衆院厚生労働委員会の閉会中審査で9日、長妻昭議員はGoToトラベルの延長を閣議決定した政府の新型コロナ感染症対策について、「ワクチンができるまで、医療崩壊を起こさせない。GoToトラベルは一時停止して、ステージ2になってから再開すればいい」と進言しました。

 政府が8日にGoToトラベルの期間を来年6月末まで延長を閣議決定したことについて、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長に政府から分科会に事前に諮問があったか確認したところ、尾身会長は「諮問はなかった」と回答しました。政府が10月1日にGoToトラベルへの東京都の追加を決定する際には、9月25日に分科会で諮問があった上で正式に承認されたと確認しました。
 長妻議員は「分科会の意見を聞かないのはとんでもない」と政府の姿勢を強く批判し、岩井国土交通副大臣に「なぜ分科会の意見を聞かなかったのか」とただしましたが、明確な回答は得られませんでした。

 全国的に感染が拡大する中でのGoToトラベルの延長について、尾身会長に意見を求めたところ、「早く感染を抑えて、ステージ2相当になってから再開すべき」と見解を示しました。
 長妻議員は厚生労働大臣を経験した見地から、「分科会からGoToトラベルの一時停止について、再三要請されているにもかかわらず、閣議決定でなぜ意見を言わなかったのか。ひっ迫している医療従事者を代弁できるのは田村厚生労働大臣だけだ」と迫りましたが、田村大臣は「感染状況に応じて、全国の首長と適切に制約を相談している」とGoToトラベルの一時停止に言及しませんでした。

 また、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が11月20日に公表した「私たちの考え―分科会から政府への提言―」において、「感染拡大の早期の沈静化、そして人々の健康のための政府の英断を心からお願い申し上げる」と要請したことを受けて、長妻議員は「政府は本来緊急事態宣言の準備をしなければならない」と進言しました。

 旭川市を含めてステージ4と思われる地域について、尾身会長は「医療がひっ迫している一部の地域は現在自衛隊の派遣などで感染抑制に全力を尽くしている。ただし、医療の機能不全を起こしてはいけない」と警戒感を強めました。

 先週末に箱根などの観光客が増加している現状をふまえ、長妻議員は再度、田村厚生労働大臣に「GoToトラベルの延長は国民に間違ったメッセージを与える」と警鐘を鳴らしました。
 岩井国土交通副大臣にGoToトラベル事業について尋ね、事業の利用者で新型コロナウイルスの陽性者数は12月8日時点で、利用者は258名、参加登録宿泊施設の従業員は220名に上ると確認しました。
 葉梨農林水産副大臣に来年6月末まで延長されたGoToイート事業について尋ね、参加登録飲食店の従業員で新型コロナウイルスの陽性者数は12月3日時点で76名になり、感染者の多い上位5都道府県は東京都、千葉県、北海道、神奈川県、愛知県と確認しました。