衆院予算委員会で4日基本的質疑が行われ、立憲民主党会派の3番手として本多平直議員が質問に立ち、(1)日本学術会議任命拒否問題(2)文化功労者の選考――などの問題を取り上げました。

 本多議員は、1933年(昭和8年)、京都帝国大学教授で刑法学者の滝川幸辰を文部省が一方的に休職処分にした「滝川事件」に触れ、日本学術会議は、そうした戦前の経緯を踏まえ、人事についても政治権力からの独立性を持った仕組みになっているとあらためて強調。学問の自由の弾圧には、法律と人事で抑えていくやり方があるなかで、今回学術法を改正するという方法を取らなかったことに対し、「法律を作ったらいいというわけではないが、学問の自由がいろいろな形で制限されている国があるなかで、この人事の問題がそうした話の第一歩になってはいけない」と述べ、より国民に見えにくい形で恣意的な人事を進めようとしているのではないかと懸念を示しました。

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 その上で、日本学術会議の会員人事をめぐり、官邸が難色を示したために日本学術会議側が2016年と2018年の補欠人事の推薦を見送ったとの報道があることから、本多議員がこの事実関係を確認。加藤官房長官は「学術会議側から正式な推薦名簿が提出される前にも、さまざまな意見交換を内閣府の事務局などと学術会議の会長との間で行われていたと承知している。そうしたやりとりを踏まえながら、場合によっては補充時、補欠人事がなされていなかった場合もある」と答えました。これを受け本多議員は、「こうした事前の調整をし、官邸が難色を示されたら(推薦を)見送り、欠員のままやるという。こんなことをしていていいのか」と、さらに同会議の独立性を守る立場にある井上科学技術担当に迫りました。井上大臣は、「過去の経緯については定かに承知していないが、行政機関の一環として日本学術会議があり、政府とさまざまな意見交換を常に行いながらやっている。その一環だと思う」「正式な推薦があった後の話であればやりとりを承知しているが、その段階での話でないので承知していない」などと強弁。本多議員は、杉田官房副長官が、本来相談すべき総理や官房長官にも話さずに事前に調整し、(補充人事をめぐり)説明の場を求める日本学術会議の山極寿一・前会長を門前払いにし、(推薦)名簿を出させないようにしたとの話があることを問題視しました。菅総理がこのことについて「承知していない」と答えため、あらためて与党側が拒否し続ける杉田官房副長官の参考人招致を要請しました。

 本多議員は次に、日本学士院、日本芸術院の会員に対し年間250万円、文化功労者には年間350万円の年金が支給され、現在233名いる文化功労者に対しては総額8億1550万円の予算が付いていることを取り上げました。この文化功労者の選定をめぐっては、ここ2、3年企業の社長など経済人が選ばれており、そのなかに総理の知り合いがいると指摘。「文化功労者を決める会議にも杉田官房副長官が絡んでいる。この公正性はどうなのか」と疑問を呈しました。