枝野幸男代表は21日、大阪府大阪市、豊中市を訪れ、新型コロナウイルス患者を受け入れる市立豊中病院の視察、街頭演説「大阪市の廃止にNo!街頭行動」での演説、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関してライブハウスで意見交換をおこないました(写真上は、ライブハウスを会場に意見交換を行う枝野代表[左から2番め])。
■市立豊中病院視察
枝野代表はまず始めに新型コロナウイルス感染者の受け入れをしている市立豊中病院を視察。PCR検査場所のある感染症病棟を視察したり、新型コロナウイルス感染症患者の病床で説明を受けた後、病院関係者と意見交換をしました。また、豊中歯科医師会からの要望書も受け取りました。
視察終了後に枝野代表は、「現場は大変頑張っていただいているが、冬に向けてマスクをはじめとした物資調達の心配がある。病床を絞り込んでコロナ対応にあたっていただいているので、収入が大きく減ったなか対応にコストがかかっている。2次補正予算の支援が届きそうだということだが、中長期化する先が見えない状況なので医療機関に対する財政的・物的支援を強化しないといけないと痛感した」と医療機関へのさらなる支援の必要性を強調しました。視察には辻元清美副代表、松井博史大阪第8区総支部長、大石利彦豊中市議会議員も参加しました。
■街頭演説「大阪市の廃止にNo!街頭行動」
病院視察後に枝野代表は、大阪市天王寺区の天王寺駅前での街頭演説「大阪市の廃止にNo!街頭行動」に参加しました。枝野代表は菅義偉首相が「自助」を強調していることに対して、自身が東日本大震災発生時に官房長官として対応したことに触れ、「あの地震が自己責任で何とかなるか。地域全体が津波に飲まれたのに地域の人が支えあうだけで何とかなるか」と疑問を投げかけました。「社会全体が、政治が、行政が、しっかりと支える公の力があの時やっぱり必要だったと痛感した」と政府の当事者だった時に強く感じたことを述べました。安倍政権の7年8カ月で自己責任競争がひどくなったと言及し、「今回のコロナ、皆さんの暮らしがなかなか良くならないのは本当にあなたの自己責任か。オリンピック・パラリンピックで世界からお客さんが来て、飲食店や観光業が期待していたが当てが外れて商売が続けられるか分からないのは、その皆さんの自己責任なのか。人生誰でも自分の力ではどうにもならないことがある」と強く訴え、支え合いの社会を目指すことが必要だと呼びかけました。他に街頭演説には、辻元副代表ほか、尾辻かな子、森山浩行両衆院議員、村上賀厚大阪第1区総支部長らも参加しました。
■「どないやねん政治」@ライブハウス 枝野が聞く、現場の声
続いて枝野代表は、大阪市北区のライブハウス「NOON+CAFE」を訪れ、「NOON+CAFE」オーナーの金光さん、立憲パートナーズの一員であり花屋を経営していましたが、このたびの新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受けて廃業した黒田さん、心斎橋でバーを経営している谷さんと、新型コロナウイルス感染拡大への対応に関する意見交換をおこないました。
金光さんは、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、3月頃からイベントがなくなり始めたと述べ、「4月に志村けんさんが亡くなった次の日からまったくお客さんがいなくなった」と当時の状況を振り返りました。4月から6月は通常の売上よりも90%減となり、さらに緊急事態宣言解除後の7月に感染者が再び増えた際は「きつかった。とどめを刺された感じだった」と説明しました。
国からの給付金制度については、「わたしは個人で経営しているが、持続化給付金はなぜ法人と個人で支援金をわけるのか」「家賃給付金(売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、賃料等の負担を軽減させるための『家賃支援給付金』)は申請が複雑だった。まだ給付されていない」など課題を指摘。「NOON+CAFE」には音楽系以外にも画家として活動している人などさまざまなアーティストが集いっていることに触れ、「みんな自分が助成金の対象ではないと思っている。『あなたも給付をもらえる対象ですよ』とアピールすることが大事だ」と指摘。「複雑じゃなくて簡潔な手続きにしてほしい」と要望しました。枝野代表は、「対象者は当然もらえる話だと広めることを僕らも努力しないといけない。直接声をいただけるのはものすごくありがたい。自分がもらえないと思い込んでいる人はまだまだたくさんいると思うので、ぜひ(そういった方々に)声をかけてほしい」と給付対象者へ広めることの重要性を呼びかけました。
第2部では立憲パートナーズの黒田さんと谷さんと意見交換をしました。11年間経営していた花屋を1週間前に廃業したという黒田さんは、ここまでの売上について「一番冷え込んだのが45%減だった」と50%以上売上が減少した月があることを要件としている持続化給付金の対象にならなかったこともあり、廃業を決心したことを明かしました。一方で廃業したことによって、「地域の人が残念がっている人がいて、地域の中で小さな店の存在も大事なものだなと初めて分かった」と経済的なこと以外に地域をつなぐことの大事さも訴えました。
バーを経営する谷さんは、お客さんがゼロになったことが数日あったと述べ、「9月になって来てくれなかった人たちが少しだけ来てくれるようになった」と説明しました。持続化給付金や家賃支援金を受け取り、今の状況ならばお店を続けられると述べる一方で、「このままの調子で第3波が来たら来年は難しい」と厳しい状況を明らかにしました。枝野代表が今後政治がどうすれば支えていけるかを質問すると「持続化給付金をもう一度支給してもらうことと政権を変わった方が良い」と提言。「今まで自民党に入れてきた人に刺さるような対策を練ってほしい」と枝野代表に対してエールを送りました。
最後に枝野代表は、「地域の中にある大事なものがどんどんつぶされてしまうのは何とか止めないといけない。一人ひとりでは限るがあるから、政治や行政が担う社会を作っていくことで地域の憩いの場が成り立つように頑張っていく」と意気込みを語りました。
■ぶら下がり会見
意見交換会終了後に枝野代表は、記者団からの質問に応じました。大阪や関西での立憲民主党の情勢について今後どうしていきたいかを問われると、旧立憲民主党の辻元清美衆院議員に加えて旧国民民主党の平野博文代表代行が加わったことで「点であったものが面として活動できる状況に近づいた。数の効果以上に思いを訴えていける」と力を込めました。
菅総理がトランプ米国大統領と電話会談をおこない、緊密に連携すると発言したことについて質問されると、「私が総理になっても最初にアメリカと会談して、日米同盟を発展させると同じように述べる」と語りました。
4連休中の千葉、大阪、佐賀の全国行脚がどのような位置づけなのかを問われると、「新しい立憲について多くの皆さんに知っていただき理解して支持していただく。地域の仲間の力は大きい。地域に出向くことで地域での活動にメリハリをつけるきっかけを作れるのは間違いない。それぞれの地域で(私を)うまく使っていただき、この間に話してきたように誰よりも汗をかいて全国を走りたい。地域での活動のジャンプアップのきっかけにしたい」と意義を語りました。