枝野幸男代表は22日午後、党兵庫県連の結成記念集会として開かれた「立憲ひょうごフェス2020秋」に参加し、兵庫県内7人の衆院総支部長らとともに弁士をつとめました。
枝野代表は、米国でクリントン政権、オバマ政権と民主党政権が発足した時には、日本でも非自民政権が同時に発足したことに触れ、来年のバイデン政権発足に合わせて非自民政権の誕生を実視した上で、自らの役割は国民の期待と信頼を得て「非自民政権を2期以上持たせることだ」と決意を示しました。
まず、今泉真緒さんが登壇し、「日々未来に向き合う仕事している中で、今に役に立つ短期的なことばかり重視して人が使い捨てにされるような社会はおかしい」「今の政治を変えなければいけない」と政治の門を叩いたきっかけを語りました。これまで聞き続けてきた人々の声から希望を見出し、「一人ひとりの足もとから、文化・経済が立ち上がる。そのために自己責任ではなく、生きることを支える社会、自律分散型へ。長期的展望のある人の未来に投資できる社会を創りましょう」と訴えました。
安田真理さんは、「今の日本、競争ばかり。効率性ばかりを追い求めてきたこれまでの社会。賃金は上がらないし、不安ばかりが大きくなる。こういう社会に一回ブレーキをかけて皆で支え合うやさしい社会をつくっていこうというパラダイムシフトが必要だと立憲民主党は言っている。私もそういった社会をつくっていきたい。がんばったらがんばった分だけ報われる。家族や友人たちとゆったり過ごし、話せる時間、そんな暮らしを取り戻していきたい」と意気込みを語りました。
「政治に失望、絶望していた」と語りだした隠樹圭子さん。働いていた介護現場で認知症を患っている人から包丁を突き付けられた経験もあるという。それでも施設は職員を守る手立てを持っていない。そんな中、「苦しみ悶えながら、それでも政治を変えようとしているあなた。あなたは立憲民主党」との枝野代表の言葉に出遭い、救われたという。隠樹さんは、「今コロナ禍で底辺をさまよって真っ暗な中におられる方がたくさん出てきている」と語り、「そういう方々に政治の力が必要」「一緒に政治を変えてください」と強く呼びかけました。
舩川治郎さんは、民間時代に3つの社会改革に取り組んだことを紹介。1つ目は日本で初めてのインターネット検索システムを開発、発展に寄与したこと。2つ目は「トライやるウィーク」と称して中高大学生に1週間の職場体験をさせる仕組みを拡大させたこと。3つ目は、通算10万人以上の大学生にキャリア指導を行ったことを明かしました。いずれも当初は反対ばかりだったが、必要性を訴え続け、改革を実現したという。ところが、政治だけは変わらないとの思いから、立ち上がったと述べ、「一緒に政治を育んでいこう」と訴えました。
元衆院議員の梶原康弘さんは、「もう一度政権交代可能な政治勢力をつくっていきたい。それまであきらめることはできない」と冒頭、決意を示しました。コロナの発生によって、一極集中、中央集権、グローバリズムの問題が浮き彫りになっていると指摘。この社会のあり方を「コロナを機に転換を図らなければいけない」と述べ、「一極集中を地方分散」「中央集権を地方分権」「グローバリズム一辺倒から地域社会を大切にする政治へ」と訴えました。
前衆院議員の井坂信彦さんは、衆院選挙も住民投票の1つと例え、「今の政治でいいのか」「それとも変える必要があるのか」国民に問うものだと説明。その際、政府に対して、もう1つのはっきりとした選択肢がないと住民投票にならないと指摘。立憲民主党を「選択肢になり得る政党をつくっていかなければいけない」と呼びかけました。国会のあり方について「政府案に賛成、反対を言うのも大事だが、市民、国民、皆さんの声をプロとして法案に練り上げて、市民立法、国民立法を野党ながらもどんどん出していく。そういう国会にしていきたい」と決意を表明しました。
衆院議員の桜井周さんは、日本の失われた30年の根本原因に「人を大事にしない政治」があると思い至り、それを変えようと、2011年から地方議員、17年から衆院議員を務めているという。先の通常国会では、「新型コロナウイルス感染症関連で5本の法案を提案し、3本が成立した。残り2本も予算化され実現できた」と報告。開会中の国会について、「野党が提案している法案を与党が一切審議しようとしない」と審議拒否されていると説明し、その横暴を許している原因が野党の議席が少ないからだと述べ、「30、50でも議席数を増やせば、世の中を大きく変えられる」と訴えました。
枝野代表は、2012年に第2次安倍政権が発足し、7年8カ月続き、その一方、野党側では「率直言って期待に反するような遠心力が働く状況が続いてしまった」と総括。コロナ禍でいよいよこの国は大変だとの思いから、いろんな思いを乗り越え、9月15日に新立憲民主党を結成できたと報告。
コロナ対策に関しては、隣国台湾で感染者をゼロに抑えることで、経済が打撃を受けることない状態を維持している事例を示し、「医療、介護、保育所など濃厚接触を避けられない現場の人たちが、コロナの影響を受けて今一番苦しんでいる。そこでの感染拡大を防止するために人もお金もつぎ込み、検査もどんどん増やそう」と言及。これにより「経済も回っていく」と説きました。
さらに、「何よりもの景気対策は、子育て支援を充実させること。安心して子どもを生み育てること。老後の不安を小さくすること。格差を小さくして今貧困の状態にある人が消費できるように底上げしていくこと。これが何よりの経済対策」と訴え、その方向へ一刻も早く切り替えると決意を述べました。