24日、参議院の国土交通委員会で閉会中審査があり、青木愛議員が質問に立ちました。

 青木議員は、冒頭、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策に関し、観光業界への政府の明確なメッセージが伝わってこないと指摘。「今、国民は旅行してもよいのか、それとも自粛すべきなのか。明確なメッセージを出すべきではないか」と、赤羽一嘉国土交通大臣に自身の見解を求めました。この質問に対し、赤羽大臣が「基本的には政府の一員として静かな年末年始を送って頂きたいということだが、旅行自体がどうかというと…(中略)…観光立国政策は継続していく」と、はぐらかすような答弁をすると、青木議員は「政府の覚悟、明確なメッセージが伝わってこない。どこか他人任せ、国民任せだ。自粛を求めるならば、事業者に対し、きちんと補償する覚悟をもって臨んで頂きたい」と述べ、「中途半端な政策より、一歩踏み込んだ政策」を政府に求めました。

 続いて青木議員は、「『無症状者』対策をしないのならば、GoToトラベルの再開はありえないのではないか」と、赤羽大臣にただした上で、委員会に参考人として出席した尾身茂・政府新型コロナウイルス感染症対策分科会長に対し、今後、日本がとるべき無症状者への対策について質問。「無症状者を特定しない限り、感染拡大が止まらないのではないか」と、この問題についての尾身会長の見解をただしました。

 これに対し尾身会長は、「多くの感染者が無症状というのが、このウイルスのよく知られた大きな特徴だ」と述べた上で、感染拡大を抑えるためには、(1)国民の自覚(と行動の抑制)(2)国・自治体の環境づくり(3)検査キャパシティの拡大とその戦略的利用が必要――との考えを示しました。特に(3)については、無症状者に対する戦略的な検査体制の確立が重要だと述べました。そして今後の検査対策としては、「無症状者」全体を、介護施設やいわゆる「夜の街」など、感染リスクの高い環境にいる無症状者(2a ※)と、感染リスクの低い、一般的な帰省、ビジネス、興行など経済活動に関わる無症状者(2b ※)の2つのカテゴリーに分け、前者については徹底した行政検査、後者については民間医療機関による検査と検査を効率よく使い分けて行っていくべきだとの見方を示しました。「国(の検査能力)だけでは無理で、民間の力も借りる必要がある」とした上で、民間検査については「検査のクオリティー(品質)管理と行政機関への報告体制の確保が重要だ」と見解を述べました。

※分科会資料「検査体制の拡充するための、基本的考え・戦略」の3つのカテゴリー

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 さらに青木議員は多くの医療従事者がボーナス・カット等を含む処遇の悪化に苦しんでおり、「なぜ政府がもっと手厚い手当をできないと思うか」と尾身会長の見解をただしました。これに対し尾身会長は「病院は通常診療のベッド数を減らすなどして対応せざるを得ず、経営に打撃を受けている。この国難の中、医療関係者はこれまで使命感でやってきたが、感染リスクと常に向き合うなど、ずっと緊張を強いられ続けて、心も休まらず限界に来ている。国にはいろいろな補償をやって頂いているが、さらなる支援をお願いしたい」と医療関係者の窮状を訴えました。

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