事態であり、革命、クーデター、内乱、戦争などの国家緊急権として議論されるような緊急事態の場合はそもそも立憲的統制が困難であるため除外すべきと整理。「憲法審査会事務局の調べでも、東日本大震災と同じ規模の震災が衆院選挙前に起きても、8割以上の選挙区で選挙が行えることから、被害を受けている選挙区は繰延投票を行い、できるだけ速やかに議員の選出を目指すことで対応可能」であり、「選挙困難事態の立法事実はない」と強調しました。
また、今後の進め方について、「憲法改正の議論は、衆院だけで議論が進むことがないように、両院足並みをそろえることが肝要ではないか」と述べ、国民投票広報協議会規程など、幅広い政党の賛同が得られるテーマについて議論を深めることを提案しました。

山花議員は、他党からの質問に回答する形で、衆院の解散時または任期満了時に災害などが起こり、閣僚が衆院議員の身分を失ったとしても、「選挙後に新内閣が成立するまでは職務執行内閣が存続する」との考えを示しました。また、国家緊急権として論じられる深刻な非常事態が発生した場合には、立憲的統制が困難であるため、議員任期のみを取り上げて憲法に規定を設けるのは、「無理があるのではないか」と述べました。

五十嵐議員は、一部の被災地で選挙が実施できないことを理由に全国会議員の任期を延長し、全国の選挙を延期すべきとの主張に対し、「民主主義の根幹をなす選挙権の保障より、なぜ選挙の一体性が優先するのか」「仮に選挙の一体性がそこまで重要なら、なぜ補欠選挙や繰延べ投票、選挙の一部無効判決が可能なのか」と疑問を呈しました。選挙の一体性についての議論を深める必要性を述べるとともに、「立法府に求められていることは、災害が起きても選挙できる体制の整備」であると主張しました。

津村議員は、憲法43条1項の「全国民を代表」の解釈について、国会議員が反映すべき民意は自身の選挙区地域のみを対象としたものではないため、被災地選出議員が不在であることによって国会が「全国民を代表」して組織されていないとする主張は誤りであると指摘しました。さらに、各会派の党内不一致のまま幹事会で選挙困難事態における国会機能維持条項の骨子案を配布したことを厳しく批判し、「憲法に基づく政治を取り戻す議論こそが憲法審査会に求められている」と主張しました。
